公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

自走式立体駐車場を津波避難場所として活用すべき/参院予算委員会

2023年03月20日

3月20日、参議院予算委員会の一般質疑で質問に立ち、①自走式立体駐車場の避難場所への活用②国土強靱化とインフラの老朽化対策③下水サーベイランスの取り組み強化──などについて政府の見解を伺いました。

なかでも、立体駐車場の避難場所への活用については、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの発生が高い確率で予測される中、巨大地震による津波被害が想定される地域において、まだまだ「津波避難タワー」の整備が十分でないことを挙げながら、民間の大型商業施設や遊戯施設などに併設されている自走式立体駐車場の「指定緊急避難場所」として指定や避難場所としての活用の可能性を問いかけました。

内閣府防災からは、実際に徳島市で商業施設の駐車場が「指定緊急避難場所」になっている例を示しながら「活用できる」という明確な答弁と併せて、谷防災担当大臣からも、避難場所としての活用も視野に入れた自走式立体駐車場の活用を進める旨の答弁がありました。

また、下水サーベイランス事業については、後藤コロナ担当大臣から「内閣感染症危機管理統括庁」が司令塔として普及を図るとの答弁がありました。

参議院予算委員会(3月20日)

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以下、質問の全文を掲載します。

1.自走式立体駐車場の避難場所への活用

①「津波避難タワー」の整備状況

公明党の塩田ひろあきです。早速、質問に入らせて頂きます。
東日本大震災から12年が経ちました。地震に伴って発生した大津波は太平洋沿岸地域へ押し寄せ、漁船や港湾施設、さらに、住宅地などを呑み込み、大きな被害をもたらしました。

そこで伺います。今後、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの発生が高い確率で予測される中、巨大地震による津波被害が想定される地域において、自治体による「津波避難タワー」の建設がどの程度進んでいるのか。まずお聞きしたいと思います。

②自走式立体駐車場を津波避難場所として活用できる可能性

地震や津波、洪水などに強いとされる自走式立体駐車場の活用について伺います。
今、大型商業施設や遊戯施設などに多くの自走式立体駐車場が併設されています。こうした立体駐車場は東日本大震災でも倒壊せずに、その一部は避難場所としても使われました。
今後、建設が必要とされる、もしくは予定されている「津波避難タワー」については、平時は自走式立体駐車場として利用し、いざという時に、津波からの避難場所として活用できると考えます。こうした立体駐車場の活用について内閣府防災の見解を伺います。

③指定緊急避難場所の指定と避難場所としての活用

さらに、沿岸部に近い地域の商業施設に併設される自走式の立体駐車場なら、命を守るために緊急的に避難する「指定緊急避難場所」として指定し、いわゆる避難場所としても使えるのではないでしょうか。
巨大地震だけでなく、激甚化が著しい近年の災害は、想定以上の被害が考えられます。現在の避難場所だけで十分な収容が見込めるのか。このような立体駐車場を避難場所として拡大できないか。防災担当大臣の見解を伺います。

2.国土強靱化とインフラの老朽化対策

①新技術を導入した点検・診断の普及と今後の見通し

道路、橋梁、ダム、下水道など重要インフラの老朽化対策について、防災・減災国土強靱化5か年加速化対策を踏まえた現状等について質問します。

インフラなどへの点検・診断については、目視や必要に応じた打音・触診等によって行われてきたところですが、目視点検はアクセスの難しい箇所での負担が大きいことなどが課題とされ、こうしたアナログによる点検の見直しを進めてきたところです。

国土交通省では、道路橋やトンネルなどの点検・診断において目視等によらず、ドローンやロボットカメラ、レーダーなどを用いた新しい技術への見直しが行われ始めています。
デジタル技術などを導入した日常の維持管理や点検・診断は、これまでで、どのくらいの割合を占めているのか。また、将来的に新技術への入れ替えがどこまで可能なのか。

国として、自治体向けに点検データのデジタル化を強力に推進していると思いますが、今後の見通しを含め、国交大臣のお考えをお聞かせください。

②鉄鋼構造物への高耐久性塗料の活用によるLCCの低廉化

次に、公共インフラ全般についての高耐久性塗料の活用について質問します。
通常使用されている塗料の耐用年数は約6年サイクルだそうで、定期的な補修・塗り替えが必要とされており、莫大なコストがかかっています。

国立研究開発法人「産業技術総合研究所」が開発した、樹脂を一切使用しないオール無機塗料は、約30年間は塗り替え不要で、防錆効果も高いとのことで、特許申請中と聞いております。

さまざまな新技術がある中で、塗料の材料イノベーションはあまり注目されて来なかったのではないか。先ほど質問した点検データのデジタル化と併せて、インフラの残りの寿命を科学的に診断しながら、順次、耐用年数の長い新塗料に置き換えていけば、長寿命化と各インフラのLCC(ライフサイクルコスト)の削減につながると考えられます。

今、産総研が開発した新技術について取り上げましたが、新しい技術の導入について積極的に活用すべきと考えますが、国交省の見解を伺います。

3.下水サーベイランスの取り組み強化

最後に、新型コロナウイルスの感染状況を調査・分析する下水サーベイランスの取り組みについて伺います。下水中には私たちの健康を守るための数多くの情報が溢れています。

例えば、アメリカでは、すでに全米の人口50%をカバーする1,250カ所の下水処理施設などに、この下水サーベイランスが導入され、アメリカ疾病対策予防センター(CDC)や、連邦政府によって有望なツールと位置づけられています。

またEUでも欧州委員会が、加盟国の人口15万人を超える全都市への導入を「推奨」し、昨年2022年10月にはコロナウイルスと変異株、ポリオウイルス、インフルエンザウイルス、その他、新興感染症を監視するため、下水サーベイランスを全てのEU加盟国に対し、2025年までに導入することを強く求めています。

①実証事業のデータとりまとめ

そこで伺います。日本で令和4年7月から実施された下水サーベイランスの活用に関する実証事業について、すでに各施設からのデータ取得が終わり、事業管理者による分析が行われている頃かと思いますが、とりまとめなど分析結果の正式な発表はいつ頃になるでしょうか。

②札幌市と北海道大学の取組に対する受け止め

札幌市は、この実証事業に北海道大学とともに参加し、昨年8月から市の公式サイトの中に特設ページを開設。
10月からはインフルエンザウイルスの検出も併せたコロナウイルスのデータを日々公表することで、「地域全体の感染実態を見える化」するなど、その取り組みの効果を発表しています。

その上で北海道大学の北島正章准教授は、10万人あたり新規感染者が1人であっても検出できる「エピエンス法」という手法を用いれば、各自治体が実際の感染状況を知る有用な情報・指標となると主張されています。これに対する厚労省の受け止めを伺います。

③実証事業から活用に向けた体制を

この下水サーベイランス、わが国においても、新型コロナで培った知見と技術を活用し、新設される「内閣感染症危機管理統括庁」が司令塔として、下水サーベイランスをどのように活用できるか検討すべきだと考えますが、
後藤担当大臣の所見を伺います。

4.公共交通機関における障がい者割引の実施

①精神障がい者割引の拡大をさらに

バスや鉄道など、公共交通機関における精神障がい者割引について伺います。

精神障がい者の場合、身体障がい者や知的障がい者割引と比較して、導入済みの事業者が極端に少ない状況が続いています。

路線バスなどを含む乗合バスでは、全国約4割の事業者のみの導入で、鉄道においては、JRや大手民間鉄道事業者のうち、この4月1日に導入される近鉄日本鉄道が2例目と伺っています。

国土交通省が鉄道事業者に対して働きかけを行うなど、努力して頂いていることは評価するところですが、さらなる導入促進が必要です。国交大臣に拡大に向けた決意を伺います。

①共生社会の実現に向け障がい者の移動を容易に

平成26年に我が国が批准した「障害者権利条約」には、
精神障がい者を含む全ての障がい者の自立した移動を確保するため、
「負担しやすい費用での移動を容易にすること」が明記されています。
全ての障がい者の移動が費用面においても容易になる社会をめざすべきです。
障害福祉施策においても、障がい者の移動支援を厚労大臣にお願いします。