精神障がい者への運賃割引を財政負担も含めて公共施策に/参院 内閣委で主張
3月9日、参議院内閣委員会で各大臣の所信表明に対する質疑を行い、質問に立ちました。内閣委員会は、コロナ対策や経済対策など複数の省庁にまたがる課題や政策を所管することから、内閣官房長官をはじめ、7大臣が参加して質疑が行われます。
私からは、主に経済対策として電気代、LPガス代の値上げ分に対する支援策の拡充とバスや鉄道など公共交通機関の障がい者割引について質問しました。
特に、交通機関の障がい者割引については、精神障がい者に対する運賃割引を導入する事業者が少ないことを指摘し「共生社会の実現へ国が財政負担も含めて公共施策として取り組むべきだ」と強く主張」しました。
以下、質問原稿の全文を掲載します。
4月以降の電気代など負担軽減策の継続と追加策
まず、電気料金に関する負担軽減策について後藤担当大臣にお伺いします。
平均的な家庭の電気料金は、政府の負担軽減策によって、2月請求分から前の月に比べて2割程度値下がりしていますが、燃料費などの高騰を受けて、電力会社の多くが値上げを申請していることから、4月以降、再び値上がりする懸念があります。
例えば、東京電力ホールディングスは1月23日に経済産業省に3割程度の値上げを申請しました。申請通りに値上げした場合、料金の上昇幅が政府の支援策を上回り、家庭の負担が増す可能性があります。
そこで、わが党の山口代表は2月28日の記者会見で「液化天然ガスや原油の市況(市場の状況)は落ち着いている。電気代値上げの申請が(燃油)高騰時を前提にしていないか、過大な見積もりがないか、政府が厳格に審査することが大事だ。認可の時期も4月に行わないくらいの決断をした上で、値上げ額を圧縮・抑制していくことが今の状況に合っている」と言及したところです。
加えて、予備費を活用した幅広い追加策についても、山口代表は3月中、すなわち年度内に決定をしたほうが良いと提言しました。まず、後藤大臣から、物価高への追加策についてどのように検討していくのか。ご見解を伺いたいと思います。
また、各電力会社からの値上げ申請に対する厳格な審査とともに、電気料金の負担軽減への追加策のあり方について、経産省の見解を伺います。
一般家庭用LPガスの負担軽減をわかりやすく
次にガス料金の負担軽減については、都市ガスだけでなく、LPガスについても負担軽減対策が講じられているところですが、どれだけ安くなっているのでしょうか。とにかく「わかりづらい」と言う声が多く寄せられています。LPガスは、地方を中心に全国約4割の世帯が契約していると認識しています。
せっかく、政府が上昇分について支援策を実施しているわけですから、消費者にとって支援内容が分かりやすく伝わる工夫や、さらなる追加支援の検討をお願いしたいと思います。経産省の見解を伺います。
一方で、地方創生臨時交付金を物価高対応にも活用できるようにしたことで、約30ほどの自治体が活用しています。LPガス代の支援に、こうした活用も通じて家計全般をもっと支援していくことがあってもいいのではないでしょうか。内閣府の見解を伺います。
乗合バス事業者による精神障がい運賃割引の実施状況
公共交通機関における精神障がい者割引の現状について質問します。
乗合バスについて、私の事務所に寄せられた相談の中で「身体障がい者は身体障害者手帳、知的障がい者は療育手帳を提示すればバス運賃が割引になるが、精神障害者は精神障害者保健福祉手帳を提示しても割引が適用されない」という声があります。
少し調べてみたら、例えば埼玉県内の大手のバス事業者はおおむね実施している一方で、神奈川県では一部にとどまっているなど、地域間でかなり格差があるようです。
まず、乗合バス全般における精神障がい者割引の現状についてご説明ください。
JR・大手民鉄における精神障がい者割引の検討状況
次に、JR・大手民間鉄道事業者における精神障がい者割引について伺います。
3月18日から、関東圏においても交通系ICカードによる身体障がい者、知的障がい者への割引がスタートするところですが、やはり精神障がい者はこの対象になっていません。
ICカードでなく精神障害者保健福祉手帳を窓口に提示しても割引になりません。
身近なバスでは割引が適応されて最寄り駅まで移動できても、その先の鉄道が割引にならないということでは、精神障がい者の行動に支障をきたしてしまいます。
そんな中、近畿日本鉄道が4月1日から精神障がい者割引を導入すると、2月10日プレスリリースをしました。大手民鉄の中では、九州の西日本鉄道に続く2例目になると承知していますが、その他JRや大手民鉄の事業者について検討状況や実施の見込みなど、お示しください。
共生社会の実現に向け 公共施策による各種割引の実施導入
言うまでもなく、令和元年度の第198回通常国会における請願は「障がい者が移動する際に公共交通機関は必要不可欠」とし、国から鉄道事業者などに身体、知的と同様の扱いになように働きかけを求めて採択されたものです。
それ以降、国交省が精神障がい者割引について積極的に導入促進に取り組んできたことは認めますが、身体及び知的障がい者に比較して割引導入事業者が少ない状況に留まっています。
そこで、小倉大臣に伺います。
平成5年の障害者基本法制定時に「精神障害者」が障がい者として明記されたこと。
平成26年にわが国が批准した障害者権利条約は、精神障がい者を含む全ての障がい者の人権保護を掲げるとともに、自立した移動を確保するために、負担しやすい費用での移動を容易にすることが明記されていること。
このことを踏まえると、私は共生社会の実現に向けて、全ての障がい者割引は、国が民間の交通事業者や関係機関に要請して各公共交通機関の判断で実施するのではなく、本来、社会福祉政策というか、公的な財政負担も含め公共施策として取り組むべきだと、強く主張したいと思います。
小倉大臣の見解を伺います。