公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

ALPS処理水の海洋放出やエネルギー施策で質疑/決算委員会

2023年05月10日

第211回国会 参議院 決算委員会 令和5年5月10日

○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
今日は、主にエネルギーの関連施策について質問させていただきたいと、このように考えております。
まず、ALPS処理水について何点か今日はまとめてお伺いをしたいと、このように考えております。
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉の実施に向けて必要とされるこのALPS処理水の海洋放出が間もなく始まる予定ということでございますけれども、韓国の専門家による視察も今月中に受け入れる予定ということでございますが、こうしたやはり安全性に対する不安にしっかり応えていかなければならないと、このように考えております。


今、汚染水の現状を見ますと、敷地全体を覆うように総容量約百三十七万トンをためる巨大なタンクが千基余り設置をされております。そもそも、タンク容量は設置する敷地内にほぼ満杯の状態に今なっているということですけれども、しかも現在、原発汚染水は一日約百トンが連日新たに発生をしておりますので、早急な対応が必要であることは言うまでもない、このように思います。その際に、人体に対して安全であることの確保と周知が当然大前提であるというふうに思います。海洋放出への不安を払拭すること、そしてさらに、風評被害を可能な限り回避することが最重要であると、このように思います。
こうした観点から、ALPS処理水についての質問を何点か行わせていただきます。

まず、ALPS処理水の安全性については、国際原子力機関、IAEAが二〇二一年よりレビューを行っております。これは、ALPS処理水の安全性については、東京電力でも日本政府でもなく、国際機関であるIAEAの管理下で取り組まれることが安心にも直結をすると、このように思いますが、この四月、IAEAは二回目の安全性レビューを公表いたしました。ここでは日本に対して追加情報の要請が特になかったことからも、おおむね東京電力と経済産業省の取組は評価されたものと理解をしております。
そこで、これまでのレビューにおける指摘事項等を含めて、IAEAレビューの意義とIAEAによる日本の取組への評価について経産大臣にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(西村康稔君) 委員御指摘のとおり、ALPS処理水の海洋放出に際しまして、原子力に関する高い専門性を持つ独立した国際機関でありますIAEAによって客観的な視点で厳しく確認をいただいているということ、これはもう安全性を説明していく上で極めて重要でございます。
これまでIAEAの専門家が複数回来日し、レビューを行っております。昨年五月にはグロッシー事務局長が、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるとコメントもいただいているところであります。
さらに、四月二十日、先日、グロッシー事務局長とオンライン会談を私自身行いました。私からは、IAEAによる継続的な情報発信を改めて要請し、科学的根拠に基づく透明性のある情報発信の重要性について確認をしたところであります。
こうしたALPS処理水に関するIAEAの独立したレビューは、G7の気候・エネルギー・環境大臣会合の閣僚声明におきましても支持されたところでございます。

また、本年四月には、昨年十一月に行われたALPS処理水の安全性レビューに関する報告書が御指摘のように公表されておりまして、具体的には、第一回レビューの指摘が適切に反映されているということ、またIAEA側の理解が深まったこと、追加ミッションは必要ないということなどが明記されたところであります。これまでの日本の取組が適切に評価されているものというふうに考えております。
その上で、本年前半にこれまでのレビューの結果を取りまとめた包括報告書が公表される予定であります。本報告書の内容につきましても、透明性高く発信をし、そして、その内容を踏まえた形で、安全性を確保した上で対応してまいりたいというふうに考えております。

○塩田博昭君 今大臣御答弁いただいたように、IAEAによる客観的な評価、これは非常に大事だと、このように思っております。
そして、その一方で、ALPS処理水の海洋放出は世界の原子力施設においても実績がありますし、これは科学的根拠に基づく取組でもあって非難されるものではないと、このように考えております。
平成三十年二月二日の経済産業省多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会でのトリチウムの性質等についてによりますと、日本がALPS処理水の処分方針で示した二十二兆ベクレルを下回る水準に対して、世界の原発ではこの水準を超える量のトリチウムを日常的に放出しているという実態が示されております。
そこで、日本のALPS処理水が規制基準を満たす水準内において適切にモニタリングされて、基準が合致していることを確認して放出されるなら科学的に安全であるということでよろしいのでしょうか。これは原子力規制委員会の山中委員長にお伺いしたいと思います。

○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
原子力規制委員会としては、規制基準を満足した形でのALPS処理水の海洋放出を行う限り人や環境への影響はないと判断しております。
さらに、ALPS処理水は、政府方針によって規制基準をはるかに下回る条件で放出されることから、これは安全上の小さな懸念も起こり得ないようなレベルでの放出であるというふうに判断しております。

○塩田博昭君 ALPS処理水の海洋放出は、まだまだ地元の理解がやはり深まってはおらず、批判が絶えないことは事実でございます。地元が最も懸念しているのは実際に高い線量が万一にも検出されてしまうことでありまして、一旦検出されてしまえば取り返しが付かなくなってしまうと、こういう心配もしているわけでございます。
そこで、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出は、海外のトリチウムを含んだ水の海洋放出とは異なって、デブリを通った汚染水を浄化したものですから、トリチウム以外の放射性物質も含まれているとして反対する声も一方であるわけです。

これは、過去に東京電力が、他の核種を僅かながら取り除けていなかったにもかかわらず全く含まれていなかったとする資料を公表したことにも一因があるようにも思うんですね。こうしたことを二度と繰り返さないことが何よりも大切であると、このように思います。
そこで改めてお伺いいたしますけれども、海洋放出するALPS処理水は他の核種についても基準値以下であることをどのように確認してから放出するのか、経産大臣にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(西村康稔君) ALPS処理水の海洋放出に当たっては、御指摘のように、規制基準を厳格に遵守し、十分に安全性を確保することが大前提であります。
具体的には、トリチウム以外の放射性物質について規制基準を十分満たすまで浄化した上で、トリチウムの濃度を国の規制基準の四十分の一、そしてWHOが定める飲料水基準の約七分の一である千五百ベクレル・パー・リットル未満になるよう希釈して海洋放出することとしております。
委員まさに御指摘されましたとおり、このALPS処理水の処分方針での放出予定量は約二十二兆ベクレルを下回る水準で年間ありまして、これは近隣国、中国や韓国の原発が年間放出するものよりかなり少ない量でございます。
なお、更に申し上げれば、トリチウムは自然界に広く存在し、放出される放射線のエネルギーは紙一枚で遮られるほどの非常に弱いものであります。さらに、体内に入っても蓄積されず、水と一緒に体外に排出されるということであります。

ALPS処理水の海洋放出前には、東京電力に加えまして、独立した第三者であります日本原子力研究開発機構がALPS処理水の放射性物質の濃度を測定、分析し、その結果をしっかりと発信していくこととしております。
いずれにしましても、ALPS処理水の海洋放出に当たっては、安全性に関する規制基準を十分に満たすとともに、それを第三者機関も含めて確認することで、安全性の確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

○塩田博昭君 また、原子力規制委員会の山中委員長に関連してお伺いしたいと思います。
ALPS処理水のモニタリング結果については、東電側が勝手に記載不要と判断をしたり不明確な情報のまま公開することがないように、具体的にどのように監視するのか、お伺いをしたいと思います。

○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
原子力規制委員会は、東京電力によるALPS処理水の測定・評価対象核種の選定の考え方を定めた実施計画を認可しており、東京電力はこの実施計画に従って核種の分析を行う必要があります。また、東京電力は、政府の方針に従い、分析結果について公表することとしております。
原子力規制委員会は、これらの東京電力による取組が実施計画や政府の方針に従って行われているか、検査等を通じて厳正に監視してまいります。

○塩田博昭君 次に、ALPS処理水の放出に要する期間についてお伺いをしたいと思っています。
海洋放出は、現在貯蔵量と日ごとの放出予定量を前提に計算いたしますと、三十年程度要すると見られているんですね。一方で、廃炉に向けた中長期ロードマップは廃止終了までを三十年から四十年後と、このようにしています。
今後予定されるデブリの取り出しもそうですけれども、作業の進捗に伴って多くの放射性廃棄物が出るためにその置場が必要ですし、廃炉作業の安全性を確保するためにも廃棄物と作業場を一定の距離で隔てる必要があります。そうすると、こうした処理水の放出スピードとスケジュールで廃炉作業に影響が出ないのかとも思うんですね。
そこで、この放出スケジュールと廃炉措置との関係について政府参考人の見解をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(湯本啓市君) お答え申し上げます。
ALPS処理水の処分につきましては、福島の復興に不可欠な東京電力福島第一原発の廃炉を進めるため、海洋放出の基本方針を決定したところでございます。
政府が定めました中長期ロードマップにおきましては、委員御指摘のとおり、三十年から四十年後の廃止措置完了を目標とし、これに向けた対策や工程をお示ししているところでございます。
御指摘のとおり、今後燃料デブリの取り出しや放射性廃棄物の管理などに必要となります各種施設設備を順次整備していくことが見込まれておりますけれども、計画的に敷地を利用していくこととなります。
ALPS処理水の処分に当たりましては、こうした中長期ロードマップの目標達成に向けて廃炉作業に支障を生じることがないように対応してまいります。

○塩田博昭君 次に、高レベル放射性廃棄物の地層処分についてお伺いをしたいと思います。
これは先ほど野田先生からもこの点について御質問ございましたけれども、改めてちょっと別な角度も含めて質問をさせていただきたいと思います。
原子力発電に使用した燃料の処分については、核燃料サイクル政策を前提に、再生利用の部分と高レベル放射性廃棄物の部分とに分別をして、廃棄物の部分をガラス固化体にして地下三百メートルに埋めるという地層処分とされております。この地層処分の事業を行う日本の事業体が原子力発電環境整備機構、NUMOでありますけれども、そこで改めてこの地層処分の意義、そして実現に向けた進捗状況について経産大臣にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(西村康稔君) 最終処分場が決まっていないことがまさに原子力に対する国民の皆様の懸念の一つであり、御指摘のとおり、将来世代に負担を先送りせず、我々の世代で地層処分の実現に向けた対策を確実に進めることが重要と認識をしております。
その上で、高レベル放射性廃棄物の最終処分に当たりましては、御指摘のように、地下深くの安定した岩盤層に埋設する地層処分が国際的にも現時点で最も安全で実現可能な処分方法とされているところであります。地層処分の実現に向けまして、これまで全国約百六十か所の地域での説明会や理解促進のための広報事業に取り組んでいるところでありますけれども、最終処分事業に関心を持つ地域はいまだに限定的でありまして、現時点におきまして北海道の二自治体以外に調査実施自治体が出てきていないというのが実情でございます。

処分地を既に選定いたしておりますフィンランドやスウェーデン、また選定プロセスの最終段階にありますフランスなど、先行する国々の取組も参考にしながら、我が国におきましても、この北海道二自治体以外にも文献調査実施自治体を拡大できるよう、政府一丸となって、かつ政府の責任で取組を進めていきたいというふうに考えております。

○塩田博昭君 今大臣様々御答弁いただいたんですけれども、この高レベルの放射性廃棄物の地層処分については、やはり現在、国内では僅か二か所ということで文献調査が行われているだけでございまして、GXの基本方針には、この地層処分について、最終処分の実現に向けた国主導での国民理解の促進や自治体等への主体的な働きかけを抜本強化するためと、このように書かれているんですね。
そこで、この抜本強化とは何を意味しているのか、GX基本方針に明記した意義も含めて、今後の方針について経産大臣に改めてお伺いいたします。

○国務大臣(西村康稔君) 繰り返しでありますけれども、やはり最終処分地が決まっていないということが原子力に対する国民の皆様の懸念の一つであるということで認識をしておりまして、原子力を進める上で極めて重要な課題であるということでございます。そうした認識の下、GX基本方針では取組強化の方向性をお示ししたところでございます。
その上で、四月二十八日に特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の改定を閣議決定いたしまして、取組の強化策を取りまとめいたしました。今後、この方針に盛り込まれております関心自治体の掘り起こしのための全国行脚、そして関心等を有する自治体との協議の場の設置、調査受入れ前段階からの段階的な申入れ、さらには文献調査受入れ自治体等への政府一丸となった支援など、最終処分に向けた取組も加速してまいりたいというふうに考えております。

○塩田博昭君 今大臣も御答弁いただきましたけれども、やはり、最終的には複数の地域での文献調査をより多く目指していただくことがやはり大事になると、このようにも思っております。
そして、地層処分については、残念ながら、まだまだ多くの国民が認知をしておりませんし、NUMOのことも、また対話型全国説明会のことも、北海道の二町村における様々な取組や地元の声も知られていないと、このように思うんですね。最近、テレビでALPS処理水のCMを見かけることはありますけれども、その一方で、地層処分とかNUMOのCMは目にしたことがないわけでありまして、私は、ALPS処理水も地層処分も、どちらも国民全体が考えるべき問題であると、このように思います。

すなわち、この問題は一地域の問題というより、むしろ日本全体の問題として考えるべきであると、こう思いますし、国主導で地層処分への国民理解の促進にしっかり取り組んでいく必要があると思いますが、政府参考人にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
高レベル放射性廃棄物の最終処分は、委員御指摘のとおり、決して特定地域の問題とするのではなく、全国的な問題として国民全体で議論し、取り組んでいく必要のある重要な課題だと考えてございます。
その上で、御指摘のとおり、地層処分への国民理解に国が前面に立って取り組む必要があると認識しているところでございますけれども、これまで全国約百六十か所で地域説明会などを行ってまいりました。また、委員からも触れていただきましたけれども、対話型全国説明会というものもこれから進めていく予定にしているところでございます。

これから国民全体で議論していただくということを考えてまいりますと、将来の世代を担っていただく若者世代を含めた国民各層を含めた教育、学習、議論していただく機会をつくることがとても重要なのかなと私ども考えているところでございます。
ちょっと具体的な、今検討し、かつ進めている例を御紹介しますと、大学生が主体となりまして、大学生相互に、同世代の中でエネルギー、原子力、そしてこの最終処分の議論をするという場を、ミライブプロジェクトというのを今立ち上げて、議論を今広げているところでございます。多くの方々に御参加いただけるようになってまいりました。
こういったことですとか、若い方々御利用する機会の多いウェブですとかSNSを通じた発信の手法、もちろん委員御指摘のようにテレビCM等もあるわけでございますが、より広く各層に広げていくためのツール、そしてそのコンテンツ作りというものをNUMOとともに国も前面に立って取り組み、議論を喚起し、物事を前に前にと進めていきたいと考えているところでございます。

○塩田博昭君 さて、現在、世界は脱炭素化の過渡期にありますけれども、その中でコロナ禍とかロシアのウクライナ侵略によって世界は新たな局面に直面をしていると、こういう状況でございます。こうした中で、日本が、産業革命以来の化石燃料中心の、化石エネルギー中心の産業構造、社会構造からクリーンエネルギー中心へ転換するといった方針を策定したことは非常に意義のあることだと、このように思います。
そこで、現在の電源構成の約二割を占める再生可能エネルギーを二〇三〇年度には三六から三八%へと高めて、更に伸ばしていくために、どういった施策でこれを実現しようとしているのか、経産大臣にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(西村康稔君) 再生可能エネルギーにつきましては、地域との共生を大前提としながら、御指摘のような、導入目標であります二〇三〇年度三六から三八%実現に向けて最大限導入していくことが政府の基本的方針であります。
そして、導入目標の達成に向けましては、適正な国民負担と、申し上げました地域との共生、これを図りながら、例えば、公共部門や工場、倉庫などの建築物に対する導入強化であるとか、あるいは地球温暖化対策推進法や農山漁村再エネ法との連携を通じた導入促進であるとか、再エネ海域利用法による洋上風力発電の導入拡大、さらにはグリーンイノベーション基金を活用したペロブスカイトなどの次世代型太陽電池、あるいは浮体式の洋上風力の技術開発、こういったことに取り組んでいきたいというふうに考えております。

さらに、FIT・FIP制度の買取り価格については、調達価格等算定委員会の意見を尊重し、二〇二三年度下半期からは屋根に設置する事業用太陽光発電の区分を新たに設けまして、新設をいたしまして、その価格は、コスト動向を踏まえまして、十二円、キロワットアワー当たりですね、と地上設置より二割ほど高い価格としており、めり張りの付いた導入支援に取り組んでいきたいというふうに考えております。
先月開催いたしました再エネ・水素等関係閣僚会議において策定いたしましたアクションプランに基づきまして、関係省庁とも更なる連携をしながら、再エネの最大限導入に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩田博昭君 次に、ちょっと地熱の一層の導入に向けた取組についてお伺いしたいと思いますけれども、GX基本方針には、再エネの更なる拡大に向けて安定的な発電が見込まれると、このようにしておりますし、私もそう思います。三年前には秋田県の湯沢市の地熱発電所を視察いたしまして、まさに自然の力をそのまま生かす実態を目の当たりにして、私も感嘆をしたところでございました。
日本の地熱の資源量は世界第三位でございますし、しかし、日本の電源構成に占める割合は令和三年度で僅か〇・三%、二〇三〇年度の見通しでも一%と非常に低いと、このように思うんですね。確かに、地熱は目に見えない地下資源でありまして、資源量の調査から探査事業、そして環境アセスを経て、発電設備を設置するまで少なくとも十年は掛かるとも言われる中で、容易なことではないと、このように承知をしているところでございますけれども、しかし、エネルギー自給率向上のためには地熱の更なる導入が必要であると、私は強くそう考えております。
そこで、地熱発電の一層の導入をどう進めるのか、この世界第三位の資源量の活用にどう道筋を付けるべきと考えるのか、政府の答弁をお伺いしたいと思います。

○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
委員御指摘の地熱のエネルギーミックスにおける割合を足下の〇・三%から一%に引き上げていくということを達成すべく、これは導入量に換算しますと、足下の六十万キロワットを約百四十八万キロワットに拡大していくということなんですけれども、既にJOGMECが支援をしております案件が約七十万キロワット相当ございます。まずこれを着実に進める必要がありまして、JOGMECによる地熱資源量の開発支援を進めているところでございます。加えて、これだけですとまだ目標に満たないのが現状でございますので、現在、約三十か所の地点でJOGMEC自らが先導的資源量の調査を実施しておりまして、その結果を踏まえて、新たに約百三、失礼しました、約三十六万キロワット相当の新規開発支援を行っていく予定でございます。
加えて、従来から実施しておりますFIT・FIP制度に基づく支援に加え、JOGMECにおいて事業者が実施する初期調査などへの支援、海外の地熱探査事業への参画を通じた先進的な技術、ノウハウの獲得、それから、御指摘もありました開発のリードタイムの短縮に向けました探査精度の高度化などの技術開発、さらには地域と事業者の対話を促進する理解促進活動の強化などを着実に進めていく考えでございます。
この目標の達成に向けて、関係省庁と連携しながら、様々な政策手段を総動員して取り組んでいく考えでございます。

○塩田博昭君 ありがとうございます。是非しっかり一%、さらに二〇三〇年以降の拡大についてもお願いしたいと、このように思っています。
次に、洋上風力についてお伺いいたしますけれども、GX基本方針には、浮体式洋上風力の導入目標を掲げ、その実現に向け、技術開発、大規模実証を実施するとともに、大規模かつ強靱なサプライチェーン形成を進めると、このようにしているんですね。
本年二月、私は秋田県能代市の洋上風力発電を視察してまいりましたけれども、ここは着床式でありましたが、日本はこれまで遠浅の海が少ないために海底に風車を据え付けるということが大変難しいと、このように伺ってきました。しかし、浮体式の洋上風力発電が来年一月に長崎で稼働すると聞いているんですね。海での発電施設の設置は漁業との調整も必要ですが、そもそもまた建設も簡単ではない。しかし、洋上風力発電の設備については既に諸制度も整えられております。
そこで、洋上風力発電の現状と今後の見通しについて、導入促進への課題の検討について、現時点における検討についてお伺いしたいと思います。
○理事(滝波宏文君) 申合せの時間近づいてございますので、簡潔にお願いします。

○政府参考人(井上博雄君) はい。
お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、洋上風力しっかり進めていかなければいけないというところでございますが、現在、再エネ海域利用法に基づきまして、秋田県や千葉県等合計八海域で入札が実施されているところでございます。
一方で、御指摘の課題でございますけれども、一つは地域や漁業との共生、二つ目は系統制約の克服、そして三つ目は案件形成の効率性といったような課題がございまして、各般の取組を進めていく方向でございます。
一方、委員御指摘ございました、日本は実は世界第六位の排他的経済水域を持っておりますので、浮体式の洋上風力を活用していけると大変大きな可能性があると考えてございまして、この点につきましては、こうした海域の活用も可能とする法制度の検討を関係省庁と進めるとともに、先生御指摘のとおり、技術開発やサプライチェーンの国内形成といった点をしっかり進めていきたいと、かように考えてございます。