公明党 参議院議員/全国比例区 塩田ひろあき

活動報告

LPガスの負担軽減策、上昇分を引き下げに/内閣委員会で担当大臣

2022年11月01日

11月1日、参議院内閣委員会で質問に立ち、燃油高騰対策、コロナ感染第8波への備え、デフリンピック大会への取り組み、こども家庭庁の創設──などの課題について、それぞれの担当大臣に質問しました。

なかでも燃油高騰対策では、来年1月以降も政府の経済対策によって、ガソリン、灯油などとともに、都市ガスも月900円程度、負担軽減されるものの、地方に多いLPガスの負担軽減については、流通経路が複雑なこともあり、消費者にとって分かりづらい軽減策の発表だったので、「分かりやすく、価格が上昇した1割分の値下げをする」というような発信をするべきだと訴えました。

後藤担当大臣から、LPガス上昇分の引き下げが図られるよう私の立場からもフォローしていくとの答弁を引き出しました。

また、2025年の夏季大会が東京で開催されることが正式に決定した聴覚障がい者の国際総合スポーツ大会「デフリンピック」について、各自治体によるホストタウン事業の必要性や同大会の認知度アップに向けた啓発運動に、国も積極的に取り組むように訴えました。
最後に、こども家庭庁に移管される「子育て世帯訪問支援事業」について、子育てや家事に不安や問題を抱えた家庭に対しては専門家による相談支援だけでなく、育児・家事援助という具体的な支援を行うことが重要で、実施自治体をもっと増やし、援助内容をさらに充実させることが不可欠だと、強く訴えました。

参院 内閣委員会で質問


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以下、質問の全文を掲載

1.燃油高騰対策の継続

①来年1月以降の燃油高騰対策継続について
まず、燃油価格高騰対策について後藤担当大臣にお伺いします。
燃油価格の高騰を抑える補助金の支給によって、ガソリンや灯油・軽油・重油・航空機の燃料価格の負担が軽減されています。

この措置は当初、今年の12月末までとなっていましたが、これから本格的な冬を迎える中で、政府の「総合経済対策」において、ガソリンや灯油などの原油高騰対策について、来年1月以降も延長し、引き続き実施することは、国民生活を守る上で断じて必要な政策であり、高く評価するところであります。

その上で、来年1月以降の対策について、総合経済対策では「補助上限を緩やかに調整しつつ実施し、その後、来年6月以降、補助を段階的に縮減する一方、高騰リスクへの備えを強化する」としています。

この高騰リスクへの備えを強化することについて、低所得世帯へのプッシュ型給付金を速やかに行き渡らせていくことや、新たに、電気料金やガス料金の負担を直接的に軽減する取り組みなどによって、物価高騰を抑えることは、とても重要な取り組みであります。

しかし一方で、今後も、ロシアによるウクライナへの侵略や円安が続くことなどによって、予期せぬ物価高騰要因が広がる可能性もあることから、燃油価格への補助金については、「補助上限を調整」することや、「来年6月以降、補助を段階的に縮減する」方針については、その時点での状況を十分に見極め、「住民の暮らしを守ることを第一」に考えた上で見直すことを含め、弾力的な実施であるべきと考えますが、この点について、後藤大臣に確認しておきたいと思います。いかがでしょうか。

②一般家庭用LPガスの負担軽減について
後藤大臣、燃油価格の高騰や物価高騰によって、国民の暮らしへの不安が広がっている今こそ、国民の気持ちに寄り添った丁寧な政策が必要ですので、よろしくお願いします。

次に、関連の質問ですが、ガス料金の負担軽減については、都市ガスだけでなく、LPガスについても負担軽減を求める声が多く寄せられており、岸田総理も「事業実態を踏まえ、事業効率化に向けた支援という形で行う」こととしています。
このLPガスは、地方を中心に全国約4割の世帯が契約しており、山梨県のように9割がLPガスを使っている県もあります。
確かに、9月の全国消費者物価指数でみても、LPガス料金の上昇率は、前年同月比で、都市ガスの25.5%に比べて、9.7%と小さいのは事実ですが、1割の上昇は暮らしに影響が出ています。

ただ政府は負担軽減について、LPガスについては、全国に小売事業者が約1万7000社あるため、都市ガスと同様の支援策は難しいことから、「配送合理化などを講じる」ことで価格抑制を行うこととしています。
しかし、LPガスの負担軽減については、国民に分かりにくいことから、もう少し分かりやすく、具体的に、価格が上昇した1割分を下げる方向で取り組めるのか、ご説明いただきたいと思います。

2.コロナ対策 第8波への備え
①インフル同時流行の備え
インフルエンザとコロナの同時流行が懸念されています。
新型コロナの流行が始まって以降この約2年半、インフルエンザの拡大は抑えられ、国内の患者の報告はほとんどありませんでしたが、南半球のオーストラリアでは、4月から22万人のインフル患者が報告されています。

わが国の入国制限が大幅に緩和されたなかで、海外からインフルエンザウイルスが入ってくる前提で、コロナとの同時流行に備える必要があります。

厚生労働省は10月13日、この同時流行に備えた対応策をまとめ、患者1日最大75万人を想定した医療逼迫が懸念される際の外来受診・療養の考え方を示しました。

それによると、重症化リスクの低い発熱者は、発熱外来やかかりつけ医に行かずに、「抗原検査キット」で自ら感染の有無を確認し、コロナ陽性の場合は「オンライン診療」を受ける──こととしていますが、この対策に実効性を持たせるためには、精度の高い「医療用抗原検査キット」を広く各家庭や職場に、潤沢に行き渡らせておく必要があります。

この夏、外来がひっ迫した時に都道府県が「抗原検査キットの無料配布」を行いましたが、それも終わっているところが多いようです。
第8波に備えて、万全の体制を敷くためにも、全ての希望者に郵送で届ける対策の継続が必要ではないでしょうか。

そして、もう一つ、心配なのが、検査キットで陽性となった場合、発熱外来やかかりつけ医に直接行かずに「オンライン診療を受ける」とありますが、一般の町の医療機関が、オンライン診療に本当に対応できるのでしょうか。
本当に同時流行が起こった場合には、一般の医療機関は、すでに患者であふれていることが容易に想像できます。その対応に追われて人員が不足している一般の町の医療機関が、オンライン診療ができる体制を本当に整えられるのか心配です。

この数カ月間以内にも起こりうる“同時流行”への取り組みが急務です。厚労副大臣の見解を伺います。

②治療薬承認の見通し
医薬品の緊急承認についても厚労副大臣に伺います。
現在開発中の国産経口薬「ゾコーバ」の承認について、いま、どのような段階でしょうか。
この薬が承認されれば、重症化リスクの低い人も使える初の薬となると思いますが、可能ならば見通しをお示し下さい。

3.下水サーベイランス活用の実証事業について
①現段階における効果の検証について
次に「下水疫学調査(下水サーベイランス)」を活用した実証事業について伺います。

下水サーベイランスは、各地域のコロナウイルスのまん延状況の把握や特定の施設における感染の有無の探知等を行うことで、効果的な対策につなげられる可能性あります。

専門家(北大・北島准教授)によると、最新の手法を使えば、10万人に1人の感染者が出た場合でも、各地域の下水処理場における下水の調査で、ウイルスを検知できるまで、精度は上がっているとのことです。

そこで、内閣官房の新型コロナウイルス等感染症対策推進室においても、令和4年度から実証事業を実施し、その効果を検証している段階にあると承知しています。

8月末現在で、この実証事業は札幌市、仙台市など20カ所の自治体の下水処理場と全国22カ所の特別養護老人ホームや医療施設などの個別施設で、実施されているわけですが、現段階において、効果の検証については、どこまで進んでいるのでしょうか。効果的な対策につなげられる可能性などいかがでしょうか。

下水サーベイランスを全国の地域において、積極的に活用し、その兆候をいち早く把握して、効果的な対策につなげるべきではないでしょうか。後藤大臣の見解を伺います。

4.共生社会の実現に向けて
①交通系ICカードの障がい者割引を公共政策に
関東圏において、来年3月から交通系ICカード「Suica」「PASUMO」に障がい者割引が適応されるサービスが始まります。これはとても大切な取り組みです。

私も、昨年4月の決算委員会で取り上げて、当時の赤羽国交大臣より「できないということはあり得ない、との姿勢で具体的に指示したい」との答弁をいただき、6月11日には、障がい者用ICカード導入が大臣指示に盛り込まれ、行政側の強いリーダーシップの下、官民連携して実現のメドがついたものです。

しかし、9月14日にプレスリリースされた事業の概要を見ると、利用条件の中に「本人用・介護者用を同時かつ同一行程で乗車される場合に、自動改札機にて割引運賃」と書いてあり、地方議員や障がい者団体の方から「一人で移動できる障がい者には当てはまらないのか?」との問い合わせがあります。

近畿圏や岡山、静岡を含めた地域で、先行して実施されているICカード割引「スルッとKANSAI」も、原則「本人用・介護者用を同時かつ同一行程」となっていますが、バスの全事業者と一部の鉄道事業者(新神戸交通)などでは、障がい者単独の行動でも割引が適応されています。また、大人だけでなく、6歳から12歳の子ども用カードも発行されています。
一方、来年3月からの「Suica」「PASUMO」は大人用カードのみで、対応がバラバラです。

真の共生社会の実現という観点から、障がいの有無にかかわらず、全ての方々が便利に安心して、公共交通機関を利用できる社会の実現を目指すには、単に福祉政策ではなく、当然あるべき公共政策として推進するべきではないかと考えます。

現状のICカードによる割引の実施は民間の各交通事業者に負担いただく形で、官民連携で実施されていますが、国が予算を付けてでも、同じルールで全国どこでも、障がい者が享受できるような、まさに公共政策にするべきだと考えますが、小倉共生社会担当大臣に見解をお伺いします。

②デフリンピック大会の成功に向けて
次に、聴覚障がい者の国際総合スポーツ大会「デフリンピック」について、国の姿勢をお聞きしたいと思います。
デフリンピックは、2025年の夏季大会が東京で開催されることが正式に決定しました。日本での開催は初めてです。
世界の70~80の国と地域から、5000人から6000人の選手団の参加が見込まれており、ろう者にとっては、原則4年に1度のデフリンピック大会が最大の舞台となり、「ろう者のオリンピック」とも呼ばれています。

文科省の所管と承知していますが、
このデフリンピック大会の成功に向けて、取り組むべき課題について、いくつか要望したいと思います。

<ホストタウン事業>
一つは、デフリンピック大会に出場する海外選手団を受け入れるホストタウン事業を行ってはどうでしょうか。東京五輪・パラリンピックの時には、残念ながらコロナ禍の影響で開催することができませんでしたが、国内には「手話言語条例」を制定する自治体が450を超えており、自治体も手を挙げて頂けるのではないでしょうか。

<普及啓発活動>
そもそもデフリンピックは、パラリンピックよりも長い歴史を持っていますが、日本では、デフリンピックの存在自体はあまり知られていません。日本財団が2021年に行った調査では、パラリンピックの認知度が97.9%に上る一方で、デフリンピックは16.3%。東京大会の成功に向けた機運の醸成には、まず、認知度アップが課題となっています。

ろうあの方々の障がい者施策を進める上でも、認知度アップに向けた国の本気度を見せるべきだと思いますが、共生社会担当、障がい者施策を担当する小倉大臣のご意見をお聞かせいただければと思います。

5.こども家庭庁の創設に向けて
①創設前の取り組み(こどもの意見聴取)
小倉大臣の所信にある通り、こどもを取り巻く状況は、貧困問題、ヤングケアラー、引きこもり、不登校、いじめ、自殺──等々本当に深刻な状況です。虐待相談の対応件数も増加傾向にあり少子化の進行も危機的な状況で、まさに「こども政策の充実」は待ったなしの課題です。

そんな中、来年4月、縦割りを排した司令塔となる「こども家庭庁」の創設は、時にかなったものであり、大臣を筆頭に、諸準備を進めている「内閣官房こども家庭庁設立準備室」の取り組みに敬意を表します。

しかし「待ったなし」である以上、来年4月から各課題に本格的に取り組めば良いのではなく、今から取り組むこと、できることがあるのではないでしょうか。
こども家庭庁の創設に先立ち、開催されている会議や取り組みについて、大臣からご説明いただきたいと思います。特に「こども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する検討委員会」における議論の内容と、今後、具体的にどうやって子どもの意見を吸い上げて政策に反映するのか──についてお答えください。

②養育支援訪問事業
子ども関連の施策で一点だけ要望いたします。
それは、課題や不安を抱えている家庭に対する訪問相談支援で、現在は、厚生労働省の所管で「養育支援訪問事業」と呼ばれている事業です。こども家庭庁に移管される見込みと理解しています。

この事業の中で一部実施されている「育児・家事援助」については、子育て経験者やヘルパーさん等が、課題のある家庭を訪問して育児や家事の手伝いをするものですが、全国の自治体のうち、38%の自治体でしか、実施されておりません。
改正児童福祉法が施行される令和6年度以降は、「子育て世帯訪問支援事業」に、この「育児・家事援助」が含まれることには、なっていますが、子育てや家事に不安や問題を抱えた家庭に対しては、相談支援だけで無く、育児・家事援助という具体的な支援を行う自治体がもっと増え、援助内容の充実が不可欠です。小倉大臣の見解を伺います。