公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案で質問/参院本会議

2023年04月07日

参議院本会議で登壇 新型インフル改正案で質問

第211回国会 参議院 本会議 第13号 令和5年4月7日

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について、公明党を代表して質問いたします。
本日四月七日は、くしくも三年前の二〇二〇年四月七日、第一回目の緊急事態宣言が発令された日であります。その日の東京の新規感染者は八十七人。そして、昨日六日の東京の新規感染者は千百九人。新型コロナ感染症との闘いはいまだ終わっていません。
この三年間、我が国の感染症対策は、検査体制、医療提供体制などにおいて甚だ脆弱であったと言わざるを得ない点が多々あります。

だからこそ、公明党が一貫して創設を求めてきたのが、一元的に対策を行うための司令塔である内閣感染症危機管理統括庁の設置であり、組織の縦割りを打破するための見直しなど、構造的な課題の解決につなげるべきであります。
その上で、たとえまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が発せられる前であっても、内閣総理大臣が国の行政機関の長や都道府県知事等に対して、政府対策本部を設置した段階で指示権を使えるようにする本法律案はとても重要で、早急に成立を図るべきと考えます。

そこで、まず総理に伺います。
三年間の新型コロナ対策を振り返り、特に検査体制と医療提供体制について何が課題であったのか、そして、その課題に対する政府の対策と取組の評価、さらに、新たな統括庁の設置でそれらの課題解決にどうつながっていくのか、総理の決意を含め、端的にお答えください。

新たな感染症への備えは、流行前の平時からの体制整備が重要です。
統括庁は、国、地方一体となって対策を講じる司令塔機能を発揮することが今回の法改正の眼目ですが、昨年末改正された感染症法では、自治体や保健所に対して引き続き厚生労働省が所管して対応することとなっています。
感染症が一定数以上に流行し、政府に対策本部が設置された後、いわゆる有事から統括庁が一元的に対策を行うとのことですが、では、統括庁は平時において、各都道府県に対してどのように一体となって連携を図っていくのでしょうか。総理の答弁を求めます。

都道府県は、感染症法の予防計画、医療法の医療計画について、今後、計画を見直すことになっています。加えて、今回の新型インフル特措法においても、都道府県は、政府の行動計画に沿って行動計画を定めることになっています。これらの各計画が実効性あるものとなるよう、国と地方が一体となって新型インフル特措法に基づく行動計画を策定していく必要があります。
統括庁は、政府行動計画の見直しを、いつどのように実施し、自治体に対してどのような取組を求めていくようになるのでしょうか。後藤大臣の答弁を求めます。

感染症危機に対応するには、科学的知見が重要な基盤となります。今国会には、日本版CDC、国立健康危機管理研究機構を創設する法案も提出され、厚生労働省と統括庁の両方に日本版CDCが科学的知見を提供するとのことでありますが、統括庁に対してどのように科学的知見を提供していくのかという点については、法文上必ずしも明確ではありません。
統括庁と日本版CDCが密接に情報を共有することが重要と考えますが、どのように取り組んでいく方針なのか、厚生労働大臣の見解を求めます。

引き続き、ワクチンに対する科学的知見の情報発信と積極的な広報も必要です。政府はワクチンの安全性や重要性、副反応に関する啓発に一層注力してほしいと思います。そして、副反応などの情報はきちんと追跡できるようにデジタル化し、透明性を持って公開していくべきです。あわせて、ワクチンの接種券など、自治体からの重要な郵送物については、視覚障害者への配慮として音声コードを付けるべきと強く主張します。厚生労働大臣の答弁を求めます。
感染症対応の基本は、まず適切な検査を正確に行うことが必要ですが、PCR検査などでは感染者が検査を受けなければ陽性者を特定できません。しかし、下水サーベイランスを活用すれば、その地域の見えない感染を見える化できます。感染の初期段階から、医療機関の検査報告よりも早く感染の傾向が分かり、その後の感染の規模や増減の傾向も把握できる技術です。このため、EUでは、欧州委員会が新興感染症を監視するため下水サーベイランスを全ての加盟国に対し二〇二五年までに導入することを強く求めています。

我が国においても、今年二月まで、全国二十六の自治体の下水処理場などで下水サーベイランスの活用に関する実証事業を実施し、間もなくデータが取りまとめられる段階です。関係機関と情報を共有し、総合的なデータの活用など、今後は統括庁が司令塔として、下水サーベイランスをどのように活用できるか検討すべきだと考えます。後藤大臣の所見を伺います。
今回の法案は、次の感染症危機への備えを万全にするため非常に重要な法案であり、速やかな成立を求めるとともに、公明党は、今後も国民の命と暮らしを守るため、感染症対策に全力で取り組んでいくことをお約束し、私の質問を終わります。
御清聴、誠にありがとうございました。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 塩田博昭議員の御質問にお答えいたします。
新型コロナ対策の課題と評価等についてお尋ねがありました。
これまでの新型コロナ対応において、当初、検査能力の不足や医療機関の人員確保、入院調整、病床確保の困難さなどについて課題があったことを踏まえ、検査体制については、PCR検査機器の全額補助や無料検査の支援等により順次拡充し、医療提供体制についても、看護師等の派遣、病床確保計画に基づくコロナ病床の確保や稼働状況の見える化等を進め、必要な検査や医療を受けられる体制を構築してきました。

そして、こうした課題に対応する中で、平時からのこの感染症危機管理の重要性が浮き彫りとなったため、昨年十二月に感染症法等を改正し、数値目標を盛り込んだ予防計画を都道府県が策定し、地域の医療機関等と協定を締結することなどにより、平時からの備えを確実に推進することとしております。
さらに、内閣感染症危機管理統括庁が司令塔機能を発揮し、各省庁における平時の準備を充実させること等を通じて、感染症危機の発生時に迅速かつ的確な対応を行うことが可能となるものと考えており、次の感染症危機にしっかりと備えてまいります。
内閣感染症危機管理統括庁の平時における都道府県との連携についてお尋ねがありました。

統括庁は、感染症危機への対応に係る司令塔機能を担う組織であり、インフル特措法に規定する政府行動計画の策定、推進等に関する事務を所掌するとともに、感染症の発生、蔓延の防止に関する政府全体の総合調整事務を担うこととしています。
このため、平時から、統括庁において、都道府県行動計画に対する助言や勧告や計画に基づく訓練への協力等を行うとともに、感染症法を所管する厚生労働省等の関係省庁と十分に連携しつつ、自治体との連携においても、必要な場合には関係省庁と自治体との橋渡し役として調整するなど、国と地方の緊密な連携体制を構築してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。

○国務大臣(後藤茂之君) 塩田博昭議員の御質問にお答えいたします。
行動計画の見直しと自治体の取組についてお尋ねがありました。
新型インフル特措法に基づく政府行動計画については、新型コロナ対応の経験等を踏まえて抜本的に見直す必要があると考えています。

政府行動計画の見直しに当たっては、これまでの新型コロナへの対応を幅広く振り返った上で、自治体などの関係者や専門家の科学的知見なども踏まえて検討する必要があると考えており、自治体における感染症法の予防計画や医療法の医療計画の検討作業との関係も配慮しながら、今後、具体的な作業スケジュールを検討してまいります。
都道府県行動計画は政府行動計画に基づき、市町村行動計画は都道府県行動計画に基づき、それぞれ策定することとされており、政府行動計画の検討状況を地方自治体とも情報共有しながら、各自治体におけるコロナ対応の経験を適切に反映した計画の改定をお願いしたいと考えています。

下水サーベイランスの活用についてお尋ねがありました。
感染症の流行状況の把握については、新型コロナへの対応で培った知見や技術を活用しつつ、下水サーベイランスも含め、様々なデータを用いた重層的な把握体制の構築が重要な課題と認識しています。
新型コロナで培った下水サーベイランスの知見と技術については、感染症危機管理における司令塔機能を担う内閣感染症危機管理統括庁においても、国立健康危機管理研究機構や関係省庁と連携して、今後の感染症危機においてどのように活用できるのかを検討してまいります。

○国務大臣(加藤勝信君) 塩田博昭議員の御質問にお答えいたします。
国立健康危機管理研究機構と内閣感染症危機管理統括庁との関係についてお尋ねがありました。
現在関連法案を提出している国立健康危機管理研究機構、いわゆる日本版CDCは、感染症危機に関する司令塔機能を担う統括庁等に質の高い科学的知見を迅速に提供する役割を担うこととしております。

具体的には、平時から科学的知見に関する情報収集、分析を行い、質の高い科学的知見を統括庁等に提供し、また、統括庁等の求めにも応じ、政策決定に必要な科学的知見を迅速に提供するとともに、パンデミック時には、政府対策本部長の招集を受けて政府対策本部で意見を述べることにより統括庁等との政策決定につなげることとしており、法案が成立し、創設した後において、密接に連携をしてまいります。

ワクチンの情報発信と接種券の視覚障害者への配慮についてお尋ねがありました。
新型コロナワクチンの安全性等については、科学的知見に基づき、ホームページ等の様々な媒体を通じて情報発信しております。今後、副反応が疑われる情報や予防接種の実施状況等のデータベースを整備し、そこから得られた知見も公開するなど、引き続き情報発信に努めてまいります。

また、視覚障害者への配慮については、ワクチンの接種券の発送の際に音声コード付きの説明書を同封するといった取組等を好事例として紹介し、各自治体での取組を促しており、引き続き視覚障害者の方が情報を円滑に入手できるよう取り組んでまいります。