津波避難タワーの機能を持つ自走式立体駐車場の整備を/災害特
第211回国会 参議院 災害対策特別委員会 令和5年4月14日
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
今日は四月十四日、熊本地震からちょうど七年でございますし、また、いよいよ梅雨の時期ももう目の前に来ておりますので、そういう意味では、いつ大きな災害が起こるかも分からない、またそういう季節がやってくるわけでございます。そういう中にあって、やはり災害弱者である障害者であるとか高齢者が、いざという大きな災害から逃げ遅れることがないようにすることがやはり大事であると、このように思っております。
そこで、やはり各自治体が作成する個別避難計画について、今日はお伺いをまずしたいと思います。
二〇二一年の災害対策基本法の改正によりまして、個別避難計画の作成は市町村の努力義務になりましたが、その策定に当たってはやはり大きな、多くの課題があって、地方の自治体からはなかなか難しいという声も聞いているわけでございます。
そこで、まず、全国の自治体での個別避難計画の策定率についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(榊真一君) お答え申し上げます。
お尋ねのありました個別避難計画の作成状況でございますが、令和四年一月一日現在、計画の作成に着手している市町村が千百六十七団体、全体の六七%でございます。このうち、全ての要支援者の計画を作成済みとしている市町村は百三十七団体、全体の七・九%となっております。一方で、計画作りに着手できていない市町村の数は五百七十四団体、全体の三三%となっております。
○塩田博昭君 今、榊統括官から御答弁ありましたけれども、やはりいまだ三分の一が未着手ということがございます。
やはり、災害弱者の個別避難計画がなかなか進まない要因は一体何なのかということでありますけれども、努力義務化によって国も計画作りの後押しに乗り出して、総務省は二〇二一年度から地方交付税の対象に計画の策定費を加えて市町村を財政支援もしているわけでございます。また、内閣府は避難支援に関する指針を大幅に改定をいたしまして、計画策定の進め方や策定の優先度についての考え方、また支援者としての組織や団体も計画に記載できることなどをガイドラインに盛り込んでいるということでございます。
しかし、策定率がなかなか伸びない中で、その要因の分析とともに、分析結果に基づく自治体に寄り添ったきめ細やかな支援策の再検討が必要ではないかと思います。防災担当大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷公一君) これまで国におきましては、自治体において、委員御指摘のように、個別避難計画の作成手順や留意事項をまとめた取組方針をより分かりやすくお示しするとともに、この経費について、いわゆる地方交付税措置を講じるなど計画作りを後押ししてきたところであります。
しかし、なかなか思うように進んでいないというその分析、要因でございますけれども、まず一つは、防災部局、福祉部局、どちらも市町村の方の人手不足ということがあるということ、また、多くの関係者を巻き込みながら、また多数の計画を作らなければならないという、そのことの心理的なハードルもあるということ、また、災害に遭っていない自治体に特にその傾向が強いわけでございますが、切迫感が弱い、乏しいといったことがあるのではないかと考えております。
今まで政府といたしましては、簡単な計画のひな形を作るとか、また手引を作るとかやってまいりました。また、市町村に対してこの都道府県が積極的に支援を行っている地域ほど計画作りが進んでいるということが分かってきております。例えば、岐阜県、愛媛県、福岡県においては県内全ての市町村で計画作りが行われている。これは県が積極的に市町村と一体となって、一緒になって取り組んだ結果であろうかと思います。
これを踏まえて、今後、都道府県と一緒になって市町村の計画作りを支援をしてまいりたいと思います。自治体に対する支援の手法も含めて更に幅広く検討を進めるなどして、一歩でも前に進むように汗をかいてまいりたいと思います。
○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
今大臣も御答弁いただいたように、一つでも多く早く未着手をなくしていく、これがやはり大事だと、このように思っておりますので、どうかよろしくお願いします。
ちょっと時間の関係で一問飛ばさせていただきたいと思います。
次に、津波避難タワーの機能を持つ自走式立体駐車場への補助の可能性についてお伺いをしたいと思います。
内閣府の調査では、全国の津波避難タワー等の整備数は、平成二十五年十二月時点で百三十四基でありましたけれども、令和三年四月時点で五百二基まで整備が進んだとのことであります。
しかし、まだまだ十分とは言えない状況だと思っておりますし、国民の命を守るという観点から引き続き津波からの避難先の確保を十分に進めておく必要があると、このように思います。
そこで、津波被害が想定される自治体が津波避難タワーを建設する際に国からどのような補助が出ているのか、まず内閣府防災の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(榊真一君) お答え申し上げます。
自治体が行う津波避難タワーの整備に対しましては、国土交通省の防災・安全交付金や農林水産省の水産業強化対策整備交付金等により支援を行っております。
さらに、南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る津波避難対策特別強化地域におきましては、津波避難タワーの整備に係る国の補助率を三分の二にかさ上げして自治体の取組を後押ししているところであります。
こうした枠組みも活用することで、先ほどお話のありました全国五百二基整備されております津波避難タワーのうち、南海トラフ地震防災対策推進地域では四百三十五基が整備されるなど、それぞれの地域の実情に応じた取組が進められていると考えております。
○塩田博昭君 今、榊統括官からもお話あったとおり、かなり様々な交付金も含めて、タワーを造るための手だてをかなり進めていただいてはいるというところでございます。
そしてさらに、それに重ねて、つい先日、三月二十日の参議院の予算委員会で私質問をいたしましたが、谷防災大臣がこれに対してこういうふうに答えていただいたんですね。避難タワーの整備に加えて、委員御指摘の自走式立体駐車場などの既存施設の有効利用を図ることは効果的であると考えていると、そういうふうにおっしゃられて、安全面などの要件を満たし、施設管理者の御理解を得られたものについて指定緊急避難場所として指定することは十分可能ですと、このように御答弁いただきました。
そういう中で、やはり人口減少率が大きくなっている中で、財政力がなかなか弱い市町村も増えている、こういう中でありますので、特に私の地元である四国とかですね、高知とか徳島、また和歌山なんかも、南海トラフ地震や甚大な被害が想定されている地域においては、財政状況が厳しく、ハード整備が困難であると、こういうふうに言われている自治体も多くございます。
引き続き、津波からの避難先の確保を進めるために、津波避難タワー等の整備と併せて、津波からの避難のための施設を含む複合的な建設物として有効利用できる自走式立体駐車場の建設に対しても、国や自治体から何らかの補助をすることによって避難場所として確保することができないのか、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(菊池雅彦君) お答えいたします。
津波からの避難場所としては、安全上の要件を満たし、例えば、自走式立体駐車場であっても、所在する地方公共団体が策定する地域防災計画に位置付けられているなど、避難場所として必要な機能を明確に有する施設も該当すると考えております。
国土交通省では、地方公共団体がこうした施設のうち津波避難の機能を果たすために必要な部分の整備に対して補助する場合、当該地方公共団体を支援しております。例えば静岡市では、ある立体駐車場を津波避難ビルとして指定し、近隣住民等が発災時に避難できる場所を屋上に確保しています。静岡市はこの駐車場整備に対して近隣住民等の避難場所として相当する部分の経費を補助しており、国土交通省は防災・安全交付金により静岡市を支援しております。
国土交通省といたしましては、引き続き、必要な避難場所の確保に努める地方公共団体を支援してまいります。
以上でございます。
○塩田博昭君 ありがとうございます。あらゆる方法を通じて避難場所をしっかり増やしていく、これが大事だと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
次に、スーパーコンピューターや人工知能、AIを活用した防災・減災対策についてお伺いをしたいと思います。ただ、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、更に一問飛ばさせていただいて、最後の質問をさせていただきたいと思います。
昨年三月に川崎市は、スーパーコンピューター「富岳」によるシミュレーションを基に構築をした津波の浸水予測AIを活用した避難訓練の実証実験を行いました。これは、スマートフォンアプリを通じて参加者にリアルタイムで津波の到達時間や浸水の高さを通知しながら、効果的な避難の在り方を検証するものであります。
今後、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの発生が高い確率で予測される中、津波被害が想定される地域においてこのようなスーパーコンピューターによるシミュレーションとその予想を基にしたAIアプリの活用、そして平時において実際に避難訓練を実施することは極めて重要になると、このように考えております。
是非、内閣府防災が司令塔となって、津波被害など地域の特徴に応じて想定される被害に対して自治体での訓練実施をお願いしたいと考えますけれども、防災担当大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷公一君) 津波対策として、津波避難訓練ということは大変重要なことである、また大事なことであると認識しております。
また、こうした訓練の際、委員御指摘のように、シミュレーションを基にしたスマホアプリを活用することでより安全な避難ルートの確認や参加者にリアリティーを持たせることなどが可能となり、訓練がより効果的なものになると考えております。
今、国では、毎年十か所程度、全国で地震・津波防災訓練を実施しておりますが、例えば昨年度、根室市の訓練ではスマホを使った津波浸水シミュレーションを重ね合わせることによって、より効果的な訓練も行ったところであります。
先ほど委員が御紹介されましたスーパーコンピューターなどを活用した実証実験の成果も取り入れながら、今後とも、デジタル技術を活用した効果的な訓練が全国各地で実施されるよう、地方公共団体とともに積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○塩田博昭君 以上で終わります。ありがとうございました。