視覚障がい者の安全守れ! 横断歩道の整備で配慮を/予算委一般質疑
参院予算委員会は3月26日、来年度予算案に関する一般質疑を行い、私は横断歩道の安全対策などについて質問し、視覚障がい者への配慮が必要だと強調しました。
横断歩道の白線間隔が45~50センチから90センチ幅まで広げられる規則改正に触れ、視覚障がい者団体から「白杖で線の位置が認識しにくくなる」との声を紹介。
白線間隔を変更する場合は関係者の意見を十分に聴いた上で実施するよう訴えました。また、エスコートゾーンや音響式・歩車分離式信号機の設置箇所を各都道府県警察本部のホームページに掲載するなど情報提供に努めるよう求めました。
坂井学国家公安委員長は、横断歩道の白線間隔を拡大する場合は、周辺の視覚障がい者団体などの意見を丁寧に聴いた上で、安全確保に向けた取り組みを進めるよう警察を指導していくなどと、答弁されました。
このほかにも、中間所得層の子育て世帯や若者向けの新たな住宅手当制度の創設について、東京都の新しい取り組みであるアフォーダブル住宅などを例示しながら、国においても何らかの支援策を検討する必要性などについても訴えました。
<質問と答弁>
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
今日は、まず、がん対策の充実について、厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
今は、たとえがんになっても、医学がしっかり進歩をしている、また新しい抗がん剤もどんどん開発をされているということもあって、たとえがんになっても、がんと共生をされて生きられる、生存される方が大変多くなっておられるんですね。そこで大事なのは、そういうがんに罹患をされた方に対するやはりしっかりした情報提供をしていく、また寄り添っていくという体制が大事だと、このように思っています。
私も実は十年前にがんのNPO法人を立ち上げまして、がんの正しい情報をいかに提供すべきかということを考えて、二、三か月に一回はもう、そういうあらゆる先生を来ていただいて、また情報提供をして、しっかり町の中でも相談をする、こういう体制をつくってまいりました。ただ、なかなかやっぱりそういうことが大変であるということも、自分でも十分に認識をしております。
そういう中で、やはりがん患者にとって正しいがん情報を得るということは命綱を得るということになる、こう思っています。がんの情報を探す中で、やはり国立がんセンターのがん情報サービスのホームページにたどり着く方ってやっぱり多いんですね。
そこで、私、四年前にこの予算委員会において、このがん情報提供の充実について取り上げさせていただきました。多くのがん患者から信頼される国立がんセンターの情報提供予算を増やしてもらいたいと、このように四年前に要請をいたしまして、確かにその当時、がん情報部分の予算を増やしていただいたと、このように認識をしておるんですね。
ところが、今、国立がん研究センターの情報サービスのホームページ見てみますと、確かにある程度のところは毎年のように更新されているところもあるんですが、情報としてはまだ四年前、三年前の古い情報も実は載っています。そういうものを見ながら私は少し心配になったんですね。今、どれぐらいの予算をがん情報提供に掛けていて、どれぐらいの間隔で情報提供更新を行っているのかですね。
正しいがん情報の提供は、結局誤った民間療法に行かないためにも非常に大事だと、このように思っています。情報提供の十分な予算を確保して、適切な情報提供が迅速に図られるような体制をやはり強化をしておかないといけないと、こう思っているんですね。この情報提供の在り方について、まず、厚労大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(福岡資麿君) 御指摘いただきましたように、また委員自らもお取り組みいただいてまいりましたように、全ての患者さんが必要な情報や正しい情報にアクセスできる環境を整備するということは大変重要なことでございまして、これは第四期がん対策推進基本計画にも示されているところでございます。
そのため、現在、国立がん研究センターのがん対策研究所におきまして、標準治療であったり支援制度の紹介などを行うがん情報サービスというホームページを設け、国民の方々に対する正しいがんに対する情報の発信に今努めさせていただいているところでございます。
厚生労働省としましては、こうした正しい情報発信の取組が確実に行われますように、がん対策研究所の取組に対し運営費交付金を措置しながら、国立がん研究センターの中長期目標において国民向けの情報の充実を指示しているところです。
正しいがんの情報の提供は重要であると考えておりまして、これまでも最新の知見等が得られた場合には専門家の御意見も踏まえ随時ホームページの内容を更新してきたところでありますが、委員からもまだまだだという御指摘、今いただいたところでございます。引き続き、適切な情報提供を着実に実施していけるよう、国立がん研究センターと連携して取組を進めてまいりたいと思います。
○塩田博昭君 今大臣がおっしゃったものの中にがん情報提供に幾ら使っているのかというのが、明確な答弁なかったと思うんですけれども、要するに、国立がん研究センターに運営費交付金として六十五億行っていると思いますけれども、この中に、やっぱり病院ですのでなかなか、研究をしたいとか、もっと治療のために予算を使いたいとか、そうすると、ここに運営費交付金を渡しているということになると、なかなか情報提供というところに予算が回っていかないというのが実態として起こっているんですね。やはりこれではがん患者に対する正しい情報提供をする場所が、ここに置くのであれば、しっかりそこの部分を、どれぐらいの予算はやっぱりここには必要だねということで、運営費交付金という性格上、なかなか金額にひも付けすることは難しいということもよく分かっていますけれども、その上ででも、やっぱり国民が情報で困ってがん難民にならないようにするためには、ここ必要でしょうというふうに思っているわけです。
そういう意味で、厚労省として、正しいがん情報提供するための予算の在り方含めて、どう考えておられるのか、再度お聞きしたいと思います。
○国務大臣(福岡資麿君) 先ほど十分お答えできておりませんでしたが、国立がん研究センターが情報発信の取組に対応できるよう、令和七年度の予算案において六十五億円の運営費交付金を措置しているところでございます。
この運営費交付金につきましては、独立行政法人の制度上、その用途について国立がん研究センターの裁量に任されているものではございますが、厚生労働省としましては、国立がん研究センターにおいて正しい情報発信の取組が確実に行われますように、国立がん研究センターの中長期目標の中に国民向けの情報提供の充実などを盛り込みまして、センターに対し、その実施を指示しているところでございます。
がんについての情報提供のより良い方法について、国立がん研究センターとも連携を行いながら、また委員の御指摘も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと思います。
○塩田博昭君 今大臣言っていただいたように、大臣が指示できる中長期目標が明確に今後できるのであれば、そういうものを使って、がん情報提供をしっかりやれるような方向を明確に示していただきたいと、このように思います。
では、テーマを変えますが、視覚障害者に配慮すべき横断歩道の安全対策について、国家公安委員長に伺いたいと思います。
これ、十四日の予算委員会のときに御質問しようと思ったんですが、ちょっと時間がなくて、私のちょっと主張だけで終わってしまいましたが、ちょっと改めて御質問させていただきたいと思うんですね。
横断歩道の白線間隔というのは四十五センチから五十センチという間隔に決まっているんですけども、それが昨年、九十センチにまで間隔を広げられるということを警察庁の方で省令改正をいたしました。
これを聞いた東京や関東などの視覚障害者団体は驚いたんですね。白杖で、例えば皆さんもよく、町の中で白杖を持って歩かれている方、あの方たちというのは、例えば横断歩道の僅かな白線のちょっとしたこの盛り上がったものの感覚をつかんで、自分が横断歩道を真っすぐ歩いているということを確認しているんですね。それが四十五センチから九十センチになっちゃったら、もう届かないので確認できないと、これはやめてほしいという声が沸き起こったんです。
こういう中で、ただ、これは九十センチ間隔まで延ばすということになったんですけども、このときの条件として、白線間隔広げる場合は視覚障害者団体から十分に意見を聞いた上でやりますと。そして、音響式信号機が付いている、そしてエスコートゾーンがあると、要するに点字ブロック、要するに、横断歩道の中にも点字ブロックのようなエスコートゾーンがちゃんとある、こういうものに限定して白線間隔を拡大しているというふうに私は今認識をしております。
その後、今、白線間隔を拡大した横断歩道が全国で今どれぐらいに広がっているのか、そして視覚障害者に十分配慮したものになっているのか、あわせて、エスコートゾーンとか音響式信号機の導入、車歩分離式信号機の設置箇所を各都道府県の県警本部のホームページに、公式サイトに掲載をして、視覚障害者に配慮した横断歩道の情報提供を進めておられるのか、国家公安委員長にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂井学君) 現在、新たな様式の横断歩道を設ける場合には、改正の際に寄せられた、今委員御指摘いただきましたような御意見等を踏まえて、視覚障害者の方々の安全な横断の確保に努めることといたしております。
具体的には、音響信号機、エスコートゾーンが設置されている場所について、優先的に設置を検討するなどをしているところでございまして、現在までに全国十か所でそうした横断歩道が設置をされております。その際にも、視覚障害者の方々の御意見は伺っていると承知しております。
また、視覚障害者の方々に配慮した横断歩道の安全対策として、例えば音響信号機やエスコートゾーンの整備を推進しているほか、音響信号機や歩車分離式信号機の設置場所等については、視覚障害者の方々の御要望にお応えをして、都道府県警察のウェブサイトに掲載し、かつ読み上げ機能を用いることにより情報を入手できる取組を進めております。
今後とも、視覚障害者の方々の安全を確保するため、こういった御意見を伺いながら、不断に取組を進めるよう警察を指導してまいりたいと思います。
○塩田博昭君 大臣、今御答弁いただいたのは非常に大事なことだというふうに思っておりますし、私も視覚障害者の方にお話を伺いますと、横断歩道を渡るのは命懸けだというんですよね。ですから、視覚に障害のない方はもう目の前で見えて、車が来ている、見えますから、だけど、自分が真っすぐ歩けているのかどうかも分からない中で命懸けで横断歩道を渡っていらっしゃるということを重々御理解いただいて、今後の徹底もお願いしたいというふうに思います。
では、新たな住宅手当の制度創設という、ちょっとテーマを変えて、この点について国交大臣にお伺いしたいと思います。
今、住宅価格、家賃が急激に高騰しているというのは、もういろんなマスコミの情報を見ても明らかなわけでございますけれども、今、新年度を前に、若者や子育て世帯から、急激な値上がりに今悲鳴の声が上がっているんですね。
民間の調査とか新聞報道によりますと、今年二月末現在ですね、東京二十三区の賃貸マンションの平均家賃、家族向け物件で、例えば専有面積五十から七十平方メートルで、前月比〇・七%増の二十三万三千四百四十六円増えているということで、集計を始めた二〇一五年一月以降の最高値を更新をしています。もっと面積の狭いカップル向けとかシングル向けの物件も、やはり最高値を更新しているんですね。さらに、この傾向は東京だけでなく、国内の札幌市や大阪市、福岡市など主要都市においても最高値を更新しているということでございまして、そんな中、東京都は近年隣県に比べて高額な傾向が続いておりますので、二〇二五年度から、都議会公明党も頑張って、東京都の中で子育て世帯などに割安な住宅を提供しようということで、市場価格の六割程度のアフォーダブル住宅、この普及に乗り出すということになっているわけでございます。
住まいの確保は、政府が国民に対して保障する最低保障の程度の、最低程度の生活水準であるべきだというように思いますし、先進諸国では、法律によって特定の個人に住宅手当の付与というのは義務付けられております。こうした観点から、低所得者の方、また単身高齢者、障害者などの入居困難者を根本的に解消する住宅手当の創設を目指すべきだと、このように考えます。
ちょっともう時間が来てしまいましたのであれですが、大臣、このことに一言だけお答えいただいていいでしょうか。
○国務大臣(中野洋昌君) 塩田委員にお答え申し上げます。
住宅価格や家賃が上昇しているという中で、子育て世帯、若年世帯が安心して暮らせる住まいを確保するということは、私も大変重要な課題であるというふうに認識をしております。
令和五年十二月に閣議決定をしたこども未来戦略に基づきまして、例えば、子育て環境に優れた公営住宅等への優先入居の拡大や、子育て世帯向けのセーフティーネット住宅への登録の促進や、家賃低廉化等の支援、空き家を活用して子育て世帯向け住宅を提供するための改修費用の補助などの取組について引き続き積極に進めてまいりたいと思いますし、アフォーダブル住宅という御指摘もございました。住生活基本計画の見直しに向けまして、今、住宅宅地分科会で審議を行っております。この中では、住まいのアフォーダビリティーや子育てしやすい住まいについても議論を行ってまいりたいというふうに思います。
今後とも、厚生労働省など関係省庁あるいは地方自治体と連携をしながら、子育て世帯がそれぞれのニーズに応じた住まいを柔軟に選択できる環境の整備にしっかり取り組んでまいりたいと思います。