公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

被災状況ごとの支援策、分かりやすいフローチャートの作成を/羽田事故訓練にドクヘリ・ドクターカーの活用を/参院予算委

2024年03月25日

参院予算委員会は3月25日、岸田文雄首相らが出席し、岸田内閣の基本姿勢に関する集中審議を行いました。

公明党から石川博崇議員と私が質問に立ちました。

能登半島地震の被災者への給付を迅速に実施するよう主張するとともに、半壊以上の住宅被害を受けた高齢者らのいる世帯へ最大300万円を支給する国の「地域福祉推進支援臨時特例交付金」や、同交付金の対象外の子育て世帯などに対する石川県の「自宅再建利子助成事業」について、「いつから始められるのか分かりやすく丁寧な周知を」と求めました。

岸田首相は、22日に発表した国の液状化対策を含め、「こうした支援について石川県で早急に支給できるよう作業を進めている」と述べ「分かりやすく周知できるよう国として支援する」と応じました。

また、多岐にわたる重層的な支援策を被災者に分かりやすく伝えるため、被災状況ごとの支援策を示したフローチャート(流れ図)の作成が必要だと訴えました。松村祥史防災担当相は「分かりやすいフローチャートの作成に取り組み、4月の早い段階でお示ししたい」と表明。

また、羽田空港での航空機接触事故に触れて、羽田空港で実施されている航空機事故の対応訓練に医療救護の観点を含めてドクターカー、ドクターヘリの活用をするように提案しました。

これに対して斉藤鉄夫国土交通相は「ドクターカー、ドクターヘリの活用も視野に入れ、より実践的、効果的な訓練ができるよう関係機関と検討する」と答えました。

<質問と答弁>

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
まず、私から、能登半島地震の被災者支援の強化についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。
元旦に発生をいたしました最大震度七の地震によりまして、本当に着のみ着のまま避難をされた方も大勢いらっしゃいます。そういう中で、もう発災から三か月近くがたつわけでございますけれども、今も避難所には九千人近い方が、避難をされている方もいらっしゃるわけでございます。そういう中で、大切なことは、やはり被災者に寄り添った、被災者側の立場に立った支援の継続、充実が必要であると、このように感じております。
被災者に対する公的支援としては、例えば最大三百万円が支給される既存の被災者生活再建支援制度がありますけれども、今日は、総理が石川県の被災地を視察された二月二十四日に発表されました新たな交付金制度について質問をさせていただきたいと思います。
この新たな交付金制度は、特に被害の大きかった能登地域の六市町を対象に、自宅が半壊以上した、半壊以上の被災した高齢者がいる世帯、そして地震の影響で収入が落ち込んだ若者、子育て世帯などの住宅再建などに最大三百万円を支援するというものでございます。
私も、公明党の災害対策本部の事務局長といたしまして一月六日に奥能登に入って以来、ほぼ毎週のように現地に伺いまして、そして多くの方の現場の声、聞いてまいりました。そういう中で、やはり総理、この新たな交付金は分かりづらい、不公平だなどという声も現場では多く私も聞いてまいりました。
例えば、この新たな交付金の対象地域を六市町に限定をしたことによりまして、被災者から、同じ地震に見舞われて同じ全壊なのにどうして対象にならないんだと、また、同じ県内で不公平だなどの意見が私の方にも何度も寄せられております。そのたびに、お見舞いを申し上げながら、一人一人の声をよく聞いてみますと、この制度の背景や趣旨が被災者によく伝わっていない、こういうために誤解が広がっているケースもございました。総理の決断でつくったせっかくの救済制度も、肝腎の中身が十分に被災者に伝わっていないということであれば、やはりこの新たな交付金制度、しっかり現場に丁寧な説明が必要であろうと、このように思うんですね。
そこで、総理は、新たな交付金制度の対象とならない世帯についても、石川県につくった独自の自宅再建利子助成事業を組み合わせることによって、半壊以上の住宅被害を被った世帯の多くが支援の対象となってカバーされると、こういうふうに総理言われております。
総理、総理が、この二つの制度を使うことによって多くの被災者をカバーできると発言されていることはとても心強いことでございますので、その根拠、また被災者のうちどれくらいの人に支援が届くのかということについて、両制度の概要と併せて御説明いただきたいと、このように思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般の新たな交付金制度ですが、高齢化が著しく進み、半島という地理的制約から住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多いなど、地域コミュニティーの再生が乗り越えるべき大きな課題となっている能登地域の実情、特徴を踏まえて、能登地域六市町において、住宅半壊以上の被災をした高齢者等のいる世帯、そして資金の借入れや返済が容易でないと見込まれる世帯を対象に、地域福祉の向上に資するよう最大三百万円を目安とした給付を行うものでありますが、これによって、大まかに試算すると、対象地域における住宅半壊以上の被害を被った被災世帯のうち八割程度が給付対象になると考えています。
そして、それに併せて、委員御指摘のように、この資金の借入れにより住宅を再建しようとする世帯に対しても、石川県において最大三百万円の住宅再建利子助成事業が実施されるものであると承知をしています。この制度は、原則収入六百万円以下という要件がありますが、子育て世帯については収入要件はないものとなると承知をしています。結果として、全ての子育て世帯が対象になると聞いております。
したがって、これらの組合せによって、高齢者から子育て世帯まで、住宅半壊以上の被害を被った支援が必要な世帯を幅広くカバーできるものであると考えており、こういった制度について説明をさせていただいているところであります。

○塩田博昭君 総理、ありがとうございます。
今総理もお話あったように、八割程度が給付の対象になる、そして全ての子育て世帯が対象になると。これをやはり現場の中でしっかり徹底をしていくことが必要であると、このように思います。
そして、更に詳しくお伺いいたしますけれども、壊滅的な被害に見舞われた例えば輪島市とか珠洲市とか、避難されている高齢者の方から、例えば私が直接伺ったお話なんですけれども、私たち高齢者に対して手厚い支援は大変に有り難いんだと、しかし、元々若者がどんどんいなくなって高齢者ばかりになっている地域にとっては、若者や子育て世帯が希望を持って戻ってこられるような是非支援をしてほしいんだ、こういう声を高齢者の方からもお伺いいたしました。
国の新たな交付金は六市町が対象ですので、この対象にならない人には、国が支援をした石川県の自宅再建利子助成事業によって、先ほど総理が答弁していただいたように、県内の半壊以上の世帯は対象になると、こういうことでいいんだというふうに思います。
総理、この石川県独自の助成事業によって、住宅が半壊以上の若者、子育て世帯が住宅ローンを借りて自宅を再建しようとする場合、融資の利子分について最大三百万円を融資の借入時にはすぐに一括してもらえると、このように私は理解しておりますけれども、全ての子育て世帯が所得制限なしで対象となって、家を再建する前に最大三百万円を一括して手にできると、こういうことでいいんですよね。ここは、総理、明確にお答えいただきたいと思います。
そうであれば、住宅再建においては先ほどの新たな交付金と比べても遜色はないと、このように思いますし、県内全ての人が対象地域であれば不公平ではなく、若者や子育て世帯が希望を持てるのではないか、このように思います。だから、総理は、住宅半壊以上の支援が必要な子育て世帯はフルカバーされると、救済されると言われているんだというふうに私は理解しております。
ただ、これが実感としてなかなか現場には伝わらないんですね。是非、ここのところについては周知の努力お願いしたいと思っています。
その上で、総理、若者、子育て以外の世帯についてもおおむね半分以上が対象になると、このように言われております。そこで、これらの事業の中身、そしていつから始められるのか、分かりやすく丁寧な周知お願いするとともに、総理から希望の持てるメッセージをお願いしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど答弁させていただいたように、この新たな交付金制度については資金の借入れや返済が容易でない世帯を幅広く対象とする、このようにさせていただいておりますが、その上で、この新たな交付金制度の対象とならない資金の借入れにより住宅を再建しようとする世帯についても、石川県の事業として県内全域を対象として住宅再建利子助成事業による給付が実施されるということでありますが、具体的には、石川県内で住宅半壊以上の被災をした世帯に対して、自宅の再建等のための住宅ローンの利子分の助成として最大三百万円を借入時に一括で前払をするものであります。そして、その収入要件については、先ほど申し上げたように、子育て世帯については設けない、このような制度になっています。
したがって、この新たな交付金制度と石川県の住宅再建利子助成事業、そしてさらには、先日復旧・復興支援本部で公表した液状化対策等を組み合わせることによって、県内の全域を対象として住宅に被害を被った被災者世帯に必要な支援が行き届くことになることから、甚大な被害に遭った石川県においても支援を必要とする若者や子育て世帯が希望を持って生活を続けていくことができる、このように考えているところであります。
今、こうした支援について、石川県においては、早急に支給できるよう今作業を進めているところであります。こうした支援策について分かりやすく丁寧に周知できるよう、国としてもこの支援を行いながら、石川県とともに取組を進めていきたいと考えております。

○塩田博昭君 今総理から非常に前向きで分かりやすいお話もございましたけれども、いつからかという部分については、やはりもうできる限り四月中に始めていただけるようにお願いをしたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
そして、もう一つの課題は、やはりこうした様々な制度、用意をしていただいているわけですけれども、やはり現場には伝わりづらい、分かりにくい、こういうことがあります。
例えば、先ほど来の新たな交付金とか自宅再建利子助成事業以外にも、被災者生活再建支援金とか、雑損控除の前年分適用の特例など税制上の対応もありますし、被災者救助法の、災害救助法に基づく被災住宅の応急修理とか生活福祉資金貸付けの特例など、支援策は多岐にわたって、全体的には非常に重層的にいろんな制度があります。また、今総理言われたように、この二十二日には新たな液状化対策も発表していただいているわけでございます。
しかし、こうした制度を、しっかり被災者に伝わって使っていただかなければ意味がないわけでございますので、しかも、被災者の皆さんはこういう制度を熟知しているわけでもありませんので、だからこそ、こうした制度が自分にはどう当てはまるのか、これは違うけどこれは申請できるんだ、こういう、被災者ごとに、被災状況ごとに分かりやすいフローチャートのような案内がやっぱり必要だろうと、このように思っております。
そこで、支援策の全体像と支援策にたどり着きやすいフローチャートを作成すること、そして、被災自治体の窓口においてもそれをワンストップで支援策の申請ができる体制の強化をお願いしたい。防災担当大臣に明快な御答弁お願いしたいと思います。

○国務大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
災害時におきまして、被災者の皆様方にそれぞれの支援策を分かりやすくお伝えすることは、これはもう必要なことだと思っております。
今回の能登半島地震におきましては、内閣府におきまして、まず、生活と、それからなりわいについての国の支援制度をパンフレットにいたしまして、避難所にお届けをしたりお配りをして周知を図っているところでございます。そして、先生今御指摘いただいたトータル的なものが必要じゃないかと、おっしゃるとおりでございます。
このため、被災自治体あるいは県と連携をいたしまして、御指摘のとおり分かりやすいフローチャートの作成に取り組み、何とか四月の早い段階でお示しできるような形を取りたいと考えております。
ちなみに熊本地震のときには、発災から今三か月でございますが、恐らく被災者の方々は不安でいらっしゃいます。これ、やっぱり将来に対する不安です。何が分からないかが分からない状態だろうと思います。熊本のときには、例えば仕事について、家が被災をした、これを直すにはとか、であれば、こういう制度があるのでここにお尋ねをくださいとか、こういう一覧表を作成したり、このことは既に石川県にもお渡しをしておりまして、いろんな検討を進めているところでございます。
そして、この間、総理からの御指示の下にいろんな支援策が充実をしてまいりましたので、刻一刻と変わるニーズに対応できている状況、一つのフローチャートとしてまとめる必要があると思います。また、六市町村においても既にワンストップの窓口を、体制を整備いただき、いろんな御相談、見ていただくことと直接御相談いただく、こういった二重の体制を整えているところでございます。
引き続き、被災した市町村、石川県とも連携をしながら全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○塩田博昭君 ありがとうございます。
是非、四月の早い段階からということで、よろしくお願いいたします。
次に、羽田空港で一月二日に発生をいたしました海上保安庁機とJAL機との衝突事故についてお伺いをしたいと思います。
能登半島の被災地へ支援に向かう海上保安庁機の五名の乗員がお亡くなりになられたことはとても残念なことでございますので、衷心よりお悔やみを申し上げる次第でございます。
そこで、二度とこのような事故を起こしてはならないわけでございますけれども、外部有識者による検討委員会で再発防止に向けた検討を進めているとのことでありますけれども、この事故当日の振り返り作業がとても重要であると、このように思います。緊急通報ルートの伝達から始まって、消防車や救急車など、どこを通過して制限区域内の滑走路の近くに着いたのかとか、医師、看護師はどこから派遣されて、どのように事故現場で活動できたのか、こういう入念な検証作業が必要だと思うんですね。
当日の検証については、有識者による検討委員会の検討項目に入っているのか、もし入っていなければ、詳細な事故調査報告書を取りまとめるべきと考えますけれども、国交大臣の見解をお伺いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、塩田委員御指摘のこの外部有識者委員会、検討委員会は、今回のような痛ましい事故を二度と起こさない、その未然防止という観点から、航空管制を中心としたハード、ソフト両面で更なる航空の安全、安心対策を検討する場として立ち上げたものでございます。したがいまして、この検討の中には事故発生後の対応である消火救難や医療救護の活動検証は含まれておりません。
他方で、委員御指摘のとおり、事故当日の現場対応の振り返りは、振り返り作業は極めて重要であります。そこで、消火救護の活動に関わった全ての関係機関や、当日御協力をいただいた空港内事業者を集めた会議を一月末より継続して開催し、事故当日の現場対応の振り返りを今進めているところでございます。
今後、できるだけ早く検証結果を取りまとめるとともに、関係機関との連携がより一層円滑になるよう、引き続き改善を積み重ねてまいりたいと思っております。

○塩田博昭君 ありがとうございます。
じゃ、もう時間ございませんので、関連して最後、航空機事故対応訓練についてお伺いをしたいと思います。
羽田空港では、毎年十月に東京国際空港航空機事故消火救難総合訓練というのが実施をされております。その訓練の目的は、羽田空港内で万一航空機事故が発生した場合に、関係機関が緊密な連携の下に消火救難や救急医療活動などによって被害を最小限に抑制して、いち早く空港運用の再開を目指すとのことでやっているわけです。
昨年十月二十六日に実施されたこの訓練では、被害を最小限に抑制する救急医療活動といいながら、そこにはドクターヘリもドクターカーも入っていなかったんですね。だからこそ、是非、平常時の訓練段階からドクターヘリとドクターカーの活用を視野に入れた総合訓練の実施を是非ともお願いしたいと思います。国交大臣の見解を伺います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 空港事故における医療救護体制を整えるという観点は非常に重要だと思いますし、今、大変重要な御指摘をいただいたと思います。
今後の羽田空港における航空機事故対応訓練に向けて、御指摘のドクターカーそしてドクターヘリの活用も視野に入れて、より実践的に、また効果的な訓練ができるよう、関係機関と検討してまいります。

○塩田博昭君 今大臣があったように、絶対にこういう航空機事故を起こしてはならないわけですが、万が一あったときにもちゃんとした体制をつくる、こういうことであると思います。どうかよろしくお願いします。
以上で終わります。