公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

「地域インフラ群再生戦略マネジメント」の推進で災害に強い地域を/国土交通委員会

2024年05月30日

5月30日開催された、国土交通委員会において、「国土の整備、交通政策の推進等に関する調査」で質問に立ちました。

能登半島地震被害から未だに水道が復旧していない珠洲市などにおいて、宅内配管までの応急措置としての給水機能を有する止水栓の設置の取り組みや、各地域の社会インフラを単独の市町村で維持管理することの課題と新たな取り組みである「地域インフラ群再生戦略マネジメント」について期待される効果、さらに「群マネ」の今後の方向性と国交大臣の意気込みなどを伺いました。

<質問と答弁>

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。

まず、私からは、能登半島地震関連でまず質問させていただきたいと思います。特に、水道の復旧状況と宅内配管の加速化について伺いたいと思うんですね。

先日の党の災害対策本部で、国土交通省から、五月二十八日時点で石川県で九八・二%の水道本管が復旧済みと、こういう報告を受けたんですね。これはあくまでも水道本管の復旧であって、被災した各家庭の宅内配管工事が完了した数字ではないと、こう思います。水道は生活に不可欠なインフラですから、各家庭の蛇口からしっかり水が出る、要するに各家庭の蛇口の断水が解消されなければ復旧とは言えませんので、やはり宅内配管工事の加速化が急務であると、こう思うんですね。

そこで、水道の復旧について二点伺いたいと思いますけれども、一つは、九八・二%復旧済みと言っている水道本管について、地元からは、あくまでも応急修理ではないのかと、こういう懸念の声があるんですね。耐震化された最新の水道管による復旧であるのか、若しくは、今後改めて耐震化を進める計画なのか、まず一点目、お答えいただきたいということと、二点目に、輪島市であるとか珠洲市において、まだまだ宅内配管工事が手付かずでいまだに断水が続いている世帯が多くあるわけでございまして、そこで、宅内配管の修繕までの応急的な対応策として、早期に宅内配管の復旧が困難な場合において、給水機能を持つ止水栓を設置をして、被災者が水を利用できるように応急的な対策工事を早期に実施すると、こういうことでありますけれども、これは地元に対してしっかり周知されているのかと、ちょっと心配なんですね。実は、地元の我が党の議員に聞いたら、そのことを知らなかった、こういうことがあったりですね、そういう部分を考えると、更なる周知と、今後どのように対策を進めるのか、しっかり教えていただきたいと思います。
以上二点、よろしくお願いします。

○政府参考人(松原誠君) お答えいたします。

一点目でございます。
被災した水道管につきましては、構造物の耐震性を確保することによる復旧、地上に仮設配管を応急的に設置することによる復旧などの方法により対応してございます。
仮設配管を設置する場合におきましても、本復旧を行う際に、構造物の耐震性を確保することによる復旧を行うことができます。また、被災地を含む全国の水道管につきましては、今般の地震を踏まえ、水道の給水所となる基幹施設や避難所等の重要施設に係る管路等の耐震化を防災・安全交付金等を活用し、計画的、重点的に推進してまいりたいと思っております。

二点目でございますけれども、宅内配管につきましては、国土交通省では修繕対応が可能な県内外の工事業者のリスト化及び住民の皆様への情報提供に取り組んでおり、石川県におきまして、工事業者の手配を行う受付窓口の開設、地元市町以外の工事業者が行うことによる増加経費に対する補助制度の創設を行っているところでございます。

加えて、早期に宅内配管の復旧が困難な場合に、被災者の皆様が宅地内で水を利用できるよう、今委員から御指摘があったように、珠洲市において、五月二十三日より給水機能を有する止水栓を応急的に設置する取組を始めたところでございます。珠洲市では、まずは給水所から水を運ぶことが困難な高齢者の皆様を対象に、保健師が電話や訪問などにより設置の希望調査を行うなど、きめ細やかに周知されていると承知をしております。

引き続き、石川県や被災市町と連携いたしまして、給水機能を有する止水栓の制度の周知に努めるとともに、制度の活用について他の市町にも提案していくなど、宅内配管への対応の加速化に取り組んでまいります。

○塩田博昭君 今御答弁いただきましたけれども、一つは、復旧工事については、今本管については進んでいる、しかし今御答弁いただきましたけれども、例えば断裂しているところのその部分的な部分だけを新しいもので配管で替えたり、また今配管をつないだんだけれども、それは地下に埋設しているわけじゃなくて地上の上に配管が乗っかっちゃっているままだとかですね。そうすると、やっぱり石川県の耐震化率が水道管低いからこういうことが起こったので、やっぱりしっかり耐震化率が上がるところまでやっていくということが根本的に大事だと思いますから、災害救助法の対応がどこまでできるとかというようなことはあるんですけれども、できる限りそこのところは応援をしていただかないといけないと、このように思っています。

また、先ほどの止水栓のところも、高齢者と限らず、できるだけやっぱり困難な生活をされているところについては応援していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

次に、道路や道路橋、トンネル、河川など、インフラの老朽化対策についてお伺いしたいと思います。

国土交通省は、二〇一二年の笹子トンネル天井板の崩落事故以降、インフラ長寿命化基本計画の策定やその行動計画などを定めて、各分野における老朽化対策を積極的に進めていますが、高度経済成長期に集中的に整備されたインフラは、今後急速な老朽化が懸念をされているわけでありまして、特に近年、気候変動に伴って激甚化、頻発化する気象災害や切迫する大規模地震などから国民の生命財産を守り、社会の重要な機能を維持するためにもインフラのメンテナンス、そして老朽化対策は最重要の課題であると、このように思っています。

そこで、政府参考人に伺いますが、建設から五十年以上経過した老朽化した施設の割合、現況について教えていただきたいと思います。

○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。

委員御指摘のように、老朽化対策は喫緊の課題であると認識しております。インフラ老朽化の状況は建設からの年数で一律に決まるものではございませんが、全国の建設後五十年以上経過している施設の割合について申し上げますと、二〇二二年度末時点で、道路橋で約三七%、トンネルで約二五%、河川管理施設で約一三%などとなっております。これが二〇四〇年には、道路橋で約七五%、トンネルで約五二%、河川管理施設で約三九%となる見込みです。

○塩田博昭君 今局長から御答弁いただいたように、やはりインフラのメンテナンス、大きな課題があると、このように思っています。

そこで、インフラの管理を担う市区町村の課題についてお伺いしますけれども、道路や道路橋、トンネル、河川など生活に身近な社会資本インフラは、国、都道府県や政令指定都市に比べて市区町村がその管理を担うインフラがやはり多くを占めているんですね。それにもかかわらず、市区町村では、例えば技術系とか土木系の職員が非常に少ない、財政面を含めて様々な課題が多いと認識をしております。その具体的な割合や数値について、政府参考人にお伺いいたします。

○政府参考人(榊真一君) お答え申し上げます。

委員御指摘のとおり、多くのインフラの管理を担っております市区町村では、技術系職員の確保等が課題となっております。

総務省の地方公共団体定員管理調査のデータによりますと、市区町村における土木技師及び建築技師の人数は、二〇二三年四月時点で約五割の市区町村では五人以下、約二五%の市区町村では一人もいない状況となっております。

また、総務省の地方財政統計年報のデータによりますと、市区町村における土木費の合計は二〇二一年度で約六・五兆円となっており、ピーク時の一九九三年度の約十一・五兆円と比べると約六割程度となっている状況でございます。

○塩田博昭君 今御答弁いただいたように、やはりかなり課題があるというふうに私も認識しておりますけれども。

そこで、国土交通省では、地域インフラ群再生戦略マネジメントという取組が提唱されておりまして、今国会の国交大臣の所信の中でも、防災・減災、国土強靱化の項目の中で、加速度的に進行するインフラの老朽化に対しては、広域、複数、多分野のインフラを群として捉える地域インフラ群再生戦略マネジメントを進めるなど、予防保全への本格転換を図ると斉藤大臣は言及をされているわけでございまして、この地域インフラ群再生戦略マネジメントとはどのような新たな取組なのか、参考人にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。

多くのインフラを管理する市区町村におきましては、人員や予算の制約などから単独の市区町村では対応できないインフラメンテナンスの課題が顕在化していると認識しております。市区町村が抱えるこうした課題を踏まえつつ、的確にインフラ機能を発揮させるためには、既存の行政区域にこだわらない広域的な視点で、道路、公園、上下水道といった複数、多分野のインフラを群として捉え、更新や集約、再編、新設も組み合わせた検討により、効率的、効果的にマネジメントし、地域に必要なインフラの機能、性能を維持する取組が重要です。

国土交通省では、こうした取組を地域インフラ群再生戦略マネジメントと呼んで、その取組を推進しているところです。これにより、例えば、技術系職員が一人もいない町でも、県や近隣の市などと連携し、技術的な知見を補完することが可能となります。また、道路、河川、公園等の管理をまとめて発注したり、巡回などの管理業務をまとめて行うことにより効率化が図られるといった効果も期待されるところです。

○塩田博昭君 今局長言っていただいたように、非常に大事な考え方であり取組だというふうに思っています。

インフラの老朽化が激しくて、市区町村がやらないといけない、だけどお金がない、人材がいない、だからこそ、こういう考え方の中で進める、そういう必要はあるんだろうというふうに思いますので、最後に国交大臣にお伺いいたしますけれども、今御答弁あったように、地域インフラ群再生戦略マネジメントは、広域、多分野ということで、これまでに事例のない新しい取組になると思いますけれども、今後具体的にどのような方向性で進めて予防保全への本格転換を図っていくのか、国交大臣の意気込み、決意をお伺いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国土交通省では、地域インフラ群再生戦略マネジメント、非常に長い名前なので群マネと、このように呼んでおります、この群マネを全国で展開すべく、昨年八月に有識者検討会を立ち上げまして、昨年十二月には、先行的に課題解決に取り組む意欲の高い十一件、四十自治体をモデル地域として選定いたしました。各モデル地域で得られた知見も踏まえて検討会で議論いただき、全国の自治体が群マネを通じて予防保全型のメンテナンスに取り組むための手引きなどを取りまとめることとしております。

笹子トンネルの事故以降、インフラの点検、診断、措置、記録のメンテナンスサイクルの構築のほか、新技術の導入や財政支援の強化などを進めてまいりましたが、委員御指摘の課題にも対応するため、この群マネの取組を開始したところでございます。

群マネを全国に広め、予防保全型のメンテナンスの考え方をしっかり浸透させていくことで、地域のインフラを適切に管理し、次世代に引き継ぐことができるよう、全力で取り組んでいく決意でございます。

○塩田博昭君 ありがとうございます。

今、大臣からも全力で取り組むということでございました。これは大事な取組ですので、是非予算しっかり取っていただいて、前に進むようにと思っております。どうかよろしくお願いいたします。以上で終わります。