下水疫学調査(サーベイランス)の検証実験を視察
仙台市の浄化センターと東北大学
公明党の国土交通部会(伊藤渉部会長=衆院議員)として1月11日、仙台市の南蒲生浄化センターと東北大学工学研究科を訪れ、下水疫学調査(サーベイランス)の検証実験の現場を視察しました。
下水中にはヒトから排出された新型コロナウイルスが存在することから、下水中のウイルスを検査することにより、地域の感染症のまん延状況の把握や、特定の施設における感染有無の探知などを行い、効果的・効率的な対策につなげられる可能性があり、国内外で下水サーベイランスに関する研究・取組が行われています。
私は、国土交通部会の部会長代理として、この下水疫学調査に着目し、第一人者である北海道大学の北島正章准教授らをお招きして党内で勉強会を開催するとともに、公明党として昨年11月に政府に申し入れた「新たな経済対策の策定に向けた提言」の中に「下水中の新型コロナウイルス濃度の調査・測定から、地域の感染状況を迅速に把握し、より効果的な感染症対策を強力に進めるため、関係省庁(内閣官房、厚生労働省、国土交通省等)が連携し、下水疫学調査(下水サーベイランス)の 活用と実施体制の構築に向けた検証など必要な取り組みを加速すること」という内容を盛り込みました。
その結果、令和3年度補正予算の中に「下水サーベイランス技術の実証」予算として約10億円が計上されています。
視察した仙台市は東北大学と協力して、下水のウイルス濃度を解析し、1週間先の感染者数を予測する取り組みを実施しています。
同大学大学院工学研究科の佐野大輔教授は「昨年1年間の新規感染者の予想値と実際値の推移がほぼ一致している」と説明。また、同席した北海道大学の北島正章准教授も「10万人に1人の感染陽性者だとしても、下水の中からウイルスが発見できるまで検査の感度が上がってきた」との言及がありました。
この手法と技術は、東京オリ・パラの選手村でも毎日の検査に活用され、実績を上げています。PCR検査などでは検査を受けなければ、陽性者を特定できませんが、無症状者であっても、下水疫学調査なら「見えない感染を見える化」できます。
感染者の増減の全体像の把握や、オミクロン株の減衰期(ピークアウト)や新たな変異株を早期発見できる可能性もあります。
今回の視察を生かし、何ができるのか、何をしなければならないのかを、しっかりと考え、さらに取り組んでまいります。
仙台市の南蒲生浄化センターで採水現場を視察
採水した下水からウイルスを解析する工程について説明を受ける