公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

孤独・孤立対策に「社会的処方」も導入検討を/消費者特

2023年11月18日

11月17日、消費者問題特別委員会で質問に立ち。①消費者問題の背景にある孤独・孤立対策に社会的処方の導入②東京23区の火葬料金の適正化③食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ──等について、政府の見解を質しました。

<質問と答弁の概要>

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。

消費者行政というのは、もう本当に私たちの暮らしにまさに直結をする大事な問題が山積をしておりますので、やはり生活者の暮らしに寄り添ったテーマを今日は積極的に質問させていただきたいと、このように思います。

近年、若者による特殊詐欺、また強盗、殺人など凶悪事件が頻発をしております。私はこういうことに対して大変危機感を感じているんですね。
こうした消費者トラブルの背景に、一つは、孤独、孤立という問題が一因としてあるのではないかというふうに私は思っております。特に、この三年間、新型コロナの影響によりまして、社会経済活動もストップいたしましたし、また、学校教育における対面による教育環境もやはりなかったことで、若者が孤独、孤立に陥る環境が生まれた、こういうことも消費者被害が多発する背景の一つにあるのではないか、このように思っているんですね。

大臣も所信の中で、孤独、孤立の状況にある方、高齢者、障害者といった方々の消費者被害の防止については触れられておられるんですけれども、私は、被害防止だけじゃなくて、SNSの闇バイトなどで安易に加害者になってしまう、そういう若者が増えているわけですね。そういう加害者側に孤独、孤立の問題が横たわっているんじゃないか、このようにも感じているんです。

警察庁によりますと、昨年の特殊詐欺の件数は一万七千五百七十件、前年比で二一%増加しているんですね。また、被害額においても三百七十億八千万円に上って、前年に比べて三一%増加をしている、こういう状況であります。

そこで、消費者庁では、主に高校生を対象に「社会への扉」ということで教材を使って消費者教育、これを行ってはおられるんですけれども、私は、この内容に加えて、若者が決して加害者にならない、そういう教育プログラムも中学生も対象に加えて検討してはどうか、このように思います。
消費者担当大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(自見はなこ君) お答えいたします。

社会のデジタル化の進展によりまして、中学生や高校生がSNS上におきまして安易なもうけ話の投稿等の情報に触れ、重大な被害者被害に遭ったり、あるいは委員も御指摘いただいておりますような加害者となってしまう例が生じていると認識をしてございます。

中学生や高校生が自立した消費者として、また社会の構成要員の一人として責任ある行動が取れるように、消費者被害に遭いやすい類型、手法の知識の提供や、情報リテラシーや情報モラルの重要性について意識を高める必要があると考えてございます。

本年三月に閣議決定をいたしました消費者教育の推進に関する基本的な方針におきましてその旨を盛り込んでおりまして、引き続き、文部科学省を始め関係省庁とも連携をいたしまして、中学生や高校生向けの消費者教育の教材の充実など、若者向けの消費者教育の取組についてしっかりと対応を進めてまいりたいと存じます。
あっ、失礼をいたしました。ちょっと失礼をいたしました。重大な消費者の被害でございます。

○塩田博昭君 今大臣も触れていただいた学校における情報リテラシー教育、これはやはり大事だというふうに私も思っているんですね。詐欺、またもうけ話、闇バイト、こういう大半というのは結局SNSをきっかけとしたトラブルになっている場合が非常に多いわけであります。

消費者白書にも、各世代でSNSトラブルが急増して過去最多となっているということが指摘をされております。小中高の授業の科目に実践的な情報リテラシー教育を早急に導入すべきだと、このように思っているんですね。

今の十代というのは、既にソーシャルメディアを身近に使いこなしてきた、やはりSNS世代だと、このように思っています。しかし、GIGAスクール構想の下で、しかも、GIGAスクール構想の下で一台一台のタブレットなどの端末が普及して、もう機器を取り扱う能力というのは非常に優れているわけですね、子供たちは。しかし、情報を適切に使いこなすための教育が不十分ではないかと、このように思っているんです。

情報リテラシー教育の充実は加害者、被害者双方の消費者トラブルの防止にもやはり関連をすると、このように思っておりますので、あえてこの委員会で質問させていただいております。文科省の見解をお伺いしたいと思います。

○大臣政務官(安江伸夫君) お答え申し上げます。

児童生徒にもスマートフォン等が普及をし、SNS等を通じて様々な有害情報が拡散される現状がある中、学校教育において情報の信憑性を判断する力を養うことは、消費者トラブル防止の観点からも重要と認識をしております。

こうした観点から、文部科学省では、教育課程の基準である学習指導要領において、情報モラルを含む情報活用能力を教科等横断的な視点で育成することを明記するとともに、情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる学習活動を全ての学校現場に求めてきたところでございます。

今後は、塩田委員の御指摘もしっかりとその趣旨を踏まえながら、実際にあった闇バイトの事例やSNSの偽情報等を題材にして、発信者や発信時期の確認、他の情報との比較等の習慣を子供に身に付けさせるための授業動画の作成や教員向けセミナーを実施をしてまいりたいと思います。

○塩田博昭君 ありがとうございます。

今、安江政務官から御答弁いただいたように、やはり情報リテラシーの更なる充実を是非お願いをしたいということをお願いしておきます。

次に、英国で孤独・孤立対策に効果を上げている社会的処方についてお伺いをしておきたいと思います。

今年の夏、参議院の重要事項調査班で、私も英国を訪れさせていただきました。ここで社会的処方について視察をして、様々意見交換させていただいたんですね。英国における孤独・孤立対策の社会的処方の取組は、かかりつけ医を訪れた人が孤独、孤立を抱えていた場合には、薬の処方だけじゃなくて、地域の官民の諸団体やボランティア団体、文化芸術団体など数百の組織との連携で社会的、心理的な解決策を模索すると、このような取組なんですね。

この先駆例をすぐさま日本に導入することは簡単ではないかもしれませんけれども、我が国でも、既存のソーシャルワーカーの活用とか、見守りネットワークの設置促進とか、各地の包括支援センターを起点とした社会貢献活動への積極的参加などを通して孤独、孤立解消につなげる社会的処方の取組ができるのではないかと、このように思っているんですね。

消費者担当大臣は孤独・孤立担当大臣とも是非連携をしていただいて、導入できることから検討を開始していただきたい、このように思っております。担当大臣の見解をお伺いいたします。

○国務大臣(自見はなこ君)

孤独、孤立の状態にある消費者は、周りに相談できずに消費者被害の拡大に結び付きやすい傾向が見られます。こうした方々の消費者被害の未然防止そして拡大防止のためには地域で見守る活動が重要であると、委員と問題意識を一緒にしてございます。

このため、消費者庁におきましては、福祉のネットワークや防犯、防災の取組等と地方公共団体の消費生活センターが連携をいたしまして、配慮を要する消費者の被害を防止をいたします消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークの設置を促進しているところでございます。具体的には、地方消費者行政強化交付金を通じまして、地方公共団体への支援のほか、地方公共団体への直接的な働きかけ、あるいは、今御指摘をいただきましたけれども、福祉部局等との連携の促進や優良事例の紹介、地域の見守りに協力いただける団体の育成などの取組を継続的に行っているところでございます。

こうした取組は、御指摘のように、地域における人と人とのつながりを生かしたものでございまして、孤独・孤立対策に取り組む関係機関等との連携も強化しつつ、委員お示しいただきましたような社会的処方という概念も非常に重要でございますので、孤独、孤立に起因する消費者被害の防止に向けた取組を更に推進してまいりたいと存じます。

○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。

やはり、様々な凶悪な犯罪も、この三年間というのは非常に大きな子供たちに対する影響を与えたんだろうなと、このように思っておりますので、是非そういう取組も進めていただきたい。お願いをしておきたいと思います。

そして、次に、葬祭をめぐる諸課題についてちょっと質問をさせていただきたいんですね。ちょっと時間の関係で一問飛ばさせていただきたいと思います。

火葬料金の適正化についてなんですけれども、東京二十三区では火葬料金が他の地域に比べて高額で推移している問題があるんですね。火葬場は国民生活に必要な公共的な施設であるために、ほとんどの火葬場は市区町村設置で、火葬料金は無料の地域もありますけれども、二十三区では、東京二十三区ではですね、九か所の火葬場のうち七か所で民営が公営よりも料金が高くて、しかも、近年、一部の事業者が急激な値上げを行っている、こういうことがあるんですね。

火葬料金の全国平均は、日本環境斎苑協会によりますと一万三千六百十五円だそうなんですね。東京都下においても、多摩地域の自治体では公営が多いために無料の地域も多いんですけれども、二十三区の民営の火葬施設では八万七千二百円と非常に高いんですね。大きな公民格差が生じています。

しかも、火葬料には法的根拠がないために、今後更に高額になるのではないかとの懸念もあるために、二十三区の各区議会において、火葬料金を適正化するための認可制などを国に対して求める陳情を採択する動きが各議会で出ているんですね。

火葬という言わば公共の福祉を民間が適切に運営する仕組みをどう担保していくのかの検討が必要だと、このように思っています。あわせて、公共料金としての火葬料の認可制の検討について、見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(鳥井陽一君) お答えいたします。

火葬場の許可等でございますが、これは地方自治体が自治事務として実施をしておりまして、その経営主体につきましては、昭和四十三年の当時の厚生省の通知におきまして、永続性や非営利性への観点から、原則として地方自治体、これが難しい場合であっても宗教法人や公益法人等に限ることとしておりまして、現にほとんどがこれらの主体により経営されております。そのような現状を踏まえますと、現時点において全国一律で火葬料金について認可制を動機することは考えておりません。しかしながら、この通知の発出前から設立されている火葬場など、一部の火葬場が民間企業に経営されることは承知をいたしております。

厚生労働省といたしましては、経営主体が民間企業であるかにかかわらず、墓地、埋葬法に、埋葬等に関する法律に基づき、火葬場の運営が国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生等の公共の福祉の観点から支障なく行われることが重要であると考えております。かかる観点から、昨年十一月に、特定の民間企業による火葬料金等の相次ぐ引上げ等の報道を踏まえまして、地方自治体に対しまして適正な火葬場の管理運営、経営、管理について指導監督の徹底を依頼したところでございます。

今後も引き続き、火葬料金の設定を含め火葬場の運営が適切に行われない場合は、指導を行う主体である地方自治体と連携して必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

○塩田博昭君 ありがとうございます。

最後に、食品ロスの半減に向けた目標達成について端的に伺いたいと思います。

二〇三〇年までに食品ロスを半減させる目標達成に向けた施策パッケージを年内にも策定させるとのことでありますけれども、食品の寄附や食材を子供食堂に回すことなどが具体的にどのように検討されているのか、見解をお伺いいたします。

○政府参考人(依田学君) お答え申し上げます。

委員御指摘の施策パッケージにつきましては、年末に向けて、食品ロス削減推進会議の枠組みを活用して検討しているところでございます。

委員御指摘の子供食堂に対する食品の寄附ということでございますが、特にフードバンク団体の体制強化について、農林水産省を中心としまして、フードバンクが寄附食品を受け入れ、そしてこれを子供食堂などに提供するための輸配送費や倉庫、車両等の賃借料の支援を行うとともに、企業とフードバンクとのマッチングやネットワーク強化の推進を行うことが盛り込まれてございます。

こういった事項も踏まえまして、年末に向けて、関係省庁と連携し、施策パッケージの取りまとめを行っていきたいと存じます。