被災者の命を守る体制の強化を/予算委集中審議で強調
1月24日、参議院予算委員会の集中審議(令和6年能登半島地震)で質問に立ちました。
今回の災害対策で最も重要なことは「被災者の命を守る」ことが第一でなければなりません。これ以上、「災害関連死」を絶対に防がなければなりません。
公明党は地震当日、すぐに党の災害対策本部を立ち上げ、地元の議員と国会議員が被災現場に入り続け、私も6日、7日に被害の大きかった能登町や志賀町などに入り、この21日にも山口代表とともに輪島市や穴水町、内灘町などを訪問し、そこで伺った不安の声や、切実な課題を取り上げました。
特に、被災者の命を守る体制の強化として、①機能する現地対策本部の体制と避難所の管理責任者体制の強化②国による権限代行でインフラの早期復旧③災害関連死を防ぐため納得と共感の2次避難④避難所の感染症対策──などを取り上げ強調しました。
<質問と答弁>
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
まず、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された全ての方にお見舞いを申し上げたいと思います。
やはり、今回の災害対応で最も力を入れなければならないのは、全ての命をまず守っていくんだと、この前提に立っていかなければならないと、このように思っております。そして、まず何をおいても、今少しずつ災害関連死が出ておりますので、災害関連死を絶対に起こさないんだ、こういう決意の下に頑張ってまいらなければならない、このように決意をしているところでございます。
そして、我が公明党におきましては、一月一日の発災当日、すぐに災害対策本部を立ち上げさせていただきまして、現場の地方議員の皆様と地元の国会議員がすぐに現地に入りまして、今もずうっと毎日入り続けております。また、私自身も六日、七日に、被害の大きかった能登町、そして志賀町ですね、などにも入らさせていただきました。様々、現場の中で大きな被害が出ている現状を見させていただくとともに、この二十一日には山口代表とともに輪島市、そして穴水町、そして内灘町へ入らさせていただいて、まさに被災現場の中で本当に悲痛な叫びの声、また、山口代表が一緒に伺いましたけれども、駆け寄ってきて、おばあちゃんが、何とか私たちを助けてほしいと、こういう声を現場の中で数多く聞きました。
そういう中で、やはり私たち、しっかり現場の被災者の声に寄り添った政策を前に進めていかなければならない、このように感じているところでございます。そういうものに立って今日は質問をさせていただきたい、このように思います。
まず、命を守る取組で一番大事なことは、やはり、現地対策本部と避難所の責任者がやはり司令塔となってきちっと機能しているかどうか、これが最も大事である、私はこう思っているんですね。やはり、現場に入ってそれは一番感じたことなんです。
今なお四百五十を超す避難所に一万五千人を超える人たちが避難生活を余儀なくされております。そういう中で、この三週間、一度もお風呂に入っておられない、そういう方もいらっしゃいました。また、下着の替えが今もないんですと、こういう方もいらっしゃいます。また、ブルーシートが欲しくてもらいに行ったんだけれども、何回行っても実は私はもらえなかった、こういう方も実は今もいらっしゃいます。
こういう中で、やはり我々は、救援物資は届けているはずだ、こういうことではなくて、やはり避難所において実際に何が届いていて何が足らないのか、そういうことをやはりしっかり把握をしていく、下着は本当に被災者の手に届いているんだろうか、こういう一つ一つの避難所の体制がやはりしっかり生きている、こういうことが大事だと、このように思っております。
また、女性の管理責任者をしっかり置いていただいて、女性に配慮した体制ももっと強化をしていかなければならないということも現場で痛感をいたしました。
総理、是非、現場対策本部の強化とともに、避難所責任者との連携の強化で被災者に寄り添う取組を進めていただきたいと思います。総理、決意を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の能登半島地震においては、発災当日に、東京においては非常災害対策本部、設置するとともに、同日、現地には古賀内閣府副大臣を本部長とする現地対策本部、これを設置いたしました。そして、現地対策本部には各省庁から幹部職員を含む職員を派遣するとともに、インフラ、物資、生活支援に関する三つのチームを編成し災害対応に当たっているところであり、また、輪島市、珠洲市など六市町には副市長級を含む政府職員を派遣して連絡調整体制を強化しているところですが。
委員御指摘の、この避難所の運営の強化という点につきましては、実際、被災自治体の職員や地域住民の代表者の方が、方々が中心となって運営を行っていますが、政府としても、被災後直ちに災害対策マネジメントの知見を有する自治体職員の応援派遣を私も指示をしたところでありますし、そして、全国の自治体の協力の下、避難所運営等のための職員を応援派遣し支援を行ってきたところであります。
そして、委員の方から、この現地の把握、連絡体制が大事だということでありますが、今申し上げましたマンパワーにおける応援をしっかりと協力、連携させるという観点から連絡体制を強化する。さらには、女性の視点も大事だという御指摘がありました。女性被災者も不安を感じない避難所運営となるように、内閣府で配布しているチェックシート、こうしたものも活用しながら、現地の運営、きめ細かな対応、こうしたものに努めているところであります。
こうしたこのマンパワーにおける応援をしっかり連携させ、そして機能させることによって、女性被災者への対応も含めて避難所の環境改善に努めてまいりたいと考えます。
○塩田博昭君 次に、命を守る取組でやはり急がれるのは、今までも御質問が各党の皆さんからございましたように、道路や上下水道などのインフラの復旧でございまして、これはやはり、至る所で寸断された道路や上下水道などのこのインフラ工事ですね。
県道に限らず、やはり市道また町道に至るまで、それぞれの現場に行くと必ず言われるのは、国が権限代行して早期復旧を図るとともに、地域ごとに復旧の見通しを示してもらいたい、こういう声でございました。
また、そのための全国からの人的支援体制の構築がやはり急務でございます。既に幹線道路につきましては九割程度復旧をし通行可能になっているところがございますけれども、町中に入りますと、生活道路はもうずたずたで、本当に至る所で寸断をされております。まともに我々も移動できない状態が各市町でございました。
この生活道路の復旧に加えて、上下水道の早期復旧にやはり全力を挙げてほしい、こういう声が、切実な声を伺ってまいりました。やはり住み慣れたふるさとに早く戻りたいと、こういう被災者の願いや希望をかなえるためにも、インフラ復旧のめどを、見通しを地域ごとに伝えてほしいと、このように思っております。また、そのためのマンパワー支援も当然不可欠ですので、これについての総理の決意と見通しについてお伺いいたします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の地震においては、発災当初から、この幹線道路あるいは生活道路について緊急復旧を自治体に代わって行うなど、このインフラの応急的な復旧、これに全力を挙げてきたところでありますが、しかしながら、このインフラの本格的な復旧、これには時間を要する、こういった見通しであります。
そして、被災者の皆様に円滑な二次避難をしていただくためにも、また未来について希望を持っていただくためにも、これ、道路や上下水道のインフラ、ライフラインの復旧等がいつ頃になるのか、地域ごとにこの今後の見通しを細やかに示しているところであります。県を通じて、具体的なめど、これを既に示しております。
そして、それを支援するために、道路の本格復旧に向けては、国の現地体制、強化することによって、この県所管の幹線道路、被災が甚大なものについてはこの被害復旧工事の権限代行を実施することによって被災自治体が生活道路の本格復旧に注力する、要は地元と国と役割分担をすることによって道路の復旧に努めていく。
また、上下水道についても、全国自治体の上下水道技術者に加えて国からの職員も派遣をし、四月以降の水道施設の補助率のかさ上げを前倒しする、こういった措置も講じながら、上下水道一体となった復旧に取り組んでいきたいと思います。
やれることは何でもやるという考え方の下で、財政面そして実行面、両面から支援を行って、インフラの早期復旧に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えます。
○塩田博昭君 今総理のおっしゃることも私もよく分かります。ただ、その上で、やはり役割分担をしてそれぞれの自治体の整備をしていくということは当然そのとおりなんですけれども、やはり今、市や町にとっても、なかなかやはり具体的にやっていくパワーがない、マンパワーがないと。そういう状況もございますので、できる限り国による支援、お願いをしておきたいと思います。
そして次に、近年の地震災害と今回の違いについて、半島であるというやはり地理的な制約があります。そして、今大変厳しい寒さとの闘いに入っている、こういうことがあります。
やはり、長期にわたる不自由な避難所生活で高齢者などの災害弱者が体調を崩して災害関連死のリスクが増加するということを懸念をしているわけでございまして、政府と石川県は県内外で旅館やホテルなど約三万人の受入れ可能な二次避難所を確保しておりますけれども、利用者や希望者はまだ少数にとどまっている現状でございます。
なぜ進まないのかということについては、いろいろ声がございますけれども、住み慣れた地域を離れたくない、また被災家屋の防犯が心配であるとか、やはりペットを置いていけないとか、様々なお声を伺います。この多くの方が不安を感じて決め切れずにいるわけでございますけれども、一方で、旅館やホテルは有料であるなどという誤ったSNSによる誤情報も飛び交ったりしているわけであります。
理由は様々でありますけれども、まずは被災者の災害関連死を防ぐことを最優先にして二次避難所への移動を加速していかなければならない、こう思っております。地震の直接被害から助かった命を何としても守っていかなければならない、こう思うんですね。
特に、ペットの受入れ可能な避難所の拡大はまだまだ必要でございますし、二次避難を迷っておられる方にやはり地元に戻れる期日のめどを示すなど、できるだけ避難者の希望に沿った形で二次避難の後押しをしていただきたいと思うんですね。
総理、見解をお伺いいたします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 被災地においては、厳しい冬の寒さ、また長引く避難生活によって厳しい環境が続いています。命と健康を守る、災害関連死を防ぐ、こうした観点から二次避難は重要であると考えています。
そして、災害救助法によるみなし避難所としての利用額の基準の特例的な引上げ、七千円から一万円への引上げ、これを行ったほか、地域のコミュニティーを維持したい、ペットと一緒に避難したい、こんな多様なニーズに応えられるように、業界団体の強力な働きかけ等によって必要な数の二次避難先、これを確保し、そして県が行う受入れ施設のマッチング、これを支援している、こうした状況です。
今後とも被災者に寄り添いながら県と連携をしていきたいと思っておりますが、二次避難をためらっている方々、過疎地域において自らのコミュニティーをこれからも守れるんだろうかという不安、それから二次避難をした後、再び戻ってこれるんだろうかという不安、あるいは二次避難先での情報共有を始めとする様々な支援が十分なのかというような不安、この様々な不安に応えなければなりません。今後の見通しと併せて様々な情報提供を行うことによってこういった不安に応えていく努力も二次避難を進める上で重要なポイントになるのではないか、このように考えます。
是非、こういった観点から、県と連携をしながら二次避難を進め、災害関連死、これを防いでいくために努力をしていきたいと考えます。
○塩田博昭君 総理、ありがとうございます。
次に、仮設住宅についてでありますが、輪島市の坂口市長などからも要望があったわけでございますけれども、建設が急がれている仮設住宅について、仮設住宅に二年以上、長期にわたって住めるようにしてほしいんだと、こういう要望がございました。そして、やはり同じ集落ごとに移動を進めてほしいと、こういう要望でございました。
東日本大震災では、宮城県の岩沼市が仮設住宅への居住を集落ごとにしたことによってコミュニティーのきずなが強まって建設的な復興につながった、こういうお話もございます。こうしたコミュニティーを壊さない仮設住宅への居住について積極的に進めていただきたいと思います。防災担当大臣の見解を伺います。
○国務大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
被災者の生活再建に当たりましては、その地域に住み続けたいという被災者の思いを踏まえまして、住まいの確保に加えまして、なりわいや就業の確保、コミュニティーの維持、回復など、生活全般にわたるきめ細かな支援が必要であると認識をいたしております。
委員御指摘の宮城県岩沼市玉浦西地区の事例などは、拝見をいたしましたが、被災された方々が地区単位で仮設住宅に入居をされ、最終的には地域コミュニティーを維持しながら集団移転が進められたものと承知しております。
私も災害で経験をいたしましたが、二年で追い出すのかとか、こういう極端なことを言われたこともございます。決してそんなことはございません。原則二年でございます。それは、やはり災害復旧でございますから、一日でも早く復旧をしていただきたいという思いの中で、そしてそれぞれの御事情が出てまいりますので、それに合わせていろいろな対応を柔軟にやっていくべきだと考えております。
そういう意味では、熊本県の、県と一日の日には石川県をおつなぎをいたしまして、熊本県からいろいろな形で人員派遣をいただきました。輪島には仮設住宅を手掛けた方を送っていただいて、その方から仮設住宅について熊本型の木造の基礎を打った瓦屋根のプランであるとかそういったものをお示しいただき、熊本モデルあるいは石川モデルという御提案までいただいて、それを今、県と共有をさせていただいているところでございます。
これから多様なニーズが出てまいりますので、これからが一つ一つ丁寧に対応していかなければならないと、このように考えております。
○塩田博昭君 次に、避難所等における感染症対策の強化についてお伺いいたします。
断水のために、避難所の衛生環境の悪化などから感染症の拡大によって災害関連死の増加のおそれが出ているんですね。実際に、新型コロナウイルスやインフルエンザの感染が増えています。避難所や被災地において感染症の拡大を抑え込むために、十分な消毒薬やマスクのプッシュ型の提供、そして発熱者の隔離スペースの十分な確保や迅速なPCR検査体制の確立というのは当然急務なんです。
また、新型コロナワクチンは三月末までは無料接種できますのが、できますけれども、コロナ治療薬は昨年十月から有料になっていますよね。また、被災者には無料提供したり、そこで、被災者には無料提供したり、インフルエンザワクチンも未接種の方には無料提供できる機会を増やしていただいて、医療費が高額なためにそういうものを断るということがないようにしていただきたいんです。
そのことについて、一言、厚生労働大臣からお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(武見敬三君) 委員御指摘のとおり、避難所におけるこの感染症対策というのは極めて高度の専門的な知見に基づいて計画的にきちんと組み立てられなければなりません。
日本環境感染学会、これDICT、災害時感染制御支援チームとともに、厚生労働省の職員、それから国立国際医療研究センター及び国立感染症研究所の専門家が、限られたスペースの中での感染者の動線管理や手指消毒等の衛生環境の改善方法などについて助言するなど、現地での対策支援を一体的に現実に今現場で行っております。マスクや消毒薬などの衛生用品などのプッシュ型の支援等を通じて、必要な物資の確保も着実に今進めております。
その上でまた、新型コロナなどの感染症の治療などが、この被災者の医療については窓口での一部負担金の支払の猶予、免除を行うよう保険者に要請した上で、免除した市町村等に国が財政支援をするという形を整えました。さらに、インフルエンザなどの予防接種につきましては、隣接する市町村など被災地以外での接種や定められた接種時期を過ぎた場合の接種など、各自治体に対して柔軟な取扱いを行うように要請をしているところです。
被災地では、地域ごとに状況が様々であることや、時間の経過とともに状況が変化をいたしますから、引き続き、現地の最新状況の把握をして、迅速に必要な対応を取ってまいりたいと思います。