公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

国交委で質問/防災・減災の観点から「新たな国土構造」へ

2022年04月19日

4月19日、参議院国土交通委員会で質問に立ちました。

本日の委員会のテーマは「国土の整備、交通政策の推進等に関する調査」ということで、①「新たな国土構造」への形成・転換について②地震・津波に対する防災情報の高度化③セーフティネット住宅の拡充──などについて、斉藤国交大臣らに質問しました。

なかでも、「新たな国土構造」への形成・転換については、防災・減災の観点から「新たな国土構造」の形成・転換が必要だと主張し、太平洋側の各地方と日本海側の地方が機能補完し合うような国土、さらにはあらかじめ都市の持つ機能を分散するような国土構造への転換の必要性と、そのためには基幹道路や整備新幹線など都市を結ぶネットワークの充実が必要だと訴えました。

参議院 国土交通委員会で質問


■以下、全文を掲載します。

1.「新たな国土構造」への形成・転換について

公明党の塩田ひろあきです。

近年、“巨大地震”がいつ起きてもおかしくない状況であるとの指摘がある通り、防災・減災への取り組みの強化が求められています。

国内のどの地域が大規模な災害に見舞われても、その地域が担ってきた産業や製造業等の経済活動などについて、速やかに継続・再開できるような仕組みづくりが必要です。

その取り組みの一つに、平常時や災害時を問わず、安定的な輸送を確保するため、2018年3月に、物流上、重要な輸送網を「重要物流道路」として国土交通大臣が指定する制度が創設され、全国で約3万5,000キロの道路が「重要物流道路」に指定されたことは、災害時に大いに役立つと考えています。

この指定によって、例えば、超大型の国際海上コンテナ車が走行する場合に、必要な特殊車両通行許可の手続きが不要になり、機動的に輸送できる環境ができたことに加え、災害時に緊急車両が通行できるよう、救援ルートの確保を国が行えるようになったことで、緊急支援物資などの安定的な輸送が迅速に確保されると期待しています。

そこで、防災・減災の観点から、「新たな国土構造」の形成・転換が必要だと考えています。
例えば、特定の地域やエリアが、巨大地震などで甚大な被害を被っても、国内の他の地域が、その被災地域の機能をカバーしたり、経済などの機能を分散しておくことが重要だと思います。

この点、諸機能が集中している太平洋側だけでなく、日本海側の機能の強化を図りながら、両方をつなぐ道路ネットワークの強化や整備新幹線の整備を進めておく必要があります。

日本各地のエリアが、それぞれの機能を補完し合い、あらかじめ機能を分散した国土構造への転換の必要性や、あり方について、国土交通大臣の見解を伺います。

2.地震・津波に対する防災情報の高度化

①緊急地震速報の予測精度の向上について

先月3月16日深夜に発生した福島県沖を震源とする震度6強の地震をはじめ、この数カ月間、日本各地で地震が多く発生しています。

3月16日の夜は、東京も震度4を観測しました。最大震度が5弱以上と予想された場合に、震度4以上が予想される地域を対象に、事前に緊急地震速報(警報)が発せられると思いますが、携帯電話やテレビからの「緊急地震速報」が鳴らなかったのは、どのような条件によるのでしょうか。

一方で、「緊急地震速報」の予測精度の現状について、具体的なデータを基に教えてください。また、今後の予測精度の向上、提供時間短縮への取り組みについてもお答えください。

②巨大地震の津波観測網の整備について

地震や津波から国民の命と暮らしを守るため、防災気象情報の高度化と地震観測施設の機能強化は必須の施策です。地震発生から何分後に津波警報を適切に発表できるかは、その地域の住民の命に関わり、津波災害の被害を軽減できる重要な情報です。

想定される巨大地震について、精度の高い津波警報の提供が重要ですが、津波情報を適切に把握する「津波観測網の整備」が急務と考えますが、こうした整備が着実に進んでいるのかについて、文部科学省に伺います。

③津波観測網のデータの活用について

これらの津波観測網のデータを気象庁ではどのように、津波警報等の発表に活用しているのでしょうか。気象庁に伺います。

3.セーフティネット住宅の拡充

①セーフティネット住宅の最新の登録戸数について

次にセーフティネット住宅の拡充について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、住まいの確保に困難を抱えている世帯や、社会的な孤独・孤立の問題を抱える世帯、子育て世帯や高齢者世帯などについて、誰もが安心して暮らせる住まいの確保が重要です。

加えて、今後、増加が見込まれるウクライナから避難されてくる方々の受け入れ住宅としても、このセーフティネット住宅の活用を視野に入れる必要があるかも知れません。

2017年4月に成立した「改正住宅セーフティネット法」は、同年10月に施行され、2020年度末までに17万5000戸の登録を目標としていましたが、当初は登録が十分に進まなかったと認識しています。
そこから約2年を経たいま、最新の登録戸数はどうなっているのでしょうか。
直近の数字をお教えください。

②登録戸数が増加した要因について

登録戸数が目標値を大きく上回っている訳ですが、登録戸数が急速に増加した要因について、どのように分析されているのでしょうか。

③住宅確保が困難な要配慮者への実効性を高める取り組みについて

さて、課題はここからです。
国が運営する「セーフティネット住宅 情報提供システム」のサイトに随時、反映されている登録戸数は、4月15日現在、全国の総登録戸数は、73万6,065 戸に上っています。

しかし、このサイト上で、「詳細条件で探す」からの「部屋状況」の項目で「空室」にチェックを入れて検索すると、一気に8,664戸に激減します。
総登録戸数 73万6,065 戸の内、8,664戸しか空き室がないということです。

さらに、高齢者用など「専用住宅」に絞り「空室」と条件を絞り込むと、654戸に減ります。
この「専用住宅」の中で、「空室」かつ「保証人不要」という、低所得の高齢者の多くが該当するであろう条件で絞り込むと、何と290戸になります。全国で290戸ですから、すぐに入居できる「空室」は、あまりにも少ないのではないでしょうか。

また、登録住宅に入居する低額所得者の負担を減らすため、家賃債務保証料を減額した業者に対して、その減額分を自治体が補助する制度は、住宅確保要配慮者専用の住宅に限られており、その「専用住宅」の登録件数が少ないことは、大きな課題です。

住宅確保が困難な要配慮者の入居を拒まない、せっかくの法体系と制度ですから、より実効性を高める必要性がありますし、要配慮者が増える中で、抜本的に強化・拡充する必要があると考えます。慣れ親しんだ地域で誰もが安心して住み続けるため、この制度では不十分ではないでしょうか。国土交通省の見解を伺います。

④住宅手当制度の創設について

私は、このセーフティネット住宅の管理戸数を大幅に増やす努力が必要だと思いますし、一方で、バリアフリー化や耐震化を確保するなどを考えると課題も多いと思います。
そこで、公明党は、昨年10月の衆議院本会議の代表質問で、わが党の石井幹事長が、住宅確保が困難な状況にある人に対して、新たな公的家賃補助として「住宅手当制度」を創設すべきと提案しています。

欧州各国において、「住宅手当」は、受給資格をクリアすれば、予算の上限に関係なく受給できる制度(エンタイトルメント・プログラム)として広く普及し、イギリスやスウェーデンにおいては全世帯に占める受給率が15%を超える状況にあります。
この「住宅手当制度」が、わが国においても必要と考えます。ぜひ、前向きに検討して頂きたいと思います。国交大臣の見解を伺います。

4.建設キャリアアップシステムの充実について

最後に、国交省が推進する「建設キャリアアップシステム」の充実について伺います。
このシステムは、建設業に関わる技能者の資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴などを登録・蓄積し、技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立つものとして、私も大事な仕組みだと思っています。
ただ、このキャリアアップシステムへの登録について、もっと簡単に登録・操作できるような仕組みにならないかとの声が中小企業から寄せられています。メールによる問い合わせフォームだけでなく、電話でも問い合わせられるようにしてほしいなど、大企業にとっては簡単であっても、さまざまな業務を少人数でこなしているような中小企業にとっては、登録を進めたくても、そればかりにかまっていられないのが実態です。実際、中小企業の方が圧倒的に多いわけですし、丁寧な対応をお願いしたいと思います。国交省の見解を伺います。