広域的地域活性化改正案で質問 都市と地方の二地域居住の促進を/国土交通委員会
5月14日、国土交通委員会で「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案」について質問に立ちました。
この法律は東京一極集中の是正や地方への人の流れの創出など、特定の地域に継続的に多様な形で関わる関係人口の拡大に向けた取り組みを促進するもので、コロナ禍以降、地方への移住や都市部と地方の二地域居住などを後押しする改正案です。
二地域居住促進の課題や政府の新たな制度設計や取り組みについて質しました。
<質問と答弁>
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
本日の議題となっております広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきますけれども、今も様々議論があったように、二地域居住というのは今までもなかなか進んでこなかったわけでありますけれども、地方への人の流れをつくっていくためにもやはりこの法案がしっかり実効性を持って進んでいくということがやはり大事だろうというふうに私も強く思っています。そういう意味で、今日は一つ一つについて確認を改めてさせていただきたいと思います。
まず、国交大臣にお伺いいたしますけれども、東京一極集中の是正や地方への人の流れの創出など、特定の地域に継続的に多様な形で関わる関係人口の拡大に向けた取組は、これまでも、第三次国土形成計画による関係人口の拡大目標の設定であるとか、デジタル田園都市国家構想総合戦略による関係人口の創出、拡大へのきっかけづくりの推進など、政府全体として進めてきております。国土交通省も、令和四年三月に地方公共団体向け二地域居住等施策推進ガイドライン及び個人向け二地域居住ハンドブックの公表など、具体的な取組を行ってまいりました。
今回の法案による二地域居住の促進はこれまでの取組と何がどう異なるのか、そのポイントについて、まず大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回のポイントは、やはりコロナ禍があったということではないかと思います。そして、そのコロナを経まして若い人たちが地方移住に関心を持つようになったという、このことがこれまでと大きく背景が違うというふうに考えております。
東京圏在住の二十歳代の若者で地方移住に関心を持つ方の割合が、コロナ禍前後で、前は約三九%、そしてコロナ禍後は約四五%に増加しております。また、国土交通省が実施した調査では、調査対象者の約三割が二地域居住者等への関心層であるなど、コロナ禍を経て若者世代を始めとして地方移住や二地域居住のニーズが高まっております。
その上で、二地域居住は関係人口の創出、拡大を通じた魅力的な地域づくりに資することから、昨年策定した国土形成計画においてその推進を図ることが重要とされたところでございまして、こういう背景の下、先ほど来申し上げておりますような制度化、またいろいろな支援策等をこの法案に盛り込んだところでございます。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今大臣からあったように、やはりその若者の思いが少しずつ高まっている中で、やはり、地方における受入れ体制というのはやはりしっかり整えていくということがより大事だろうということと思いますので、そういうことについてもこの後、ちょっと確認をしたいというふうに思います。
次に、二地域居住促進の課題についてお伺いいたしますけれども、令和五年十月、国土形成計画の推進に関して調査審議を行うため、国土審議会に推進部会が設置されるとともに、地方への人の流れの創出拡大に向けて二地域居住を促進する施策の検討のため、同部会に移住・二地域居住等促進専門委員会が設置をされました。
今年一月、専門委員会は中間とりまとめを行いまして、推進部会に報告をしています。専門委員会で議論された主な論点とともに、示された課題をまずお教えいただきたいというふうに思います。そして、特に中長期的観点から検討すべき課題として示された二地域居住に伴う諸費用への支援の在り方、こういう更なる課題についてどのように対応していくのか、政府参考人にお伺いいたします。
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
御指摘の専門委員会におきましては、主要な課題といたしまして、まず住まい、これは住環境も含めてでございますが、住まい、また、なりわい、この仕事の確保、新しい働き方、また、地域づくりへの参加を含めたコミュニティー、こうした大きな三つの課題が主要な課題として挙げられました。
この二地域居住者の住宅の確保であるとか、公共交通等の住環境の整備であるとか、コワーキングスペースの整備による交流機会の確保、新たなビジネス機会の創出や、地域のニーズに応じた仕事のマッチング、また地域交流の場の創出や、二地域居住者が円滑に地域のコミュニティーに溶け込めるような仕組みづくり、これが主要な課題に対する対応と必要性という、具体的な対応の必要性ということが指摘をされたところでございます。
また、御指摘のございました二地域居住者の交通費等の諸費用への支援、これにつきましては、納税等の負担など地域への関わり方については更なる検討や議論、これが必要だということで、中長期的な課題、観点から検討すべきということとされたところでございます。
こうしたその中長期的課題も含めまして、今後この法案を契機として対応すべき課題といたしましては、例えば先ほども御議論がございました区域外就学制度、この活用によりまして、地方と都市双方の視点に立った考え方のできる人材の育成、また保育環境の整備ということであるとか、長野県におきましては、二地域居住の魅力を発信する情報サイト、これはニブンノナガノという情報サイトでございますけれども、こうしたところで関連施設や二地域居住者の声の紹介をされておられます。
こうした先進的に行われている事例を参考にしながら、法施行後の状況を見て、制度を活用している二地域居住者、また市町村、この意見を踏まえまして、関係省庁と連携して総合的に検討していくというようなことを考えていきたいと思っております。
○塩田博昭君 今、黒田局長から御答弁いただきましたけれど、やはり、この二地域居住に伴う個人負担というのがやはり大きいというところに対して、個人負担の軽減に対する諸費用の支援というのがやはり大事だろうというふうに思っています。そういう意味で、今も様々総合的に検討するということでございますけれども、そういう観点をしっかり持った上で前向きに御検討いただきたいと、このように思っていますので、よろしくお願いいたします。
そして、市町村が策定主体となる特定居住促進計画の作成について私からもお伺いいたしますけれども、本法律案の第二十二条第一項に、当該市町村の区域内の特定居住重点地区の区域内において特定居住の促進を図るための計画、特定居住促進計画を作成することができると、このようにあるわけでありますが、地方の市町村が策定主体となるこの計画の策定については、特に小規模自治体のマンパワー不足であるとか、広域的な政策との整合性の点も踏まえれば、やはりどうしても都道府県の協力やサポート体制が不可欠ではないかと、このように思っております。
この点について、どのような制度設計をしていくのか、国交省の見解をお伺いいたします。
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
この二地域居住を促進するためには、御指摘のとおり、この広域的な観点からの地域活性化を担います都道府県の取組とこの現場の二地域居住者の住まいなどに関する市町村の取組、これがしっかりと連携していないといけないと、そうすることによって初めて効果的な二地域居住の取組ができるというふうに考えておりまして、今回の制度ではそのような取組を支援をするということとしております。
具体的な内容といたしましては、例えば、この市町村が整備をいたします二地域居住に係る拠点施設へのインフラ整備、これ都道府県が行うということで、広域的な観点から二地域居住者の往来を促進することができるということが一つ。また、もう一つは、都道府県と市町村をメンバーといたします特定居住促進協議会、これがつくられることとなっておりまして、都道府県が市町村間の連携を調整するというようなことで、都道府県からの協力やサポート、これをハード面、ソフト面、両面にわたりまして市町村が受けられる仕組みを創設しているところでございます。
小規模自治体のマンパワー、こうしたことも含めまして、国といたしましてもしっかりとサポートをしていきたいと思いますが、現場の都道府県との連携の中でしっかり対応していきたいというふうに考えております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
そして、二地域居住者と地域のニーズとのミスマッチ防止について確認したいと思いますけれども、いざ二地域居住をしたいと思っても、その地域で自治体の計画が策定されていないとか、そういうようなことがあった場合、やはり恩恵を受けられなくなってしまうわけでありまして、このような二地域居住を希望する方と地域のニーズとのミスマッチを防ぐために、どこの自治体でこうした計画策定がなされて、どういった内容であるのか、国としても広く国民に情報を発信するなど、広報を行うことが必要なんだというふうに思います。この点について、国交省の見解、お伺いいたします。
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
御指摘のとおり、二地域居住者がこの地域を、どこに住むかということを選ぶ上で、市町村が求める二地域居住者像であるとか、二地域居住者向けの施設等についての情報、また、そもそも計画があるかないかということも含めまして、そうした情報が広く示されていることが極めて重要であるというふうに考えております。
このため、国といたしましても、これらの内容が記載された特定居住促進計画の有無、それも含めまして、市町村が積極的に情報発信が行えるように国の基本方針に位置付けて促していきたいというふうに考えておりますし、またこれから全国的な官民連携のプラットフォームを立ち上げたいというふうに考えております。その中で、計画を作成している自治体を公表するということであるとか、自治体による二地域居住の好事例であるとか、国の支援制度の内容の共有であるとか、またマスメディア、またSNS、若者向けのSNSなど、民間によるこのプロモーション、情報発信、こうしたことを通じまして、この二地域居住の魅力を若い世代、UIJターンを考えている方々を中心としまして情報発信をしていきたいというふうに考えております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今、黒田局長言われたように、官民連携のプラットフォームの中でしっかり示していただきたいと思いますし、やはりその二拠点で居住をしたいという方にとって一目で分かるようなホームページみたいな形のものの中で、きちっとこの自分が住みたいと思うようなところがどうなっているのかということが一目瞭然で分かるような、その体制ってすごく大事だと思っていますので、よろしくお願いいたします。
そして次に、やはり仕事の部分ですけれども、移住先や二地域居住先での仕事、なりわいの確保について確認したいと思いますけれども、コロナ禍以降、二地域居住への関心は高まってはいるものの、懸念事項は移住先でのやはり仕事、なりわいでございまして、令和五年四月に内閣官房が実施をいたしました新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査を見ますと、移住に当たっての懸念として、仕事と収入という項目が五一・一%というふうになっております。ここにやはり懸念を示しているわけですね。
また、令和四年九月に国交省が行った二地域居住に関するアンケートにおきましても、どのような点が改善されると二地域居住を行いやすくなるのかの問いに対して、五三%が十分な収入の確保だというふうに挙げているんですね。
本法案によって、仕事、なりわいのマッチングも進めていくとのことでありますけれども、具体的にどういう方策を考えているのか、国交省から見解をお伺いいたします。
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
この二地域居住者が御指摘の仕事であるとか収入、この確保をすること、これ非常に重要でございます。
今日、場所に縛られない働き方であるとか兼業とか副業、こうしたものも出始めております。この二地域居住先で様々な働き方を行うことができるようにするということが、これが今日的に重要であるというふうに考えておりまして、現在の仕事を継続しながらでも二地域居住が可能となるような良好なテレワーク環境の確保、これを環境整備の一環として進めていきたいというふうに考えております。
また、専門委員会におきましては、地域金融機関等の関係者が連携して地元の企業におきます外部人材の活用を促進する取組事例、こうした取組事例の御報告がありました。こうした中で、やはりこの二地域居住者の仕事のニーズ、このマッチングを円滑に行うためには、この地方、地域側のニーズ、どんな仕事があって、後継者も含めてどういう仕事、担い手が必要かというような情報であるとか地域にどんな仕事があるのかということを明らかにする、そうしたことを支援を行う団体などの仕組みが必要というような指摘をいただいたところでございます。
この法案の中では特定居住促進協議会というのができる形になっておりますけれども、地域金融機関であるとか商工会、こうしたなりわい、仕事に関係します団体にも構成員として入っていただいて、地元企業が求める人材についての情報共有、また、先ほど来出ております市町村が策定をいたします特定居住促進計画、ここにおきまして、地域が求める二地域居住者像を明確にするということ、また、場合によりましては商工会、これを特定居住支援法人と指定することも可能でございますので、こうした支援法人が地元企業と二地域居住者とのマッチングを図るということも可能にすると、可能となるというふうに考えております。
また、例えば経産省さんで地域の人事部事業というのをやられておられます。これは地域の、地域企業の人材の獲得、育成、定着、これをそれぞれの地域ごとに応援するというような取組でございまして、こうした取組を、しっかり私どもとしても現場で連携をしながら、仕事のマッチング、仕事、なりわいのマッチングというものをしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今、黒田局長言っていただいたことが非常にやはり重要であり大事だというふうに思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。
最後に、四月二十四日に、民間有識者らでつくる人口戦略会議から、全自治体の約四割に当たる七百四十四自治体が将来的に消滅の可能性が高い消滅可能性自治体に該当するなどの報告書が公表されました。
先ほどもこの点についての確認ありましたけれども、この国の将来の地域づくりに向けて人口減少対策は待ったなしの状況であると考えますけれども、これに対して、この法案による二地域居住促進の効果も含めて国交省としてどのように取り組んでいくのか、国土交通大臣の決意と見解を最後にお伺いいたします。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 将来に対しての危機感は塩田委員と同様でございます。
こうした課題意識、危機感を踏まえまして、昨年七月に閣議決定した新たな国土形成計画におきまして、その課題に対しては政府全体で取り組むべきものですが、国土交通省として取り組むべきものとして、まず国土形成計画作りました。
その中におきまして、地域の力を最大化し、地方への人の流れを創出、拡大することで東京一極集中を是正する、これにより人口減少、流出の流れを変え、安全、安心で個性豊かな地域を全国に広げる、このことによって未来に希望を持てる国土への刷新を図る、このように国土形成計画で定めたものでございます。
この実現に向けまして、地域公共交通や買物、医療、福祉、介護、教育などの暮らしに必要なサービスが持続的に提供される地域生活圏の形成を図るとともに、この法案によりまして二地域居住を促進し、若者世代や女性に開かれた魅力的な地域づくりを進める、このことが、これ政府全体の目標ではございますが、国土交通省として進めていくべき課題だと、このように認識しておりまして、全力を挙げていきたいと思っております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
やはり、この法案の実効性、具体的にどう高めていくかが大事だと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。以上で終わります。