公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

離島からの救急搬送 海保との連携を確認/国交委員会

2023年12月07日

12月5日、国土交通委員会で①ETC平日朝夕割引の見直し詳細②小笠原諸島への交通手段の強化③有人離島における救急搬送④IR赤字路線の再構築⑤デフリンピック前に公共交通機関に目視できる案内板の拡充を──などについて質問しました。

<質問と答弁の概要>

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
今日は、前回の国土交通委員会で時間切れで質問できなかった項目からまず質問をさせていただきたいと思います。
まず、高速道路料金のETC利用による平日の朝夕割引の見直しについてお伺いをしておきたいと思います。
今回の経済対策には、高速道路の通勤時間帯割引について、働き方改革、働き方の多様化に合わせて、時間帯や曜日を限定せずに通勤利用できるように見直すと、このようにあるんですね。そして、この見直しは二〇二四年四月から全国で試行を開始いたしまして、二〇二六年度中の本格展開を目指すと、こう書いてあるわけですが、このことが一部報道では、ETCによる平日の朝夕割引が単純に二十四時間に拡大されるかのような報道がありまして、誤解を招く可能性もあるのではないかと、このように思うんですね。
この見直しが正しく周知される必要がありますので、高速道路を通勤に使っている人にとってどう利便性が上がって、そしてこの見直しが経済対策としてどのような効果があるのか、国交省から分かりやすく御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君) お答え申し上げます。
現在、NEXCOが管理する地方部の高速道路では、平日の朝六時から九時、また夕方の十七時から二十時に多頻度利用する車両を対象に、特定の通行区間に限定せず料金を割引する平日朝夕割引が適用されているところでございます。
これにつきまして、近年、時間帯にとらわれない多様な働き方が広がっていることから、利用者が事前に登録した区間の通行について、時間帯や曜日を限定せず最大五割引きとするフリータイム通勤パスの取組を今年の四月から石川県で試行しているところでございます。
フリータイム通勤パスは、平日朝夕割引と比較いたしまして、全日二十四時間が割引の対象になるものの、事前に利用する区間を登録する必要があることや、平日朝夕割引は月十回、五往復以上の利用で五割引き分が翌月に還元されるのに対しまして、フリータイム通勤パスは、登録した月の初回の走行時に十回分の料金を支払うことで月二十回分、十往復でありますが、まで利用でき、二十一回目以降は五割引きの料金が請求されるなど、登録方法また運用を見直しておるところでございます。
この取組では、高速道路を利用する時間帯の分散、また利用回数の増加などの効果が見られておりまして、移動時間の短縮などによって経済活動の生産性の向上につながることが期待されております。
今般の経済対策に記載されました通勤時間帯割引は、このフリータイム通勤パスを現在の平日朝夕割引に代えて実施するものでございます。今後、試行箇所を拡大しつつ、効果の検証を行った上で、債務の償還に影響のない範囲で実施できるよう、具体的な運用を検討してまいりたいと考えております。

○塩田博昭君 今御答弁いただいたように、通勤ですから、区間の登録であったり事前パスを購入すれば十回分の料金で二十回分使える、こういうようなことがあるわけでございますが、やはり現場に対する丁寧な周知というのはどうしても必要だと、このように思っておりますので、この点よろしくお願いしたいと思います。
そして次に、トラック協会などからも要望の多い大口・多頻度割引の拡充について確認をしておきたいと思います。
まず、政府の経済対策に高速道路料金の大口・多頻度割引の拡充措置を一年間延長するとなっているのは、高速道路料金の大口・多頻度割引の最大割引率を四〇パーから五〇パーに拡大する措置を一年間延長するということでいいんですよね。このことはちょっと確認でございます。
それとあわせて、高速道路のトラックの速度規制引上げについて早急な結論を得ると、こうされている点について、いつまでにどのような見直し方針なのか、政府参考人に伺いたいと思います。

○政府参考人(丹羽克彦君) お答え申し上げます。
委員御指摘の大口・多頻度割引についてでございますが、主に業務目的で高速道路を利用する機会の多い車の負担を軽減することによりまして、広く国民の暮らし、また日本経済の下支えとなります物流を支援していく必要があること、また物流関係業界の皆様から一様に御要望をいただいていることなどを踏まえまして、経済情勢に鑑みまして、これまで補正予算を活用して最大割引率を四〇%から五〇%に引き上げてまいったところでございます。
十一月の二十九日に成立いたしました令和五年度の補正予算においても、この措置の令和七年三月末までの継続に必要な経費が計上されておりまして、今後、高速道路会社と必要な手続を進めてまいりたいと考えております。

○政府参考人(小林豊君) お答えいたします。
高速道路のトラック速度規制の引上げについては、物流二〇二四年問題の解決に向け、本年六月に開催された関係閣僚会議において取りまとめられた政策パッケージにおいて、その一つの施策として引き上げる方向で調整すると盛り込まれたところであります。
これを受けて、現在警察庁において有識者検討会を開催し、道路交通の安全を確保した上でどのような速度規制の在り方が望ましいかについて、交通事故の発生状況や車両の安全に係る新技術の状況等を勘案しながら検討が行われているところであります。検討会はこれまで三回開催されており、年内をめどに提言を取りまとめる予定であります。
警察庁としては、取りまとめられた提言の内容を踏まえ、早急に結論を得た上で必要な対応を取ってまいりたいと考えております。

○塩田博昭君 済みません、時間の関係でちょっと一問飛ばさせていただきたいと思います。
小笠原諸島への交通手段についてお伺いをしたいと思います。
御存じのとおり、父島、母島には空港がまだないために交通手段は船のみでございます。ほぼ週一便の定期船、おがさわら丸が東京の竹芝桟橋から出港しておりまして、片道二十四時間で父島に到着をしているわけでございますけれども、先日、小笠原村の渋谷村長にも伺った話でありますけれども、漁網か何かがスクリューに絡まったということで、片道約四十時間掛かったそうなんですね。
このときは遅延しただけで事なきを得たということなんですけれども、この一隻のみで小笠原諸島への行き来を担っておりますので、万一スクリューやエンジンに損傷が出たときには、立ち所に島民にとっては生活航路が欠航してしまうと、こういうことになってしまいます。
今後の小笠原村のことを考えますと、東京の航路全体を見直して、何かあったときに対応できる体制を検討していただきたいと思います。国交大臣の決意をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) おがさわら丸が就航する小笠原航路は、小笠原諸島への唯一の交通手段であり、島民の方の日常生活や観光を始めとする経済活動に欠かせない重要な交通インフラであります。
国土交通省としては、これまで、離島航路補助制度や鉄道・運輸機構による船舶共有建造制度により小笠原航路の運営を支援してきたところでございます。
お尋ねのおがさわら丸の代替船の確保につきましては、万が一おがさわら丸の運航が長期にわたり困難になった場合などにおいても、小笠原諸島へのアクセスが途絶しないようにすることが必要不可欠と考えております。
このため、国土交通省としては、二〇二〇年に近隣の伊豆諸島航路に就航したさるびあ丸がおがさわら丸の代替船として活用できるよう、さるびあ丸の設計、建造段階から航路事業者等に対して技術面からの助言を行っており、実際におがさわら丸の定期修理期間中にはさるびあ丸が代替船として運航されているところでございます。
小笠原諸島へのアクセスが途絶することのないよう、国土交通省としても、引き続き、代替船の確保に向けた円滑な調整のため、小笠原村を始めとする関係自治体や航路事業者とも緊密に連携を図ってまいりたいと考えております。

○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
是非、小笠原諸島に対する円滑な調整、是非お願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
関連いたしまして、離島における海上保安庁の救急搬送についてお伺いをしておきたいと思います。
昨年十二月に私も三重県の鳥羽市の答志島に視察をした際に、島内に医師がおりませんので、漁業組合とか町内会の方から、救急時の体制整備をしてほしいと、こういう要望を受けたんですね。
やはり、お医者さんがいないという関係もあって、急病人が出ても一一九番通報しても誰も来ないと、こういうことで、嵐の夜に命懸けで漁師さんが自分の漁船を出して本土まで重症者を運んだと、このようなお話を伺いました。
そもそも、海上保安庁の本来業務というのは海上における安全を守ることや海難事故への対応にありますので、離島からの救急搬送は本来海保の仕事ではないかもしれませんけれども、例えば海上保安庁の石垣航空基地におきましては、沖縄県との申合せに基づいて、西表島や与那国島などの周辺離島で発生した救急患者の空輸業務を担って実績を上げていると、こういう例もあります。
そこで、他の地域においても、例えばドクターヘリが飛べない時間帯であるとか海上が本当に荒れている、こういう場合に、海上保安庁の巡視船艇やヘリコプターなどによって離島から急患の救急搬送ができるのかどうかについて確認をしたいと思います。
また、その際の出動要請について、海上における事件、事故などの緊急用の一一八番がありますけれども、この一一八番への通報でよいのか、何か特別な申請が必要なのか、もしそうだとすれば、誰がどこに連絡をすればよいのかなど、手続を含めて、海上保安庁の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(石井昌平君) お答え申し上げます。
海上保安庁による離島からの急患搬送につきましては、地方自治体から要請を受けた場合、巡視船艇、航空機の運用状況などを勘案した上で、可能な限り実施しております。当該要請は、地方自治体から最寄りの管区海上保安本部などに対し原則として文書によって行っていただくこととしておりますが、急を要する場合には、口頭又は一一八番を含む電話による連絡も可能となっております。
各管区海上保安本部などにおきましては、平素から、地方自治体との間で、離島からの急患搬送に係る連絡調整も含め連携協力を行っているところでございますが、引き続き、国民の皆様の安全、安心を図るべく、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○塩田博昭君 ありがとうございます。
年に何回もあるわけではないというふうに私も思っておりますが、いざというときの体制整備というのはやはり大事であると、このように思っておりますので、是非、そういうときには海上保安庁の御協力が大変有り難いと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、地域の公共交通の再構築についてお伺いをしておきたいと思います。
JR東日本は、先日、利用者が極めて少ないローカル鉄道三十五路線、六十六区間の収支を公表いたしました。この路線数は実に在来線の三分の一に相当しておりまして、その全てが赤字という深刻な現状が浮き彫りになっております。赤字の総額は前年度とほぼ同じ六百四十八億円で、厳しい経営状況が続いているんですね。
沿線の人口減少などを背景に、地方での鉄道利用者の減少というのはまさに全国的な課題でありまして、さらに、コロナ禍が更に打撃となって、鉄道各社は赤字路線を支える余力を失っている可能性もあるんではないかと、このように思っています。バスなど代替輸送への転換やBRT、バス高速輸送システムへの切替えなど、今こそ持続可能な公共交通の在り方の検討を本格化させるべきであると、このように思っています。
折しも、このような赤字経営に陥るローカル鉄道の再編を促す改正地域公共交通活性化再生法もこの十月一日に施行されたところでございます。国土交通省がいわゆる行司役として沿線の自治体と鉄道会社の存廃協議を仲介する再構築協議会制度の創設が大きな柱でございます。
十月三日には、JR西日本が広島と岡山両県を走る芸備線の一部区間について再構築協議会の設置を国に要請をしまして、国主導で再編が進むか、今注目をされているところでございます。
国交省は、今年を地域交通の再構築元年と位置付けております。一つでも多くのローカル線の再構築を進めていただきたいと、このように思いますが、国土交通大臣の決意をお伺いいたします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 需要の大幅な減少などにより、多くのローカル鉄道で大量輸送機関としての特性を発揮できない状況が続いております。
このような中、さきの通常国会で成立した改正地域交通法が本年十月に施行され、予算面の仕組みも整えられました。今現在、幾つかの地域において改正法に基づくローカル鉄道の再構築に向けた検討が進められております。
例えば、今委員御指摘の広島県と岡山県を結ぶ芸備線の一部区間につきまして、JR西日本から再構築協議会設置の要請があり、国土交通省から各沿線自治体の意向を聞き取った上で、現在、再構築協議会を設置する方向で調整を進めているところでございます。
また、富山県の城端線、氷見線は、県と沿線自治体で構成する検討会において、第三セクターであるあいの風とやま鉄道への移管や新型車両の導入、運行本数の増加などを盛り込んだ鉄道事業再構築実施計画案について議論を行っていると聞いております。
引き続き、事業者任せ、地域任せにするのではなく、国として積極的に関与しながら、鉄道事業者と沿線自治体の連携と協働を促し、一つでも多くのローカル鉄道で再構築の取組を進めるべく全力で取り組んでまいりたいと思っております。

○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
今、大臣御答弁いただいたように、非常にローカル線にとって再構築大事であると、このように思っておりますし、関連しまして、自然災害によって寸断された例えばJR米坂線、この復旧についてもお伺いしておきたいと思います。
今、山形県と新潟県にまたがるこの米坂線は、二〇二二年八月豪雨によって被災をいたしまして、橋梁の流出、線路への土砂流入、盛土流出など、数十か所で甚大な被害を被って寸断をされたんですね。その後、八月九日から、被害の少なかった山形県内の米沢と今泉間だけは運転再開をしておりますけれども、それ以外は一年以上が経過した今も全く復旧をしていない、こういう状況でございます。先ほどの赤字路線の再構築協議会とは違いますけれども、JR米坂線については、JR東日本と関係自治体などによる復旧検討会議が設置をされまして、国交省もオブザーバーで参加をされていると、このように伺っております。
復旧に向けた検討状況とともに、今後の課題について教えていただきたいと思います。

○政府参考人(村田茂樹君) お答え申し上げます。
昨年八月の豪雨で被災し、今泉駅―坂町駅間で不通となっておりますJR米坂線につきましては、本年九月八日、山形県や新潟県等の沿線自治体とJR東日本が出席するJR米坂線復旧検討会議が開催され、国土交通省もオブザーバーとして出席をしております。
この会議では、JR米坂線の復旧に係る工事費と工期や、米坂線が抱える課題等について議論されております。
国土交通省といたしましては、被災以前から利用者の大幅な減少により鉄道特性が十分に発揮できていなかった路線につきまして、鉄道で復旧する際には、復旧後の利便性、持続可能性の確保のための方策や復旧に係る工事費の負担の在り方等についても議論することが重要であると考えております。
引き続き、この会議におきまして、沿線自治体とJR東日本の間で有意義な議論が行われることを期待しており、国土交通省としても必要な助言等を行ってまいります。

○塩田博昭君 ありがとうございます。
ローカル線も赤字路線もかなりあるわけでございますけれども、地域にとっては大事な足でございますので、是非こうした課題についてしっかり前に進むように国交省としても積極的に加わっていただきたい、このように思います。どうかよろしくお願いいたします。
最後に、二〇二五年十一月十五日から、デフリンピックの東京大会が開催をされます。デフリンピックは耳の不自由な方、聾者による国際スポーツ大会でありますけれども、今回は百周年の節目を迎える大事な大会が日本で開催をされる、こういうことになります。
世界中から多くの選手団やサポートスタッフが来日をいたしますけれども、各競技では、笛に代わるフラッシュランプとか、そういう目に見える合図などの工夫によって競技が実施をされております。聾者の方々にとってはこの目に見えるということが大変重要でございまして、音声ではなく、目視できる情報板とか案内板が必須なんですね。例えば、都内の公共交通機関で移動する際においても、刻々と変化する運行情報とか、駅や停留所の案内など、視覚的な伝達手段がないと、視覚的な伝達手段でないとやっぱり分からないんですね。
そういう意味で国交省にお願いしたいことは、各公共交通機関の事業者に対して、駅の窓口や車両内部に例えば手話マークだとか筆談マークだとか、こういうものを更に普及させたり、対応できる体制を整備したり、また各駅に、車両内等において多言語による視覚的な案内表示の拡充を進めていただけるように強く要望したいと思います。見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(長橋和久君) お答え申し上げます。
二〇二五年に日本で初めてデフリンピック東京大会が開催されることを契機として、聴覚に障害をお持ちの方が安心して公共交通機関を利用できるよう視覚的な案内表示が整備されること、これは大変重要なことだと考えております。
いわゆるバリアフリー法に基づく移動等円滑化基準におきましては、乗車券等の販売所あるいは案内所及びバスの車両内には、聴覚障害者が文字により意思疎通を図るための設備を備えること、そして、旅客施設及び車両内には、次の停車駅など車両の運行に関する情報を文字等により表示するための設備を備えること、これを義務付けておりますけれども、さらに、推奨基準であるバリアフリー整備ガイドラインにおきましては、手話や筆談での対応が可能な場合にはその旨を乗車券等販売所、案内所及びバス車両内の見やすい場所に表示すること、旅客施設、車両内で文字情報を提供する際には可能な限り英語表記を併用すること、これを標準的な整備内容として示しておりまして、先ほど委員御指摘がありましたような手話マークあるいは筆談マークにつきましても、当該ガイドラインにおいて、手話や筆談での対応が可能であることを示す具体例としてお示ししているところでございます。
なお、鉄道におきましては、利用者がスマートフォンなどで読み取ることができる二次元コードを駅や車両内に掲出することで文字による運行情報の提供を実施している事業者もございますし、多言語による案内表示についても、訪日外国人旅行者の受入環境整備事業によって運行情報の多言語表記対応などの支援を今行っているところでございますが、国土交通省といたしましては、二〇二五年のデフリンピック東京大会を控えまして、こうした視覚的な案内表示等の整備の取組、これは関係事業者ともしっかり連携して一層推進してまいりたいと考えております。