孤独・孤立対策推進法案で質問/内閣委員会
第211回国会 参議院 内閣委員会 令和5年5月25日
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
早速、孤独・孤立対策推進法案の質問に入らさせていただきたいと思いますけれども、今様々質疑があったとおり、孤独、孤立の問題というのは、やはり単身高齢者も大変増えておりますし、現実において、かなり社会全体でしっかり手を差し伸べていかなければならないという課題が大きく、今喫緊の課題となっている、こういう現状でございますので、この法律の中でやはりしっかり孤独、孤立が前進するようにしていくことが必要であると、このように思っています。
そういう中で、この中で、人生のあらゆる段階で誰にでも生じ得るものであるということがしっかりこの法案に書かれているということ、そして孤独、孤立状態にある当事者の問題を社会全体の課題として捉える必要があると明記されていることは非常にこれ大事なことでございますので、我が党においても、この孤独、孤立を個人ではなくて社会の問題として位置付けるように一貫して訴えをしてきたところでございます。
そういう中で、孤独、孤立に悩む人を取り残さない社会づくりというのはやはり急務でございますので、本法案の成立によってどう実効性の高い対策につなげられるのかということがやはり重要なんだと思うんですね。
ここで、小倉大臣にお伺いしたいと思いますけれども、それでは、これまでの取組では一体何が不十分であったというのかというのがまず一つでございます。そして、その上で、本法案の成立によって一体何が変わって、どのような施策の実効性が高まるのかということについてお答えいただきたいと思うんですね。そして、できれば、小倉大臣、この法律に懸ける思い、決意をお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(小倉將信君) まず、これまでの取組で不十分だった点についてでありますが、内閣官房では、これまで、NPO等の取組モデルの調査や地方自治体の官民連携モデルの開発などに取り組んでまいりましたが、組織の性格上、それ以上の本格的な事業を行うことができず、孤独・孤立対策の更なる推進には限界があったところであります。
本法案によって、孤独・孤立対策の事務を内閣府に移管することにより、政府内の総合調整を行いつつ、NPO等の民間法人や地方自治体の取組への支援に係る本格的な事業を行うことが可能となりまして、孤独・孤立対策を安定的、継続的に推進できるようになると考えております。
また、本法案においては、内閣総理大臣を本部長とする孤独・孤立対策推進本部の設置についても規定をしており、推進本部の司令塔機能を生かして各府省庁の施策を有機的に連携させ、実効性のある孤独・孤立対策の推進に担当大臣としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
今回の法案は、仮に成立をさせていただければ、承知する限りでは、全ての国民を対象として孤独・孤立対策を総合的に規定する世界で初めての法律になると考えております。私も、担当大臣になりましてから、支援者の皆様方から様々話を聞いてまいりました。やはり、長引くコロナ禍の下で、非常にこの孤独、孤立の問題も広がっているというような、そのような多くの意見を頂戴をいたしました。やはりコロナ禍を踏まえれば、更にこの孤独、孤立への対応というのは我が国にとって喫緊の課題だと思います。
先ほども申し上げたように、これは我が国の問題だけではなくて、コロナ禍の中で世界に共通して拡大をする問題だとも認識をしております。やはり、各国の担当大臣からは、こうした個々の施策だけでは限界があって、やはり地域のつながりも含めたソフトな政策によって孤独、孤立を予防することによって個々の政策の実効性を高めていくということについて、非常にそれぞれの政策責任者が関心を持っているということも認識をさせていただいております。
そういう意味では、我が国の取組に世界が注目をしているということでありますし、我が国が世界に類を見ないしっかりとした孤独・孤立対策をこれから更に実践をすることができれば、まさに世界の議論をリードすることにもつながるというふうに思っておりますので、そういった事の重大性をしっかり認識した上で、担当大臣として責任を持って、法案を成立をさせていただいた暁には、諸施策を前進をさせていただきたいと考えております。
○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
本当に大臣の気持ちもよく分かりますし、やはりこの孤独、孤立ということをしっかり、実効性のあるものをしっかり進めていくということがやはり重要であります。
そこで、今日は少し、衆議院の我が党の質疑において様々やり取りがあったんですけれども、やはりちょっとまだまだ抽象的な部分があるなというふうに感じる部分がありますので、そのことについて少し今日は確認をさせていただきたいと、このように思います。
四月十八日の本会議で、小倉大臣が我が党の福重議員の質問に対して、今後の孤独・孤立対策において予防の観点が重要と、このようにおっしゃられた上で、孤独、孤立の当事者や家族等が支援を求める声を上げやすく、周りの方が当事者への気付きや対処できるための環境整備、日常の様々な分野における緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくりに力を入れて取り組んでまいりますと、こういう御答弁だったんですね。
小倉大臣、今後力を入れる様々な分野における多様な各種の居場所というのは、どのようなものを充実させようというふうに考えておられるのか、もう少し詳しく、可能なら分野ごとにお示しいただけると大変有り難いと、このように考えております。
○国務大臣(小倉將信君) 孤独・孤立対策においては、孤独、孤立の問題の予防に取り組むことや、人と人とのつながりを実感できることが重要であり、孤独、孤立の問題を抱える当事者等にとって日常の様々な分野における緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくりを推進をすることとしております。この点、衆議院の本会議で御党の福重議員にお答えをしたとおりであります。
更に具体的にということでございます。これからは更に具体的に答弁を申し上げますが、文化芸術、スポーツ、町づくりなど日常の様々な分野における、子供、若者、中高年など世代を超えた誰もが気軽に参加し交流できる居場所を想定をしています。例えば、シニア世代による子供への伝統行事の伝承を通じた交流の場ですとか、大工仕事を通じた中年世代の交流の場などが考えられます。
こうした居場所を具体化するため、本年度の予算で実施をする地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査、これにおきまして、NPO等の提案による日常生活環境での居場所づくりを実践をしていただくこととしております。現在公募中でございますが、公募事例としては、団地における合唱を通じた三世代交流の場ですとか、先ほど申し上げた大工仕事を通じた中年世代の交流の場等がございました。
これらの取組の成果につきましては、地方自治体や関係団体等に共有をしまして、多様な居場所づくりの取組がまさに地域の実情に沿って全国各地へ展開されるよう取組を進めてまいります。
○塩田博昭君 今大臣おっしゃられた、確かに、文化芸術、町づくりという部分において、伝統行事とかの伝承とか、NPOの取組の強化とか、合唱の場を拡大するとか、例えばまた、地域の中で、もう今、コロナの中でなかなかできなかった祭りを広げるだとか、そういう交流の場が広がっていくということも、やはり一つのこの孤独、孤立ということに対してアプローチができるものだろうと、このようにも思いますので、ただ、これをどうやって行政として前に進めていくのかということはしっかり考えていかないといけない分野だと、こういうふうに思っていますので、どうかこの点、よろしくお願いしたいと思っています。
そしてまた、四月十九日の内閣委員会で、我が党の國重議員が、孤独、孤立の問題を社会全体の課題、社会のあらゆる分野で推進を図ることが重要と明記した趣旨について質問したんですね。これで、小倉大臣が、孤独、孤立の問題には、当事者や家族等の状況に応じた多様なアプローチや手法により対応することが求められるものと言えると、このため、孤独・孤立対策を推進するに当たりましては、既存のあらゆる施策、孤独・孤立対策の視点を組み入れていくことが重要というふうに考えているというふうに言及をされたわけでございます。
ここで大臣が既存のあらゆる施策に孤独・孤立対策の視点を組み入れると言われた中で、既存のあらゆる施策というのが何を指しているのかということだというふうに私は思うんですね。それによって孤独・孤立対策をどのように進めようとしているのかを、できればこの点についても分かりやすく教えていただきたいと思います。
○国務大臣(小倉將信君) 塩田委員に御紹介をいただきましたとおり、衆議院の場で、孤独・孤立対策の推進に当たっては、既存のあらゆる施策に孤独・孤立対策の視点を組み入れていくことが重要だということを御党の國重議員に対して答弁をさせていただきました。
ここでいう既存のあらゆる施策につきましては、人生のあらゆる段階や場面に即した多岐にわたる施策が該当するものと考えておりまして、具体例を挙げれば、自殺防止対策、引きこもりの人への支援、不登校児童生徒への支援、刑務所出所者等への支援などといった施策が考えられます。
他方で、こうした先ほどもありました課題解決型の支援施策だけではなくて、孤独、孤立の予防の観点からは緩やかなつながりを築けるような居場所づくりや地域づくりを進めることも併せて重要だと考えております。
こうした孤独・孤立対策の視点を既存の施策に取り入れることで、既存の施策では十分でない取組を強化をする。具体例を挙げれば、今、社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業、ここで地域づくり事業も行っていただいておりますが、ここに孤独・孤立対策による日常生活環境での居場所づくり、これが加わればより既存の事業も強化をされるのではないかと考えておりまして、こうした既存の施策では十分でない取組を孤独、孤立の観点から補強、強化するという政策連携を図ることで十分に効果を上げていきたいと考えています。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
もう一点、衆の議論を通じて確認をさせていただきたいと思います。
これも國重議員の質問なんですが、社会生活を送れているものの望まない孤独を抱えている者に対する支援についてこれ質問した部分なんですね。この質問に対して、内閣官房の政府参考人がこのようにお答えいただいたんですね。ここでの支援の対象は、日常生活又は社会生活を営むことができない方に限定するのではなく、現に日常生活又は社会生活を営めてはいるものの、孤独にさいなまれ、心に痛みを抱えているような方も含まれると、こういう御答弁があったんですね。
この答弁に対して確認をしたいのは、社会的に孤立はしていないんだけれども、孤独感にさいなまれている方も含めて支援の対象になるということはもちろんとても大事なことだと、これは私も評価する部分でございますけれども、果たしてそういう方をどうやって見付けて支援をしていくのかということだと思うんですね。
例えば、孤独・孤立の実態把握に関する全国調査、令和四年度行ったものを見ても、行政機関、NPO等からの支援について、支援を受けていない人の割合が八八・二%となっている、これが現状であると思うんですね。
何か検討している取組また方針があれば、これお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(山本麻里君) お答えいたします。
今御紹介いただきました孤独・孤立の実態把握に関する全国調査結果によると、孤独感があり、支援が必要と思っていても、実際には支援が届いていない方がいることが示唆されています。
その理由ですけれども、支援を受けることを無理に我慢したり、恥ずかしさや他者への迷惑を過度に意識すること、いわゆるスティグマのようなもの、こうしたものをないようにするための環境づくりであるとか、支援の受け方の分かりやすさ、手続の煩雑さの解消や軽減が求められております。
したがって、こうした環境づくりとして、具体的には、当事者等が支援を求める声を上げやすく、周囲の方が気付きや対処をできるようにするための情報発信、広報、普及啓発等の環境整備を推進することを考えております。
具体的に、官民連携プラットフォーム分科会一というところで具体的な取組の対策を関係団体とともに検討してまいりまして、様々な提言をいただいているところでございます。支援を知らない層に対する取組、そして、制度は知っているけれども相談できない層への取組などを御提案をいただいております。
例えば、主訴が分からない、どうしたらいいか分からない状態に、相談してもいいんだろうかというためらいがあると思います。そういうものについても受け付けますよといったことを積極的に発信していくといったようなことも必要ではないかなどなどの様々な提案をいただいておりますので、できるところからできるだけ早く取り組んでいきたいと思っております。
また、孤独・孤立対策に関する支援制度や相談先を一元化して情報発信するウェブサイトを作成しまして、これ、チャットボットという自動応答システムにより悩みに応じた支援制度や相談先を案内するといったようなことでありますとか、先ほどから大臣からも御答弁をさせていただいていますように、こうした問題を抱える当事者の方々にとって日常の様々な分野における緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくりを推進するといったような取組を進めることによって、悩んでいる方に必要な支援が届くようにしてまいりたいと思っております。
○塩田博昭君 御答弁ありがとうございます。
今、様々前向きに御答弁いただいたんですけれども、一番やはり大事なのは、社会で生活をしていて、そして、だけれども心の中にいろんな痛みを持っていらっしゃる、こういう方がどこに相談すればいいのかがやはりなかなか気付かない、やはりそこの間口を広げてあげることがどうしても必要なんだと、このように思いますので、是非そういう様々な施策を行政を含めてやっていただく、またアナウンスしていただく、こういうことが必要だろうなと思っていますので、是非その点、よろしくお願いしたいと思います。
じゃ、次に、孤独・孤立の実態調査結果の施策への反映についてお伺いしたいと思います。
令和四年十二月二十六日に改定をされました孤独・孤立対策の重点計画の基本方針の中に孤独・孤立の実態把握という項目がありますけれども、この中にこのような記述があるんですね。令和三年に行った孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の結果を踏まえ、令和四年に実施予定の実態調査の結果も用いた孤独、孤立に至る要因の分析を行うとともに、孤独、孤立の問題やそれらから生じ得る更なる問題に至らないようにする予防の観点から施策を推進すると、このような記述がございます。
ここでお伺いしたいのは、孤独、孤立に至る要因の分析についてなんですけれども、調査結果というのはその調査時点における結果でありますので、実態が浮き彫りになるということは当然分かるんですね。その結果に至った要因、原因を突き止めて対策を講じないと効果的な対策にはならないと、このように思うんです。そこで、この要因の分析は、現状ではどこがどのように実施をしているのかということが一つでございます。そして、法案成立後はどの機関が責任を持って分析から施策への反映を含めた調査研究を行うことになるのか、これ、政府参考人にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本麻里君) 現状では、内閣官房において孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の調査結果の分析を行っております。
具体的には、孤独・孤立の実態把握に関する研究会において、構成員である専門家により、調査の方法や項目等の調査の実施のみならず、調査結果の集計についても御検討いただいておりまして、施策の立案に資するような分かりやすい調査結果の取りまとめを行っております。
また、施策への反映については、昨年に孤独・孤立対策の重点計画の見直しを行った際に、令和三年の調査結果の有識者による分析を計画見直しの議論に活用したところでございます。
なお、委員御指摘の孤独、孤立の要因に関しては、令和四年の調査で現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事を調査しています。単年での調査にとどまっていますけれども、今後も調査を継続することでデータを蓄積し、より一層の分析が可能になると考えております。
なお、法案成立後は、内閣府において、孤独・孤立の実態把握調査や施策の検討を行うことであるというふうに考えております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
じゃ、次に、NPOの役割とNPOに対する支援についてお伺いをしたいと思います。
孤独・孤立対策においては、自治体を始めとした関係行政機関のみならず、当事者等の多様なニーズに応じてきめ細かな対応を行うNPO法人や社会福祉協議会などの役割は極めて重要であると、このように思います。本法案の第六条にも、国、地方公共団体、当事者への支援を行う者、地域住民その他の関係者は、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとすると、このように書いてあるとおりなんですね。
そこで、孤独・孤立対策について、NPO等の民間法人に期待する役割の確認とともに、社会福祉協議会などがNPOとどのように密接な連携を図ることを想定をしているのか。例えば、グリーフケアを行っている専門の団体があったり、自立支援を中心に行っている団体があったりします。関係団体のそれぞれの強みがあるわけですよね。お互いに連携することで、孤独・孤立対策を総合的に進めることができるのではないかと私は思うんですね。この点について見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本麻里君) 孤独、孤立の当事者等への支援を行うNPO等の民間団体は、孤独・孤立対策の推進に当たって不可欠な存在であり、政策を担う重要なパートナーであると認識しております。また、多様な形がある孤独、孤立の問題に対応するためには、行政機関や当事者等の支援を行う団体が単独ではなく互いに連携、協働して取り組んでいくことが重要であると考えます。
このため、本法案では、当事者等への支援に関わる関係者の連携、協働の促進について規定し、孤独・孤立対策に関わる官民の幅広い関係機関等が参画し、それぞれが対等に相互につながる水平型連携の下で孤独・孤立対策の効果的な施策を推進する基盤となるプラットフォームの構築を推進していくこととしております。
このプラットフォームには、御指摘の社会福祉協議会やNPOを含め幅広い関係機関等に参画いただくことを想定しています。このプラットフォームにおいて、互いの活動についての情報共有や意見交換を行う中で顔の見える関係ができ、信頼関係が構築されることによって、議員が今御紹介いただきましたような、それぞれの強み、持つ強みを生かした連携が図られ、より効果的な対策につながると考えております。
○塩田博昭君 御答弁ありがとうございます。
もう本当に、今御答弁いただいたように、そのつながりを強めていくということが非常に大事なんですね。
私事ですけれども、私も、議員になる前に、NPO法人を立ち上げて、がんの特に悩んでおられる方、もう十年以上前にこういう活動をしていたことがございました。そういう中でも、なかなかやはり、いろんなNPOがいるんですけれども、どうしてもその専門を持ってやっていらっしゃるところの方がやっぱり多いんですね。それぞれが頑張っている、しかしその連携がお互いのNPO等ではできない、そういう課題を持っていたんです。
ですから、やはり行政がしっかりそこのネットワークをつくれるようなつながりづくりということをしっかりやっていただくことが、やはり結局、孤独、孤立という問題についても、それをしっかり対応していくということにつながるんだと、このように思いますから、是非そこの部分は、行政として更に御努力いただけるような体制づくり、お願いをしたいと、このように思っていますので、よろしくお願いいたします。
そして、孤独、孤立の当事者等への支援を行うNPO等はとても重要な存在でありますので、今後、こうした団体の活動に向けた継続的な財政支援の実施がやっぱりどうしても必要だと、このように思います。
NPOを始め支援団体の多くは、どうしても寄附、助成金などに頼っているために、財政的基盤がやっぱり脆弱なんですね。法案第十三条の、国は、当事者等への支援を行う者が行う孤独・孤立対策に係る活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすると、こういう規定に基づいて支援を行うものと、私もこう理解しているわけでありますけれども、そこで、法案成立後は、継続的かつ安定的にNPOに対する支援について毎年の予算が確保されると理解してもいいのか、これについて御答弁いただきたいと思います。
○政府参考人(山本麻里君) 孤独・孤立対策の関係予算については、内閣官房において、関係府省庁の協力を得て取りまとめをしております。
このうち、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援については、孤独・孤立対策の重点計画において、当面、令和三年三月の緊急支援策で実施した規模、内容について、強化、拡充等を検討しつつ、各年度継続的に支援を行うこととされています。これに基づき、令和五年度予算では、令和四年度第二次補正予算と合わせて六十億円を超える規模の予算を確保したところです。
本法案におきましては、NPO等への財政的支援は、委員御指摘のとおり、第十三条の規定に基づき行うこととなります。この本法案成立後も、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援に必要な予算の確保に努めていきたいと考えております。具体的には、今、関係省庁による子供の居場所づくりや生活困窮者支援などを行うNPO等への支援のほか、現在、内閣官房で中間支援組織を通じたNPO等の運営能力の向上や活動基盤整備のための支援方策を検討するモデル調査などに取り組んでおります。
内閣府への移管後の具体的な支援スキームについては、今年度実施するモデル調査の実施状況等を踏まえて、適切な予算執行の下での効果的な支援の在り方について検討していきたいと考えております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
ちょっと時間の関係で、次の質問を飛ばさせていただきたいと思います。そして、ウェブサイトによる相談体制についての質問に移らせていただきたいと思います。
内閣官房孤独・孤立対策担当室が運営をするウェブサイト「あなたはひとりじゃない」は、サイトを訪れた人が幾つかの質問に答えることによって当事者の状況に合った支援制度や相談窓口を対話システム、チャットボットで探すことができるようになっているんですね。従来は悩みに応じて制度や相談窓口の紹介までだった仕組みを、五月中にもマイナポータルとの連携で支援制度の申請手続までワンストップでできるようになると、このように聞いておりましたけれども、その新しい取組はいつから始まっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(山本麻里君) 御紹介いただきました孤独・孤立対策ウェブサイト「あなたはひとりじゃない」においては、孤独、孤立に関する支援の情報を一元化し、自動応答により利用者の悩みに応じた支援制度や相談先を案内しています。
このウェブサイトについては、これまで、支援制度を案内された利用者は、市区町村で手続が必要な支援制度について、自らお住まいの市区町村の情報を探して手続を行う必要がございました。この度、五月十二日より、十八の制度について、マイナポータルと連携し、チャットボットの利用結果のページから市区町村の支援制度の手続情報につなげることが可能になりました。これによって、孤独、孤立に悩む方に必要な支援がより一層スムーズに届けられるようになると考えております。
○塩田博昭君 今御答弁いただいたように、既にワンストップで申請の手続ができる仕組みを導入してから約二週間がたったわけでございますけれども、実際に申請までたどり着いた事例がどれぐらいあるのか、また、「あなたはひとりじゃない」へのアクセス数の増減と併せて教えてください。
○政府参考人(山本麻里君) マイナポータルとの連携により、チャットボットを利用して実際に支援制度の申請が行われた件数については、システム上把握できないところでございます。他方で、チャットボットの利用結果からマイナポータルに接続した件数については、連携を開始した五月十二日から五月十九日までの間で一千二百六十八件となっているところであります。
また、孤独・孤立対策ウェブサイト「あなたはひとりじゃない」への閲覧者数については、四月中旬以降、平日の閲覧者数は一万五千から一万八千人台で推移をしておりまして、五月十二日のマイナポータルとの連携開始による閲覧者数は大体横ばいという状況でございます。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今の御答弁通じて小倉大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今までは、孤独、孤立に関する悩みを抱えている方がせっかくこのサイトにたどり着いても、制度紹介にとどまっていたために、実際に支援を受けるためには居住地の自治体の窓口サイトを調べなければならなかったり、役所の窓口に赴くことが必要であったりということで、支援にたどり着くまでに少しハードルが高かったことを考えますと、申請できる制度の数はまだ十八制度とはいえ、ワンストップで必要な手続をネット上で行えることは大きな前進であると、このように思うんですね。
しかし、早急に申請できる制度の数をもっと増やすとともに、この新しい取組の紹介を幅広く周知をしていただいて、一人でも多くの悩みを抱えている方を救うことが大切であると、このように考えますけれども、小倉大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小倉將信君) マイナポータルとの連携、非常に重要だと思っています。
現在、市区町村で手続を行う支援制度で、マイナポータルにまだ接続をしていない制度につきましては、各市区町村にマイナポータルへの登録を依頼しているところであります。こうした登録状況を踏まえつつ、孤独・孤立対策の広報の一環で今年の夏に実施予定のキャンペーンの前までには、全ての手続をマイナポータルに接続できるよう目指してまいりたいと思っております。
また、周知についてであります。孤独、孤立で悩みを抱えている方に悩みに応じて支援制度等を利用していただけるよう、本ウェブサイトについて広く周知を行うことも大切であると考えております。したがいまして、関係団体と連携して、プッシュ型での周知を行ったり、キャンペーンの機会を活用して関係省庁や関係団体と連携して周知に努めるなど、マイナポータルとの連携も含め、本ウェブサイトを一人でも多くの悩みを抱える方に利用していただけるよう取り組んでまいりたいと思います。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
大臣、是非、このワンストップで手続ができるこの申請の数、できる限り早く進めていただければ有り難いと、このように思いますので、よろしくお願いをいたします。
続いて、「あなたはひとりじゃない」のサイトのSEO対策についてお伺いをしたいと、このように思うんですね。
ネットの検索エンジンにどのような単語、キーワードを入力するかによって検索結果というのは大きく異なってまいります。そこで、関連する単語、検索ワードについて、できるだけ多くを関連付けていただいて、検索結果の最上位に目的のサイトがヒットするよう、SEO対策がやはり重要であると、このように思うんですね。
そこで、「あなたはひとりじゃない」サイトにたどり着くために、私も実際にパソコンで検索してみたんですね。グーグル、まあ代表的にグーグルでやってみたんですけれども、孤独・孤立対策と入力をいたしましたら、検索結果は、孤独・孤立対策、内閣官房ホームページというのが最上位に出てくるんですね。このページを開いてから支援窓口をお探しの方へというバナーをクリックして初めて「あなたはひとりじゃない」にたどり着くことができたんです。次に、では、孤独、孤立とだけ入力してみたんですね。そうしたら、これについては全く同じ結果で進んだんです。続けて、孤独、孤立、悩みと、悩みという文字を入れてみたんですね。初めて「あなたはひとりじゃない」が最上位にヒットしたんです。
実際に、孤独、孤立で悩んでいる方が悩みという二文字を積極的に入力して検索するかどうかというのがちょっと気になるんですね。せっかくの相談支援サイトですから、専門家の意見を取り入れて、よりこのサイトにたどり着きやすくする改善を検討すべきであると、このように思いますけれども、政府参考人の見解をお伺いいたします。
○政府参考人(山本麻里君) 孤独、孤立で悩む方に必要な情報が速やかに届くためには、ネット検索から孤独・孤立対策ウェブサイトへたどり着きやすくすることが大事であると考えております。このウェブサイトにつきましては、その運用に当たり企画委員会を設けており、相談支援を行っているNPOや検索事業者等の有識者の御意見を踏まえながら必要な改善を行っているところです。
今後、御指摘のネット検索から本サイトにたどり着きやすくする工夫を含め、企画委員会の御意見をよく伺いながら、必要な改善を図ってまいりたいと考えております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
もう一問ございましたが、もう時間でございますので、ここで終わりたいと思います。
ともかく、今御答弁いただいたように、ワンストップサイトのSEO対策の充実、これ大変重要でございますので、是非しっかり進めていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。