公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

都市緑地法等の一部を改正する法律案で質問/国土交通委員会

2024年05月21日

5月21日、国土交通委員会で「都市緑地法等の一部を改正する法律案」について、質問しました。

①改正法による緑化推進の特徴と国による基本方針②都市環境整備への民間投資の呼び込みの具体策③都市開発事業後の緑の維持管理④都市の脱炭素化の促進──などの点について政府の見解を伺いました。

<質問と答弁>

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
本日の議題となっております都市緑地法等の一部を改正する法律案について私も順次質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず前提からお聞きしたいと思います。

今回の法案の提出の背景として、国土交通省は、世界と比較して我が国の都市の緑地の充実度は低く、また減少傾向にあるとして、例えば、森記念財団の世界の都市総合ランキング二〇二二において東京が三六%、大阪が二一・二%と世界主要都市における緑地の充実度が下位にあるというデータであるとか、横浜市の緑被率の推移では、年々減少傾向にあり、令和元年には二七・八%にまで減少しているというデータがありますけれども、都市の緑地保全や緑化推進の取組についてはこれまでも積極的に様々な施策が実施をされてきておるわけであります。

都市緑地法の改正経緯を見ても、昭和四十八年の都市緑地保全法の制定以降、平成二十九年の都市緑地法等の一部を改正する法律の改正まで、六回の改正であるとか関連法案が整備されてきておりまして、その都度必要な施策が展開されてきたはずなんですね。
このように、度重なる法改正とともに関連の法整備を行ってきたにもかかわらず、我が国はなぜ都市の緑地の充実度が低く、緑被率は減少傾向にあるのか、その原因はまあ多方面に及ぶかもしれませんけれども、国土交通省に今の受け止めをまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(天河宏文君) お答えをいたします。
我が国におきましては、戦後の経済発展に伴いまして都市への人口や産業の集中が急激に進んだことによりまして、都市におきまして人口密度の高い稠密な土地利用が行われてきたと承知をしております。

こうした状況の中、都市の緑地を保全するということで、昭和四十八年の都市緑地保全法の制定以来、幾度かの改正を重ねまして、特に住民に最も近い市町村が主体となる緑地保全あるいは緑化推進の施策の充実を図ってまいりました。

昭和四十八年の都市緑地保全法の最も大きな意義は、今回の都市特別緑地保全地区制度を創設した点にあると考えておりますし、また平成六年の改正におきましては、市町村が策定する緑地の保全、緑化の推進に関する基本計画が創設されまして、これはその以降マスタープランとして都市公園の整備等、様々な施策がこれに基づいて推進をされております。

しかしながら、こうしていろいろ緑地政策を展開してきたわけではございますが、やはり都市の緑地は土地所有者にとりまして一般的にはやはり収益につながらないということで、例えば相続の発生などを機にいたしまして緑地が住宅地用地等へ転用されるといったことが続いたということが要因となりまして、緑地の充実度が低い、あるいは減少傾向がまだ依然として続いているのではないかと考えているところでございます。

また、政策面で申しますと、これまで市町村の取組を支援する制度の充実を図ってきたところでございまして、この方向性は引き続き重要であると、維持すべきであると思っておりますが、もう少し国が都市の緑地の確保につきまして指導していくという観点があってもよかったのかなと。あるいは民間が主体となった緑地の確保を進めるという観点が、昨今の民間の状況を見ますと非常に有効であると思っておりますので、こうした観点も若干足りなかったかなと、こうした課題への対応が必要であるというふうに考えております。以上でございます。

○塩田博昭君 今局長から御答弁いただいたように、なかなか都市緑化、大事なんですけれども、様々、進めていく上においては課題も様々あると、こういうことでございましたけれども、大臣に今の答弁を踏まえてお伺いしたいと思いますけれども、今回の法案による都市緑化の推進はこれまでの法改正や取組と比べて何がどう異なるのか、その特徴や改正のポイントについてお伺いしたいと思いますけれども、特に現行の都市緑地法においては市町村が緑地の保全や緑化の推進において中心的な役割を担う主体として規定をされているわけでありますけれども、今回の改正法案では第三条の二で、国土交通大臣は都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する基本的な方針を定めなければならないものとすると。国による基本方針の策定が義務付けられている点について、何をどこまで決めるのかということも含めて、法改正の目的、大臣にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の法改正のポイントでございますけれども、先ほど局長から答弁いたしましたように、そのような理由で緑地率が減ってまいりました。

そのためにどうすべきか。まず、自治体におきましては、この緑地を増やしていかなきゃいけないという思いはあるんですけれども、財政制約、それから緑地の整備、管理に係るノウハウ不足、人材もいないと、こういう問題。それから、民間におきましては、これまで緑地確保の取組は収益を生み出しづらいと、こういうことで取組が限定的であったという課題がございました。今回の法案では、そういう自治体と民間事業者の問題点に入っていったというところかと思います。

まず、自治体向けにはいろいろな支援を強化する、それから、民間事業者には緑地を増やせればこんないいことがありますよというインセンティブを持ってもらって取組を促進するという、この二つかと思います。それらを、まず国交省、国としては、基本方針、大きな方向性の基本方針を定めるということでございます。

これは、基本方針の中身につきましては先ほど来答弁しているとおりでございますけれども、その具体的な中身につきましては、今後、有識者の御意見などを伺いながら検討してまいりますけれども、国の基本方針と都道府県の広域計画、それから市町村の基本計画、これらが制度的に連携することで、総合的な緑地保全施策が国、都道府県、市町村とよく連携して推進されるよう努めてまいりたいと思います。

○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
今の大臣の御答弁に関連をして、やはり緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込みがやはり大事でありますので、このことについて伺いますけれども、私の地元の世田谷の二子玉川ライズ、これ今非常に自然豊かでございまして、自然と共生しながら多世代が心豊かに暮らせる新しい町づくりを目指して、緑化や環境に配慮した様々な取組を行っております。二〇一五年の十一月に、建築や都市環境に関する環境性能評価システムの町づくり部門において世界初のゴールド本認証を取得しているということでございまして、さらに隣接する世田谷区立の二子玉川公園も防災に資する公園ということで、緑地整備されたことでこのエリアは緑あふれるすばらしい景観と調和する新しい町として生まれ変わってにぎわっているんですね。私も世田谷に四十年住んでいますけれども、その間、大きくこの変化した姿を見てきたんですね。

まさに、その気候変動への対応、生物多様性の確保、ウエルビーイング、幸福度の向上などの課題解決の先取例だと思います。私も大変大好きな場所でよく訪れるわけでありますけれども、このような良好な環境整備や緑化を進める先取例、好事例の展開については、民間事業者における緑地整備等の取組の推進がどうしても不可欠だと、こう思います。

これまで民間の開発業者などにおいては、先ほど大臣からあったように、緑地確保の取組は収益を生み出しづらいという認識が一般的であって、取組が限定的であると、こういう側面があると、このように思いますけれども、今回の法案によってどのような民間同士の呼び込みや融資を受けやすくするのか、新たな制度設計などについて政府参考人にお伺いいたします。

○政府参考人(天河宏文君) お答えをいたします。
近年、世界的にESG投資が拡大傾向にあることなども踏まえまして、環境や社会に関し多様な機能を有する緑地の確保に対しまして、民間資金を誘導することが重要であると考えてございます。

このような社会情勢の変化を踏まえまして、本法案におきましては、民間事業者による良質な緑地確保の取組を国土交通大臣が認定する制度を創設し、その認定を受けた取組につきまして、都市開発資金の無利子貸付けにより支援をするということとしてございます。

あわせまして、この認定制度によりまして、民間事業者による良質な緑地確保の取組の価値が投資家とか金融機関、テナント等の様々な主体の方に見える化されるということによりまして、例えば資金調達でありますとか賃料の上昇でありますとか、そうした面を通じまして民間投資が促進されると、こうしたことにつきましても期待をしているところでございます。以上でございます。

○塩田博昭君 ありがとうございます。
やはり、民間事業者にとってもしっかりやっぱりメリットがあるというようなことを進めていくことが大事だと思っていますので、よろしくお願いいたします。

そして、次に、民間事業者等による良質な緑地確保の取組の評価や認定、開発事業後の緑の維持管理の在り方について大臣にお伺いいたしますけれども、斉藤大臣は四月二十三日に、千代田区大手町の大手町タワー、大手町の森と、港区の赤坂インターシティAIRを視察されました。

この大手町タワー、大手町の森は、都市を再生しながら自然環境を再生するを開発コンセプトに建設をされたわけでありますけれども、ヒートアイランド現象の緩和や生態ネットワークの構築、水の循環利用などを実現をして、敷地内に三千六百平方メートルの緑地が広がっているわけでありまして、現場を視察された大臣のまず率直な感想とともに、緑の維持管理の在り方について伺いたいと思いますけれども、というのも、港区を対象に行った調査では、都市緑化の開発後、計画どおりに緑化を維持できている物件は全体の半分以下であるという、こういうデータもあるんですね。

今回の法案では、民間事業者等による良質な緑地確保の取組を国土交通大臣が評価、認定する制度を創設するとのことでありますけれども、認定の審査に当たっては、継続的に緑の質や量を保てるのか、また創出した多様な生態系を維持できる計画かどうか、こういう点、視点から判断基準も重要だと、このように思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 大手町の森は十年前からありましたので、時々、すばらしいところなんで、これまでにも行ってまいりましたけれども、今回は初めて担当者の方からいろいろお話を聞きました。普通のインフラと違って命の集積された場所ですので、いかにその維持管理のために、ある意味では注意を払い、お金も使っているかというお話もお聞きしたところでございます。何か昆虫も、百種類を超える昆虫がある意味では自然にそこで生息をしている、生物多様性というのも非常にすばらしいのではないかと、こういうことで大変改めて担当者の方の御苦労をお聞きしてきたところでございます。

このような事例も踏まえまして、この法案の認定制度におきましては、緑地の整備に関する内容だけでなく、将来にわたって適切な維持管理がなされる計画となっているか、維持管理を含めた実施体制が確保されているかなどを評価し、毎年その実施状況を国土交通大臣に報告していただくことになっております。こういう制度が広く広がるように、しっかり我々としても頑張っていきたいと思います。

○塩田博昭君 ありがとうございます。
今大臣言われたとおり、特に大都市圏におけるこういう都市緑地の広がり、まさに多くの方たちが憩うということにおいても、住みよい町ということについても非常につながるものでございますので、できる限りこういう分野における拡大、よろしくお願いしたいと思っております。

次に、大規模な都市開発事業における脱炭素化の促進についてお伺いいたしますけれども、法案の六十三条の三項に、都市の脱炭素化に資する民間都市開発事業を国土交通大臣が認定する制度を創設とありますけれども、これには具体的にどのような事例が当てはまるのかですね。また、再生、再エネ利用施設などの導入に対する支援策について教えていただきたいと思います。また、さらに脱炭素化の促進を掲げるなら、二〇三〇年までのKPI目標に期待されるCO2排出の減少量を示すことも大事だと思うんですけれども、国交省の見解、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(天河宏文君) まず、認定対象となる事業でございますが、本法案により創設されます脱炭素都市再生整備事業の認定制度は、大規模な都市開発事業におきまして、一定量の緑地等の創出に加えまして、自らエネルギーを創出し、かつCO2排出量の削減に資する取組を認定することにより、都市の脱炭素化の先導的なモデルとなる拠点の形成を図ることを目的としております。

具体的に申しますと、従来の建築物で必要なエネルギーを五〇%以上削減するいわゆるZEBレディーの達成や再生可能エネルギーの導入、事業成功段階におけるCO2排出量の削減、こうしたことに取り組む事業を認定することを想定をしております。

それから、支援策でございますが、認定を受けました再生可能エネルギー発電設備等の導入を行う事業に対しましては、民間都市開発推進機構を通じまして、民間金融機関からは調達が難しいミドルリスクの資金の長期安定的な供給や事業の賃上げの下支えとなる出資といった金融支援を行っていきたいと考えてございます。

それから、CO2削減量の目標でございますが、これにつきまして本法案のKPIとして具体的にちょっと目標を定めることは困難であると考えてございますが、本法案に基づきます取組を総動員いたしまして、都市の脱炭素化の拠点を形成し、都市全体としてのCO2排出量の削減につなげていきたいと考えております。以上でございます。

○塩田博昭君 ありがとうございます。
なかなか、CO2削減の具体的な目標、数値まで示すというのはなかなか難しいというお話でございましたけれども、やはり大規模な都市開発において、結果的にはやっぱり脱炭素化がやっぱり促進をされていくというのは、これは間違いないと思っていますので、この事業をやはり大きく進めていくことを積極的にお願いをしたいと、このように思っています。

最後に、KPI実現に向けた大臣の決意をお伺いしたいと思います。
昨年七月に、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、香川県の高松で開催されたG7都市大臣会合は、持続可能な都市の発展に向けた協働というテーマの下、都市における緑地と水辺の空間の確保と回復についてコミットされたと、このように聞いておりますけれども、G7の関係大臣との議論なども踏まえて、この法案のKPI目標として掲げている、一つは二〇三〇年までに自治体による特別緑地保全地区の指定面積一千ヘクタールの増加、そして二〇三〇年までに民間事業者等による緑地確保の取組の認定件数三百件について、これ大変大きな挑戦だと思いますけれども、実現に向けた大臣の決意、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 昨年のG7都市大臣会合の話につきましては先ほども答弁申し上げたとおりでございますけれども、世界的にも都市でこの都市緑地しっかり保全していこうという合意ができたところでございます。

この法案では、地方公共団体と民間事業者の取組に対しまして様々な措置を講ずるとともに、二つのKPIを掲げました。お話ございましたように、地方公共団体による特別緑地保全地区の指定面積、それから、民間につきましては民間事業者等による緑地確保の取組の認定件数でございます。このいずれも非常に高い目標であると考えておりますけれども、今回の法案によって講じられたいろいろな措置、地方公共団体におけるインセンティブ、国の支援、また、民間事業者へのインセンティブ、また支援、こういう措置を講じまして、このKPIの達成に向けまして国土交通省として全力を挙げていきたいと、このように決意しております。

○塩田博昭君 今大臣あったように、KPIの目標、しっかり達成をしていただきたいと思います。以上で終わります。ありがとうございました。