深刻な液状化被害への新たな対策を確認/国交委 委嘱審査
予算の委嘱審査として3月22日に開催された国土交通委員会で質問に立ち、深刻な液状化対策について政府の見解を質しました。
特にこの日の朝、政府の「令和6年能登半島地震 復旧・復興支援本部」で示された新たな液状化対策について、国交大臣から概要の説明を求めるとともに、具体的な被災状況に合わせて、どのように救済策が取られるのかなど確認しました。
その他、令和6年度予算に計上された各施策の予算額から、水道行政の移管や上水道の管路の耐震化などについて、質問しました。
<質問と答弁>
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
まず、能登半島地震による深刻な液状化被害における対策について、まず冒頭お聞きをしたいと思います。
この液状化対策については、十九日の国土交通委員会におきましても堂故副大臣に質問をさせていただきまして、一刻も早く新たな対策が必要であると強く求めたところでございました。
私が被災現場に入った石川県の羽咋市であるとか内灘町、富山県の氷見市、そして高岡市、射水市などで、かつて経験したことがないような大きな液状化被害が出ておりました。生活道路のアスファルトがあめのように波打っていたり、道路と住家との間に六十センチ以上の大きな段差が生まれていたりということで、住家の傾きが出ていたり、下水道管の破裂など、現場によって被害の出方が大きく異なっております。
本日朝に開催をされた政府の令和六年能登半島地震復旧・復興支援本部におきまして、新たな液状対策についてどのように取り組んでいくと、こういう新たな方針が出たのか、また、対象地域についても国土交通大臣から明確にお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この能登半島地震による液状化の問題につきまして、所信質疑の第一回目で塩田委員から堂故副大臣に御質問があったと、堂故副大臣から私報告を受けております。
そのことや、また二月十六日の総理の御指示を受けまして、支援措置の強化について検討を進めてきたところでございます。
先ほど開催された第四回復旧・復興支援本部において、その具体的内容が決まりました。まず、石川県内を始め、能登半島地震により液状化被害を受けた地方公共団体、これはもちろん富山、新潟県も含まれます、被害を受けた地方公共団体が、道路等の公共施設とその隣接住宅地を含め、エリア一体的に液状化の再発防止に取り組む際の費用の補助率を通常の四分の一から二分の一に引き上げます。あわせて、被災者の方々が、再発防止のための工事の前に、これは先ほど申し上げたエリア一体的に液状化の再発防止に取り組むその工事でございますが、この工事の前に、この工事をするために支障となる宅地の地盤や住宅の基礎の復旧などを行う場合について、国と地方公共団体で新たに最大三分の二の補助率で支援をいたします。
さらに、被災者の方々が住宅の耐震改修工事とそれに必要な修復を行う場合に最大百二十万円の定額補助を速やかに行えるよう措置します。この措置は、先ほどのエリア一体的に液状化の再発防止を行うエリアから離れていてもこの定額補助を行うということでございます。
これらの措置により、液状化被害を受けた方々の生活再建が迅速に進むようにしっかりと支援してまいります。
また、総務省の方からも、先ほどの会議で、この補助率を二分の一に引き上げるということは残りの二分の一は自治体ということになりますけれども、その自治体に対してもしっかりと財政的な措置をするということが表明されたところでございます。
○塩田博昭君 今大臣から御答弁いただいたように、今回の能登半島地震で影響を受けた地域全てを対象にするということ、この液状化対策についてですね。そして、この地域については多雪区域でもありますので、最大百二十万円の支援を行うという話も今大臣からございました。できる限り多くの方を救うことができるような対策進めていただきたいと思います。
その上で、例えば石川県内灘町のように、激しい液状化によって住宅が水平方向に十二メートルずれ動いたり、大規模な地盤改良が必要と指摘されているこういう地域とともに、富山県高岡市の吉久地区のように、道路と住家との間に大きな段差が生じた地区など被害の状況が異なっているわけでありますけれども、こうした中で、家が傾いていたり、屋根が壊れていたりしても、住家が半壊以上になっていない事例などについてもきちっと支援ができるのか、更に具体的に政府参考人から説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
まず、先ほど大臣から答弁ございましたけれども、地方公共団体が行います液状化による被害の再発防止をするための道路等とその隣接住宅地を含めたエリア一体的な液状化対策、これにつきましては、平成二十八年熊本地震、あるいは平成三十年北海道胆振東部地震、この対応と同様に、通常の補助率四分の一から二分の一への引上げを行うということとしております。
それから、今ほどお話がございましたけれども、家が傾いているあるいは段差が起きているというお話ございましたが、こうした例えば地盤が壊れていると、あるいはそういう住宅の基礎が傾いているといったことにつきましては、この液状化の再発防止を行うための工事の際に、更なるその住宅の傾斜でありますとか宅地の陥没、こうしたことを引き起こす支障が生じるおそれがあるため、その復旧等を今回支援対象といたしたところでございます。
具体的に申しますと、宅地液状化防止事業の事業エリア内、ここにおきまして、被災者の方が地方公共団体の支援を受けまして液状化の再発防止のための工事、先ほど申し上げました地盤を直すとかですね、あと住宅の傾斜を直すと、こうしたことも含まれると思いますが、こうした工事、ための工事の実施、工事を行う際には、国と地方公共団体で費用の最大の三分の二を支援をするということで考えてございます。
さらに、今ほど多雪地域の百二十万というお話ございましたが、これ、大臣からもございましたけれども、面的な液状化対策が行われないエリア、このエリアであっても被災者の方が公共団体の支援を受けまして住宅の耐震改修工事とそれに必要な住宅の傾斜修復、傾きを直すということでございますが、これにつきましても最大百二十万、この定額の補助を速やかに行えるようにしたいと思っております。
一度液状化が生じた箇所につきましては、また地震が起きますと再び液状化が生じるおそれがあるということでございますので、我々として、国交省といたしましては、宅地液状化防止事業によりまして面的な液状化対策を行っていくことが非常に重要であると考えてございます。
今回、国で直轄調査もやっておりますので、そうしたことで得られた知見の活用なども含めまして、被災自治体に対しましてしっかり技術支援を行うことによりまして、可能な限り広い範囲で早期の事業化が進むということが実現するように努めていきたいと、このように考えてございます。
以上でございます。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
できる限りですね、被災者は自分の家に対して、何がどこまでできるんだろうかということに対しては非常に不安を持っていますので、できる限り分かりやすく、現場の皆さんにこうした情報が早く伝わるようにお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、次に水道行政の移管についてお伺いをいたします。
昨年の第二百十一回国会におきまして、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律が成立をいたしまして、本年四月より水道行政が国土交通省に移管をされるわけでありますけれども、令和六年度の国土交通省水管理・国土保全局の予算の中で、水道関係として百七十一億円が計上されております。これは、前年度の厚労省における水道関係予算額百七十億円とほぼ同額でございます。それに加えて、上下水道事業関係費として三十億円が計上されていますが、これは、これまで厚労省が取り組んできた水道関係事業を国土交通省において引き続きしっかり取り組むとともに、さらに上下水道一体の効率化や基盤強化推進事業の創設などに充てる予算、三十億円と理解してよいのでしょうか。
国交省から説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
委員御指摘いただきましたように、令和五年度予算において、水道施設整備費等として計上されている百七十億円の予算については、令和六年度予算において百七十一億円を計上しています。また、生活基盤施設耐震化等交付金として計上されていた予算については、防災・安全交付金として計上しています。これらの予算によって、これまで厚生労働省が支援していた水道施設の耐震化や広域化等の取組について、国土交通省としても引き続きしっかり支援をしてまいります。
加えて、上下水道一体での効率的な事業実施に向けた計画策定や官民連携等の事業を支援する新たな予算制度である上下水道一体効率化・基盤強化推進事業を創設し、三十億円を計上しており、今後、上下水道一体での事業の効率化、基盤強化に向けた取組を支援していくこととしております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今御説明もいただきましたけれども、上下水道の一体での復旧についてなんですけれども、能登半島地震は国土交通省が水道の復旧支援へ本格関与する初の事例となったわけであります。地震によって奥能登地方の四市町では、下水管の六五%に破損や詰まりが確認をされました。上水道の断水は三月末でほぼ解消される見込みでありますけれども、結局、生活排水を下水管に流せなければお風呂やトイレも使用できず、不便な生活から脱することはできませんし、衛生面でも不安が残っていると。
こういう中で、国土交通省は四月からの水道行政の移管を踏まえて、今回の地震からの復旧については、水道、下水道の関係者が一体となって、上下一体復旧を掲げて取り組んでいるということでありますけれども、たとえ断水が解消しても下水に流せないなど、上水道の復旧に下水道の復旧が追い付かないと、こういう地域がないようにしっかりと取り組んでいただきたいと、このように思います。
下水道の復旧について現時点におけるめどを示していただくとともに、今回の上下水道一体の取組について、その効果や今後の課題など、三月十二日に設置をされた上下水道地震対策検討委員会の設置趣旨と併せて、今後の議論に期待することなど、国交省の見解を伺います。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
今回の災害等に当たっては、本年四月からの水道行政の移管を見据え、従来の自治体の相互支援の枠組みに加え、国土交通省、厚生労働省からも職員を現地に派遣し、石川県、市町、関係団体とも連携し、上下水道一体の復旧に取り組んできたところであります。
このような中、下水道の復旧状況は、下水処理場については応急復旧により既に全ての施設で処理機能が回復されております。また、下水道管路については、三月二十一日時点で石川県全体では全管路延長の九八%で機能確保済みであり、特に被害が大きかった能登六市町では八六%で機能が確保されているところであり、水道に遅れることなく一刻も早い復旧に進めてまいります。
委員御指摘いただきました上下水道地震対策検討委員会は、令和六年能登半島地震による上下水道への甚大な被害を踏まえ、今後の上下水道の地震対策の在り方等について検討するために三月十二日に設置し、第一回を開催したところです。
検討会では、具体的な内容として、能登半島地震の被災地における上下水道施設の復旧の方向性、今後の地震による、あっ、今般の地震による上下水道の施設、上下水道施設の被害を踏まえた耐震性などの今後のハードの、ハード面での地震対策の在り方、発災後の上下水道一体での被災地支援体制の在り方などを議論し、本年五月頃には中間取りまとめ、八月頃には最終取りまとめを行うこととしております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
次に、上水道の管路の耐震化についてお伺いをしたいと思います。
上水道はさきの能登半島地震におきまして甚大な被害を被っておりますが、管路施設の耐震化の重要性がやはり再確認をされたということであります。
厚生労働省の令和三年度末時点における水道事業における耐震化の状況を見ますと、全国の基幹的な水道管のうち耐震性のある管路の割合が四一・二%であるというのに対して、政府は二〇二八年度末までにこの水道管の耐震化を六〇%以上に引き上げる目標を掲げておりますが、全国的に見るとこの耐震化にはばらつきがあるというのが実情でございます。
例えば、神奈川県は七三・一%で大変、トップと高い数値でございまして、一方で、高知県は二三・二%で大変低い数字が出ております。そして、今回の水道被害が大きかった石川県は三六・八%で、全国平均よりも低い結果となっているんですね。
水道の耐震化を支援する厚生労働省の生活基盤施設耐震化等交付金、水道管路耐震化等推進事業については、移管後は国土交通省の防災・安全交付金に組み込まれるものと認識をしておりますけれども、能登地方の被害状況を受けて、今後も全国的に管路の耐震化を進めていくために耐震化事業を拡充していく必要があると思いますけれども、国交省の認識をお伺いいたします。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、主要な水道管の耐震適合率は自治体間で差があるとともに、全国平均でも令和三年度末時点で四一・二%にとどまっているところ、国土強靱化基本計画で二〇二八年度までに六〇%とする目標を掲げていると承知しております。
このような中、令和六年能登半島地震においては最大で約十三万五千戸が断水するなど水道施設に甚大な被害が生じたことから、災害時においても水道の機能を確保することの重要性を改めて認識したところです。
今後の水道の地震対策の在り方についても、先ほど申し上げたとおり、本年四月の水道行政の移管も見据え、上下水道地震対策検討委員会において現在議論しているところであります。
国土交通省としては、こうした検討会の議論を踏まえながら、技術的支援や防災・安全交付金による財政支援を実施し、強靱な上下水道の構築に向け全力で取り組んでまいります。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
やはり今回の能登半島地震でも、やはりこの上水道の耐震化ということは非常に大きな課題であったなというふうに思っております。できる限り、やはりこの耐震化事業、早く進めていただくことが大事だろうというふうに思っています。
日本全体を見ますと、最近も非常に大きな地震が各地で起こっておりますし、様々しっかりしたこういう生活上水道ということについて整備を進めることがやはり喫緊の課題だというふうに思っていますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
では最後に、水道行政の移管についての質問について別の観点から、防災・減災の推進についてお伺いをしたいと思います。
今回の能登半島地震では、過疎地域という不利な条件の下に上下水道の耐震化がなかなか進まなかったところを想定を超える巨大地震が襲う、そういうことがあって、その復旧が長期化をし、被災された方々の復旧復興の思わぬ障害となっているわけでございます。
一方で、今後その発生が非常に懸念されている南海トラフ巨大地震であるとか首都直下地震等の対策の推進に関する予算として、令和六年度予算については、令和五年度補正予算と合わせると、合計五千六百四十七億円と、前年比で二・九四倍、二・九四倍もの予算が計上されているということでございます。
この予算のうち、巨大地震からの被害の防止や被害の軽減のための施設の耐震化等の取組として、水道施設の耐災害性強化の推進、上下水道の効率化・基盤強化のための一体的な施設再編・地震対策に向けた取組の推進、そして災害時の衛生環境を守るための下水道施設の耐震化やマンホールトイレ設置等の推進などが掲げられております。また、先ほども言いましたが、上下水道地震対策検討委員会の創設もあります。
こういう予算といい検討委員会の創設といい、大規模地震に対して、新たに所管する上水道行政を含めて、国土交通省は防災・減災の推進において重要な役割を担うことになります。
最後に、国交大臣から力強い決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の能登半島地震、我々体験しまして、いかに上水道、下水道が災害時に早く復旧することが大切であるかということを改めて痛感した次第でございます。
このため、本年四月、国土交通省に水道整備・管理行政が移管されることも見据えまして、上下水道地震対策検討委員会を設置し、先ほど局長が答弁いたしましたような観点、論点から議論をしていただいております。
この議論をしっかりしていただいて、この災害時における上下水道の機能の確保、しっかり予算も確保し、計画もしっかり立てて行っていきたいと、このように決意をいたしております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今、大臣からも御答弁いただいたように、この上下水道の耐震化をしっかり前に進めていくということ、そして、やはりこれからの防災・減災ということを考えますと、五か年の加速化、国土強靱化についても更に推進をしていただいて、やはり、国土としてしっかりこの災害に対応できるような対策を前に進めていただくことがやはり重要であると、このように思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
じゃ、以上で終わります。ありがとうございます。