公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

原発に依存しない社会を目指して/参院 資源エネルギー調査会で質問

2023年02月22日

2月22日、参議院 資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会で原子力政策と原子力規制について、原子力規制庁と経済産業省に質問しました。

・世界で最も厳しい水準の原子力規制と国民の信頼確保
・主力電源化を進める再エネの克服すべき点と原発再稼働の意味合い
・革新炉建設のGX基本方針と原発依存度低減のエネルギー基本計画──などをポイントに、なかでも「原発の新設・増設を認めない」との立場を強調しつつ、「次世代革新炉」建設がGX基本方針に明記されたが、これが、エネルギー基本計画に記されている「可能な限り原発依存度を低減する」ことと矛盾するものではなく、直接的に原発の増設にはつながらないことを経済産業副大臣に確認できました。

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以下、質問原稿の全文を掲載します。

1.国民の安全を守る規制について原子力規制庁の所見

本日は、新たに就任された原子力規制委員会の山中委員長をお迎えして「原子力問題に関する件について」の質疑ということですが、山中委員長が、衆議院予算委員会で不在のため、原子力規制庁に質問しますので、よろしくお願いします。

(問1)先ほどの所信で山中委員長が、「厳正な原子力規制を遂行する」ことや、
規制の運用について「改善を続けること」などを述べられたところではありますが、
改めて、国民の安全を守るための原子力規制について、原子力規制庁からまず、所見を伺います。

2.世界で最も厳しい水準の原子力規制、安全神話の否定と国民の信頼確保

私からは、原子力政策と原子力規制について質問させて頂きたいと思います。
我が国の原子力規制は、「世界で最も厳しい水準」とされています。
このことは、2014年に策定された第4次エネルギー基本計画以来、記されているところでして、2021年10月公表の第6次計画にも明記されています。

そもそもこの現行の原子力規制は、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省を踏まえ、新たに策定されたものでありました。
原発災害は大勢の方々に多大な影響を与えました。2020年3月14日に常磐線が全線で復活し、また、立入制限の区域も次第に減少してはいます。
しかし、いまなお家に帰れない方々が大勢いるなど、福島復興はまだまだです。

事故から既に12年になろうとしていますが、“原発廃炉”は、デブリの取り出しの見通しが立たず、道半ばというより、緒(ちょ)にも就いていない現実があります。
原発事故は二度と起こしてはなりません。福島に思いを寄せるたびに、その決意を新たにするところであります。

(問2)そこで、原子力規制庁に伺います。世界で最も厳しい水準に適合した原発は安全なのでしょうか。
常に安全性向上の取り組みを継続すべきことは言うまでもありません。 しかし、
国民の安心や信頼の前提は安全なのです。専門家が、もしかしたら危ういと言い続けるようでは誰も安心できません。安全神話の否定と安全性確保のための規制は矛盾しないと思うのですが、この点、原子力規制庁のお考えを伺います。

3.主力電源化を進める再エネの克服すべき点と原発再稼働の意味合い

私はあのような大事故を引き起こす原発ついて、新設・増設は認めない立場です。

そこで日本のエネルギー政策は原発に依存することなく、再エネの主力電源化に向けて集中的に取り組むことで、日本のエネルギー安全保障と脱炭素社会を図るべきであります。
ただ、エネルギーの安定供給を確保すると言っても、再エネの主力電源化が
一朝一夕で、実現するとは思っておりません。
再エネは自然変動電源であり、この変動性への対応のためには、大型で安価な蓄電池の開発が急がれます。
また日本の送配電は、火力発電など、大規模集中電源を前提とした構造のため、これを増強するとともに、分散型電源である再エネに適した形に変えていく必要もあります。

(問3)そうしたことから、現実的に考えますと、
再エネの主力電源化の過渡期にある間は、原発を、新たな規制基準に合格し、
地元の理解を得た場合に限って、利用せざるを得ないと思うのですが、

これに関して、原発再稼働の条件や現在の稼働数、
さらに今後の再稼働の見通し等を含め、経済産業省の見解を伺います。

4.原発のメリット・デメリット

(問4)次に、原発のメリットとデメリットについて、
原子炉の構造にも熟知した科学者集団でもあるのが原子力規制委員会ですね。そこで事務方である原子力規制庁に伺いますが、そもそも原発には、どのような
メリットがあり、どのようなデメリットがあるとお考えですか。

なかでもデメリットのリスクにどう対処すべきと考えておられるのか。
原子力規制庁の所見をお伺いします。

5.エネルギーミックス・火力発電の在り方と原発

エネルギーの安定供給と原発について伺います。

日本のエネルギーミックスに占める原子力の比率は、
事故前の2010年度は25%で、2021年度には6.9%と承知しています。
この間、全基が停止した原子力に代わって、「火力発電の利用」が増えましたが、この間、再エネの取り組みも増加し続け、2021年度には2割を超えました。

現在、地球規模で脱炭素化の取り組みが求められており、これ以上、
CO2を多く排出する旧来型の火力発電は利用すべきでありません。
また、エネルギー安全保障の面から、
燃料を海外に頼らずに済む再エネを十分に活用していく必要があります。

そこで、まず、火力発電は、我が国の優秀な科学技術を結集し、
LNG火力での水素混焼や石炭火力でのアンモニア混焼、火力発電の高効率化、さらに二酸化炭素の回収貯蔵や直接回収等を実現する必要があります。
そして、再エネは、そのデメリットの早期解消に向け、強力に取り組む。
こうしたことで、一日も早いカーボンニュートラル社会を実現する必要があります。

(問5)原発を脱炭素電源として見直す向きもありますが、
日本の科学技術力をもってすれば、原発に依存することなく、
再エネの主力電源化と火力発電をめぐるイノベーションを実現し、これと同時に、

省エネの技術革新を追求することで、日本の電源構成を脱炭素社会に向けた
バランスの良いものに出来ると思うのですが、経済産業省の見解を伺います。

6.次世代革新炉建設のGX基本方針と原発依存度低減のエネルギー基本計画

2023年2月10日、「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました。

ここには、原発の建て替えについて、「エネルギー基本計画を踏まえて
原子力を活用していくため、原子力の安全性向上を目指し、
新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む」と、「建設」の文字が記されました。

一方、2021年10月の「エネルギー基本計画」には、
「東京電力福島第一原子力発電所事故を経験した我が国としては、
安全を最優先し、経済的に自立し脱炭素化した再生可能エネルギーの拡大を
図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」と書かれています。

私はこの基本計画の記載は、全くその通りで、これは堅持しなければなりません。

一方で、イノベーション実現の重要性も言うまでもなく、
原発であっても、その研究開発を否定してはなりません。
しかしながら、今回のGX基本方針には「建設に取り組む」と踏み込んだ記述と
なっていまして、原発への回帰を懸念する声が高まっています。

また、エネルギー基本計画には、原発への国民の不安について、
「依然として、国民の間には、原子力発電に対する不安感や、原子力政策を推進してきた政府・事業者に対する不信感・反発が存在し、原子力に対する社会的な信頼は十分に獲得されていない。こうした中で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所において発生した、核物質防護に関する一連の事案を始め、国民の信頼を損なうような事案が発生した」と記しています。

(問6)そこで、国民の不安感、そして不信感が解消されないままで、
GX方針で、研究開発よりも一歩踏み込んだ「建設」を明記した理由や意味合い、また、そもそも、「可能な限り原発依存度を低減する」とされていることとの関係について、経済産業省に伺います。

7.核のゴミ最終処分に向けた取り組み

核のゴミの問題は深刻です。使用済燃料は、各原発の敷地で保管中ですが、
各原発は、乾式貯蔵やリラッキングすることで、保管余地を広げようとしていますが、それには限界があります。

より深刻な問題として、そもそも、使用済燃料の最終処分場がないことです。
核のゴミの最終処分場は日本だけでなく世界中のどこにも現時点で存在しません。

我が国における地層処分場の選定は、実地の調査を伴わない文献調査が、現在、北海道の2町村を対象に行われています。

使用済燃料の処分は、全国民が考えるべき課題であるにも関わらず、調査が、
この寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)だけでとどまっていることは、当調査会では何度も問題ありと取り上げられてきました。

(問7)原発が再稼働すると、核のゴミは増えますが、核のゴミの課題が解決していない以上、原発再稼働は容易なことではないと思います。

この、原発が稼働すれば増え続けるゴミの課題解決に向けて、
政府は、「政府の責任で、最終処分に向けて取り組んでいく」としていますが、
具体的にどうしていくのか。今後のスケジュール等を含め、経済産業省に伺います。

8.運転期間ルールの在り方と規制委の判断

原子力規制は、科学的・技術的知見に基づいて粛々と進めるべきであり、そうした取り組みの積み重ねが、原子力規制への信頼を高める道であると思います。

そこで、原子炉の運転期間に関するルール、
いわゆる40年ルールの在り方については、

(問8-1)まず、40年ルールの原則自体は堅持されると理解していますが、
その上で、審査に要した期間を除外しようとする理由について、
このことは40年ルールと矛盾しないのかを、経済産業省に伺います。

(問8-2)さらに、老朽化した原子炉の安全審査については、今回の検討を機に、
これまで以上に厳しくなるとも言われておりますが、この点について原子力規制庁より御説明をお願いします。