公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

“遺族年金の改正”現受給者らは変更なし/公明提案受け配慮措置/本会議で総理が明言

2025年06月04日

6月4日に参院本会議で審議入りした年金制度改革法案を巡って、公明党を代表して本会議質問に立ちました。

法案に盛り込まれた基礎年金の給付水準の低下に対する防止策の具体的な内容と効果について厚労大臣に質問するとともに、一部の報道やネット動画、SNSなどで「今もらっている年金が大幅カットされる」「遺族年金が5年で打切りになる」などの誤った情報について、石破総理の見解を伺いました。

石破総理は、18歳までの子どもがいない20~50代の人の遺族厚生年金を原則5年の有期給付とする見直しについて、既に受給中の人などは対象外だと指摘。併せて、5年経過後も配慮が必要な場合は「公明党の提案も踏まえ、継続して受給できる仕組みとしている」と明言しました。

現在、子のいない夫婦だと、夫の死亡時に妻が30歳未満なら5年の給付、30歳以上なら無期限の給付で、一方、妻の死亡時に55歳未満の夫は受給権がありません。この見直しについて総理は「女性の就業率の上昇などを踏まえ、制度の男女差を解消する観点から、男女共に受給しやすくする」と説明しました。

「今もらっている年金が大幅カットされる」などの指摘に対しては、①施行時点で受給中②60歳以降に受給権が発生③18歳の年度末を迎えるまでの子がいる④2028年度に40歳以上の女性――といった場合、見直しの対象ではなく「現行と給付内容は変わらない」と答弁。
さらに、新たに有期給付となる人には給付額を約1.3倍に引き上げると説明しました。

<質問と答弁>

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭です。
ただいま議題となりました社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案について、公明党を代表して質問いたします。
衆議院での審議に加え、自民、公明、立民による修正合意を経て、年金制度への国民の注目度はこれまでになく高まっております。

これまでも、五年に一度行われる公的年金の財政検証を踏まえ、年金制度の改正が行われてまいりましたが、直近の財政検証では、今後、経済が好調に推移しない場合、現行制度のままでは将来三割ほど基礎年金の給付水準が低下する見込みであることが示され、この対応策が喫緊の課題となっております。

そこで、本法案に盛り込まれた基礎年金の給付水準の低下に対する防止策の具体的な内容と効果について、福岡厚生労働大臣に伺います。

この基礎年金の給付水準への対応策として、マクロ経済スライドによる給付調整の早期終了、いわゆる基礎年金の底上げ措置に関して、時間を掛けて議論されてきました。様々な事情により現役期に被用者保険に加入できず、非正規雇用で長い期間を過ごされた就職氷河期世代や若い世代の年金の給付水準を確保する上で、この措置を実行する必要性は高いと政府は説明をしてきました。この点、公明党が昨年、福岡厚労大臣に申し入れた次期年金制度改正に向けた提言の中でも、基礎年金の底上げ措置を実施する必要性を指摘したところであります。

衆議院での修正で検討規定は盛り込まれましたが、本法案では基礎年金の底上げ措置そのものの導入は見送られました。ただ、附則において次期財政検証の翌年度である二〇三〇年度まで厚生年金の給付調整を続けると規定されており、この措置の趣旨は、基礎年金の底上げ措置の導入の是非を次期年金制度改正時に判断するためと理解いたしました。政府は、基礎年金の底上げ措置を将来的に実施する必要についてどうお考えでしょうか。総理の答弁を求めます。

次に、被用者保険の適用拡大について質問します。

家族構成やライフスタイルが多様化する中で、労働者の働き方にかかわらず、ふさわしい社会保障を享受できる環境を整えるためにも被用者保険の更なる適用拡大が求められます。

しかし、本法案による被用者保険の適用拡大に伴い、労使双方にとって新たな保険料負担が生じます。特に、今回新たに適用される事業主は従業員数五十人以下の中小規模の事業主であり、追加での保険料負担は事業の運営を左右しかねません。

そこで、公明党は十分な施行期間の確保やキャリアアップ助成金の拡充などを求めてまいりましたが、これらの小規模事業主への配慮措置の具体的な内容と意義について、福岡厚労大臣に伺います。

一連の適用拡大により、多くの方が新たに被用者保険への加入が可能となります。しかし、週の所定労働時間が二十時間未満の方や従業員数が五人未満の事業所で働かれている方への被用者保険の適用は今回の改正では行われません。今後も被用者の働き方に応じたふさわしい保障を実現するためにも被用者保険の適用拡大を進めるべきだと考えますが、今後の総理の意気込みを伺います。

最後に、今回の年金改正法案の中で、遺族厚生年金の見直しについて伺います。

最近の報道等で、今もらっている年金額が大幅にカットされるというものや、子育て中や働くのが難しい人の遺族年金が五年で打切りになるなどの指摘が見られ、遺族年金が大幅にカットされると不安に思っている人からの声も届いています。

遺族年金の見直し対象や配慮が必要な人への給付継続など、具体的な見直しの内容についてきちんと説明していただきたい。総理に答弁を求めます。

将来にわたり持続可能で安心できる公的年金制度の確立を求めて、私の質問を終わります。

○内閣総理大臣(石破茂君) 塩田博昭議員の御質問にお答えいたします。

将来的な基礎年金の底上げ措置の必要性についてのお尋ねです。

基礎年金の給付水準を確保することは重要な課題であると認識をしております。他方で、その水準は経済状況によって変わり得るものでもあることから、政府として、まずは賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指し、年金の給付水準が将来も維持できるように努めてまいります。

その上で、衆議院で盛り込まれました三党の修正案は、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保の方向性をより明確にするものと考えております。政府といたしましては、国会での御議論を踏まえ、今後の社会経済情勢の変化を見極めた上で、修正案に規定された法制上の措置等について具体的な内容を検討し、必要な措置を講じてまいります。

被用者保険の適用拡大についてのお尋ねです。

今回の法案では、五十人以下の企業に対しましても十年掛けて被用者保険の適用を進めることとしておりますが、週二十時間未満の労働時間の方に適用することや、従業員五人未満の個人事業所に適用することにつきましては、対象企業への影響が大きいことなどから、今回の法案には含めていないところでございます。

被用者保険の適用拡大は、より手厚い年金を受けられるようにするとの観点から、これまでも累次にわたって進めてきたところであります。今後の在り方につきましては、まずは今回の改正を着実に施行しながら、本法案の検討規定も踏まえ、他制度の在り方などにも留意をして、議論を深めてまいります。

遺族厚生年金の見直しについてでございます。

今回の遺族厚生年金の見直しは、女性の就業率の上昇等を踏まえ、制度の男女差を解消する観点から、有期給付となる女性の年齢を拡大しつつ、男女共に受給しやすくする改正を行うものでありますが、施行時点で既に遺族厚生年金を受給しておられる方や六十歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方、子供が十八歳になる年の年度末までにある方、二〇二八年度に四十歳以上となる女性の方は見直しの対象外であり、現行と給付内容が変わることはございません。

また、新たに五年間の有期給付となる方につきましては、給付額を約一・三倍に引き上げるとともに、御党からの御提案も踏まえ、障害年金を受けられる方や収入が十分でない方は有期給付終了後も継続して遺族厚生年金を受給できる仕組みとしております。

こうした点につきまして、今後ともより丁寧な説明に努めてまいることといたしております。

○国務大臣(福岡資麿君) 塩田博昭議員の御質問にお答えします。

基礎年金の給付水準の低下に対する防止策と効果についてお尋ねがありました。

衆議院で盛り込まれた三党提出の修正案は、今後の社会経済情勢を見極めた上で、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させるものであり、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保の方向性をより明確にするものと承知しています。

その上で、令和六年財政検証における実質ゼロ成長を見込んだケースで、仮に厚生年金の積立金と追加的な国庫負担を活用してこの措置を実施した場合、相対的に若い世代ほどその恩恵は大きくなると見込まれています。

被用者保険の適用拡大に伴う小規模事業主への配慮についてお尋ねがありました。

今回の法案では、これまで以上に小規模の企業で働く方に被用者保険の適用を広げることから、最大十年を掛けて段階的に施行するなど十分な準備期間を設けることとしました。加えて、労働者一人当たり最大七十五万円の支援の新設を予定しているキャリアアップ助成金を含め、経営や事務に関する事業者支援も用意することで、被用者保険の適用の円滑な実施につなげてまいります。