公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

生コン・電設業者に適正な価格転嫁の反映を早急に/国交委員会

2023年11月09日

11月9日、参議院国土交通委員会で質問に立ち①公共事業等における資材高騰を踏まえた適正な価格転嫁②地域のくらしを守る持続可能な地域交通の確保とライドシェア──などについて、国交省の見解を伺いました。

特に、生コンと電設業の方々が苦しんでいる資材高騰を踏まえた適正な価格転嫁については、現状の認識と早急な対策を国交大臣に迫りました。

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以下、質問の全文を掲載します。

7日に行われた国交大臣の大臣所信と、政府の総合経済対策に関連して、何点か質問します。

1.公共事業等における資材高騰を踏まえた適正な価格転嫁について

先ず、公共事業等における資材高騰を踏まえた適正な「価格転嫁」について伺います。

経済対策の第1節「物価高から国民生活を守る」の中に、
「公共事業について、資材価格の高騰等を踏まえ、適切な価格転嫁が進むよう、特に市区町村を始めとした地方公共団体に対して、最新の材料価格等を反映した適正な予定価格の設定やスライド条項の適切な運用等の徹底を要請」とあります。

①生コン価格の高騰とスライド条項等の適切な運用と価格転嫁の進捗状況

まさに、この中小の事業者に対する適切な価格転嫁が大事でして、例えば、生コンクリート事業者からは、何度も切実な要望を頂いています。

私の地元・世田谷区や目黒区などを中心に事業を展開している中規模の生コンクリート協働組合からは、6月、8月と連続して要望を頂きました。

特に、「旧契約」を大量に抱えている事業者では、大幅な不採算取引に陥っていまして、「赤字が必至の状況である」との叫びです。

原料であるセメント価格は、令和4年1月以降、50%近く上昇しており、砂や、砂利(じゃり)、混和剤などの原材料も上昇していますし、加えて、燃料費の高騰や、ドライバー不足による運送費や人件費、電力費の上昇が拍車をかけて、従来の契約価格ではとてもコスト上昇分をカバーできない状況です。

「旧契約」を抱えて苦しんでいる事業者の中には、鉄道の連続立体交差事業や高速道路のジャンクション工事など長期の工期を要する事業で、「6年以上前の契約」もあり、当時の価格とあまりにも価格差が大きすぎるため、再三、適正な価格転嫁を申し込んでも、回答が得られないと言っています。

長期契約の多くは、公共事業もしくは公共性の高い工事ですが、生コンクリートの契約は、施主から発注を受けた建設業者が生コン協同組合の登録販売店と契約し、その登録販売店から、協同組合が受注・契約して現場に必要なコンクリートを供給する仕組みとなっていますので、生コン協同組合は、発注者と建設業者との契約内容や建設業者と登録販売店との契約内容を知り得る立場になく、スライド条項の運用についても、その状況を「確認しようがない」そうです。

国交省は、こうした中小零細の生コン事業者の実態をきちんと把握されているのか、
また、一刻も早く適正な価格転嫁を実現するために対策を講じるべきと考えますが、国交大臣の認識と課題解決の決意を伺います。

②建設業、特に電設業への適切な価格転嫁と不適正な工期の是正

次に、建設業、中でも電設業の中小事業者に対する価格転嫁の現状と不適切な工期の是正について伺います。

先日、都内の中小電設業、数社と意見交換する機会があり、中には「一人親方」の方もいました。

まず、見積もり段階で発注者と契約して、工事を請け負いますが、終了時には、かかった経費は全く違ってくると言います。
やはり数カ月にわたる工期の中で材料費の高騰と人件費の高騰が影響するそうです。

ただ、その差額を、工事の終了時に、一定の配慮をしてくれるゼネコンもありますが、見積もり時の契約をタテに、そのままの金額を強いられる場合も多く、下請けの立場上、次の仕事への期待もあり、妥協せざるを得ないとの話を伺いました。

また、電設という作業の特性上、工期全体の中で最終の仕上げ段階で現場に入ることが多く、工程表に基づいて作業開始予定日に合わせて必要な数の職人を手配しますが、現場ではどうしても建築屋さん優先で作業が進み、電設の作業開始は待たされることが常態化し、仕事ができないままの数日間の人件費を負担せざるを得ない場合があるそうです。

さらに電設の作業ができるようになってから、完了までの工期は当初より、かなり短くなる場合もあって、予定よりも多くの職人を、通常の費用よりも高額にして、かき集めて工事を完了させざるを得なくなっている、との訴えでした。

大規模な駅前再開発事業や高層ビル建築の現場で、この傾向は顕著だそうで、電設業に対する価格転嫁の現状と各種建設工事における適正な工期の確保、不適切な工期の是正について、国土交通省の見解を伺います。

③物流業の燃料代や高速料金について荷主への価格転嫁(適正な運賃の収受)のあり方

続いて、物流業の価格転嫁(適正な運賃の収受(しゅうじゅ))について伺います。
例えば、トラックなどの燃油高騰分と高速道路料金を運送業者が負担するのではなく、荷物を運搬する過程においてかかった値上がり分を、荷主が適正な運賃で負担するというように、できないのでしょうか。

政府の経済対策の中にも、「制度見直しとしては、物価動向の反映や荷待ち・荷役の対価等の加算による『標準的な運賃』の引き上げを行う」──とありますよね。
この点について国交副大臣の見解を伺いたいと思います。

2.地域のくらしを守る持続可能な地域交通の確保とライドシェアについて

次に、最近、注目を集めている「ライドシェア」について伺います。

総理が10月23日の所信表明演説で、一般の人が自家用車を使って有料で乗客を送迎するこの制度の導入について「検討する」と表明してから、ライドシェアという言葉が一人歩きして、その賛否を巡る議論も問題や課題の本質の的を射ないまま、展開されているような気がします。

①タクシー事業における運転手不足への対策

そこで、タクシー事業における深刻な運転手不足に対して、特に、都心では流しのタクシーが捕まらないとか、深夜の羽田空港で長蛇の列になっているなどの指摘とともに、ライドシェアが論じられますが、国交省はどう考えておられるのか。

職場の環境改善など総合的な運転手不足対策ととともに、タクシー不足に対応する緊急処置について国交省の見解を伺います。

②高齢化が進む過疎地域の足を確保する「自家用有償旅客運送」の拡充

最後に、自家用有償の活用に向けた取り組みについて伺います。
高齢化や過疎化が進む地方においては、バス事業者の撤退などが相次ぎ、代替輸送手段の確保が急務の課題となっています。

「改正地域交通活性化再生法」を活用し、各地域の実情に応じた最適で持続可能な交通サービスが「自家用有償旅客運送」であり、これも一つのライドシェアの先駆例ではないでしょうか。

この自家用有償、今では全国で約670団体にまで広がっていると伺いましたが、さらに有効な取り組みに期待しています。

例えば交通空白地でお元気な高齢者が一定の講習を受けて自家用有償を行うような事例も広がっているのでしょうか。自家用有償の更なる徹底した活用について、国土交通大臣の見解を伺います。